第105戦 (8月23日)
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仕上げの2発だ新庄、大豊

スカッと連敗脱出

 「長いトンネルを抜けると、そこは最下位だった。シャレを言うとる場合か…」。あまりの快勝、連敗脱出に試合後の野村監督は上機嫌だ。打っては大豊&新庄の強烈アベック弾と塩谷の4打点。投げてはハンセル―弓長の0封リレーで、8―0の大爆勝劇。これで連敗も「9」でストップ。久しぶりの気持ちええ白星に、野村監督でなくても、シャレのひとつも言いたくなります。

8月23日・大阪ドーム
 123456789
ヤクルト
阪 神X
【勝】ハンセル【敗】高木
【本】大豊19号(ソロ=高木)、新庄22号(2ラン=松田)

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12日ぶりの六甲おろし

 六甲おろしが漏れ聞こえる大阪ドーム、ベンチ裏、野村監督は照れ笑いで引き揚げてきた。ついに、ついに9連敗でストップ。ホッとした心境が、第1声ににじみ出た。

 「長い長いトンネルを抜けると…、そこは最下位だった…」。川端康成の『雪国』を文字って思わずニヤリ。そして「シャレ言ってる場合か」と、自らのボケを、自分で突っ込んだ。

 脱出劇は8―0、これ以上ない完勝だった。そのトドメの一撃は、愛弟子新庄のバットだった。6点リードで迎えた8回2死一塁。ヤクルト松田の低め直球を鮮やかにさばいた。大阪ドーム左翼2階席へ一直線だ。2試合連続の22号。シーズン自己最多本塁打(93年の23本)に王手をかける2ラン。それは何より、白星に飢えた一撃だ。「連敗もいつかは止まる!」。ホームインした新庄はそう叫んだ。

 「勝たないとイライラする。去年は『今までと違う最下位』と言ったけど、今年はこのままじゃ一緒。今年も変わらないといけない!」。そう話したのはつい3日前のことだった。ロード終盤に打撃下降線を描き、連敗の責任はだれよりも感じていた。胸の内は「流れを変えたい」という思いだけだった。

 この日、4回の打席では平凡な三ゴロを、一塁へ大劇走して内野安打にした姿には、まぎれもなく「猛虎魂」があった。ここ3試合で14打数8安打2発の爆発ぶり。「振れてないと打てないでしょっ!」。魂を込めた1振り1振りが、この夜は勝利に結びついた。

スタメン
阪 神ヤクルト
坪 井真 中
和 田土 橋
タラスコ山 部
新 庄ペタジーニ
大 豊古 田
矢 野稲 葉
塩 谷岩 村
吉田剛宮 本
ハンセル高 木

 勝ちたい思いなら大豊も負けてはいない。連敗のウッ憤をぶつけ、右翼3階席最上段まで飛ばした。7回、打たれた高木もア然ボウ然の超特大19号ソロ。華麗な新庄の放物線とは対照的な豪快アーチが、ヤクルトの息の根を止めた。「オレだけじゃ連敗は止められない。全員や、全員!」。大豊も吠えた。新庄&大豊のアベック弾、今季は4連勝の新必勝神話だ。

ニンニク料理でスタミナつけて

 勝ちたい…。野村監督もそうだ。いつも気にしていたのは、夏バテ気味の選手の体のこと。実は連敗が始まった名古屋遠征中の夜の食事から、こっそりホテルのシェフに頼んで特注メニューを出していた。「夏はスタミナ。体力をつけなアカン」。フライで揚げた「ニンニク・スライス」だ。ニンニク効果と10連敗阻止の因果関係は定かでない。だが1勝をつかむため、指揮官もそれほど苦心していた。

 12日ぶり白星。関西では実に21日ぶりの六甲おろし。さあ、この勢いを本物に…。連勝の六甲おろしを、ファンは待っている。

<写真=久々の笑顔が似合うおふたりさん。8回ダメ押し2ランの新庄は塩谷(左)の出迎えを受けニッコリ>

塩谷4打点、必死さがいいネ

「もう2軍絶対にイヤ」

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 期待株の塩谷が4打点をたたき出した。「開幕は1軍だったけど、すぐにファームに落とされた。今度上がったら絶対に落ちたくないという気持ちでいましたから」。1軍にしがみつくというひたむきさが、この日のバットに伝わった。

 2回1死二、三塁。先発・高木の股間を抜ける内野安打で先取点を稼いだ。一気に流れをたぐり寄せたい5回2死満塁の場面。今度はカウント2―2から外角のストレートを右翼線へ運ぶ走者一掃の二塁打だ。しめて4打点に「技術どうこうでなく、気持ちの面が大きい」というように、やる気が今の塩谷を支える。

 発奮材料はまだある。24日は長女・翠(3)ちゃんのバースデー。「明日が娘の誕生日なんで、明日も打てればいいですね」。どん底のチームを救った塩谷。ここのところ若手の伸び悩みを嘆いた野村監督だが、この日ばかりは目を細めていた。

<写真=5回満塁、塩谷はライトへ走者一掃の二塁打を放つ>

ハンセル“完封”連敗止めた

不正投球疑惑もシャットアウト

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 “新エース”が連敗を止めた。豪腕ハンセルが8回0封の力投。不正投球の疑惑も封印し、ヤクルトに手も足も、口も出させなかった。

 「チームが勝てたことが最高だ。完封にはこだわりはない。チームの勝利が一番大事だからな」

 ストライクを先行させ、最後は力でねじ伏せる―。文句なしのピッチングだった。8回までわずか1四球だけ。外野まで運ばれた飛球はわずか3つ(二塁打1本含む)。阪神の外国人投手では98年のメイ以来の完封も目前だったが、9回は球数が100球近くなった(96球)ことで、救援弓長に譲った。しかし、MAX150キロの剛球と、落差の大きいチェンジアップが冴え渡った。

 さらに、疑惑もシャットアウトした。前回登板(17日)では、巨人長嶋監督が、ズボンの右側の汚れを指摘。不正投球の疑惑をかけられた。しかも2発逆転負け。だが、この日、あらためて潔白を証明。「気にしてないよ。だって、何もしてないんだから」。マウンドでマイペースの投球スタイルを続け、土をふいたズボンは、相変わらず黒く汚れた。それでも、再三ボールをチェックした審判からも、お咎(とが)めなしだ。

 「リキまずに、リラックスして投げられている」。後半戦は5戦3勝(1敗)。防御率も2・45と抜群の安定感を誇る。野村監督は「何で、4月から、ああいうピッチングができなかったんだろう」とぜいたくなボヤキをこぼしたほど。先発総崩れの中、ハンセルは“新エース”に就任。強烈な残留デモの6勝目だった。

<写真=今、1番安定しているハンセルは2回、宮本の打球を好捕するなど8回をスカッと0封>

弓長が帰ってきたぞ

うれしい“開幕”

 弓長が、やっと投げられたうれしさに照れ笑いを浮かべていた。「やっぱり1軍と2軍じゃ全然(雰囲気が)違いますね。僕にとって今日が開幕ですから」。この日、不調の湯舟に代わって今季初の1軍昇格。9回からの登板で2死からペタジーニを四球で出したが、続く古田を二ゴロに仕留めた。「これから頑張ります」。8点の大量リードに守られての“開幕”だったが、投手の台所が苦しいだけに今後の働きに期待がかかる。

矢野、好リードでホッ

 攻守に活躍の矢野も、12日ぶりの笑顔を見せた。「ハンセルがいいピッチングで、試合を作ってくれたから」。野村監督からは、先発陣崩壊の責任の一端を指摘されていただけに、好リードでの0封に、ホッとしたような表情。「打つ方はタマタマだけどね」。打っても、2回に二塁打、5回にも安打。いずれも、続く塩谷の適時打につなぐ効果的な役割を果たした。

(46勝58敗1分:6位)


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