第93戦 (8月9日)
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新庄がV犠飛、粘って3連勝

和田“神ワザ”5安打

 粘る、粘る、粘りの虎やで。二転三転の神宮劇場は阪神が終盤の粘りでヤクルトを倒し3連勝だ。2点差の8回は、坪井の代打ホームラン。9回は大豊の同点16号。そして延長10回は新庄の決勝犠飛と痛快な逆転勝ち。何より、和田。10回のおぜん立てをはじめ、なんとこの試合、6打数で5安打。それも和田らしい芸術打法ばかりだ。これで後半戦は8勝3敗、4カード連続の勝ち越し。ついに3位広島に1・5差というところまで迫った。

8月9日・神宮 (延長10回)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
阪 神
ヤクルト
【勝】伊藤【S】葛西【敗】本間
【本】ペタジーニ27号(2ラン=ラミレズ)
池山6号(ソロ=福原)、坪井3号(ソロ=レモン)
大豊16号(ソロ=山本)

借金「6」に…3位・広島に1.5差

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 ミラクル・タイガース! 延長10回、三塁走者田中が決勝のホームへ滑り込む。ベンチの猛虎ナインも総立ちだ。連夜の奇跡的な逆転勝利。野村阪神が、後半戦の“首位”に立った。

 「あんな仕事しかできなくてすみません」。4時間21分の熱戦にケリをつけた新庄も、笑顔でおどけた。延長10回1死満塁。ヤクルト本間から、右への決勝犠飛を打ち上げた。格好のヒーローになるチャンスにもかかわらず「右狙い」。これで3試合無安打だが、ヒットを打てなくても、3連勝をもぎ取った。

 とにかく接戦に強い。前夜は、代打桧山の9回逆転弾で最下位脱出。この日も、最下位再転落の寸前だったが、4位を死守した。球宴明けから8勝3敗は、後半戦に限れば堂々のセ・リーグトップ。しかも、8勝中6勝が逆転勝ちで、延長戦は3戦3勝。まさに、粘りのタイガースだ。

 4月にも、9連勝して首位に立ったが、先発陣におんぶに抱っこのしのぎ勝ちだった。だが、今は力強さがある。「打線がつながってるやろ。前半の連勝していた頃とは違う」(松井ヘッドコーチ)。この日の和田が、その典型だった。

スタメン
阪 神ヤクルト
吉田剛飯 田
和 田真 中
タラスコ池 山
新 庄ペタジーニ
大 豊古 田
矢 野高橋智
塩 谷岩 村
桧 山宮 本
ラミレズ山 部

 「自分のヒットの数より、チームに粘りが出てきたことの方がうれしいよ」。延長10回も、和田が築いた決勝点だった。1死一塁から、一、二塁間を破り、一、三塁とチャンスを広げた。90年6月3日ヤクルト戦以来、自身10年ぶりの1試合5安打で、勝ち越し点をほぼ決定づけた。

 TOP野球の「P」はプロセスを意味する。その「P」を、和田は堅実に実践した。マウンドの本間とは初対戦。和田は、凡退した先頭打者の坪井に2度までも本間の球質を問いただした。さらに、田中が安打で出塁すると、再び、自らベンチに戻った。「確認の意味でね」。バント、エンドランなど多様な作戦が想定されるケースで、野村監督の意図を入念に確認した。打席に入っても、バント(ボール)、エンドラン(ファウル)と1球ごとに状況は変化したが、フルカウントとなり、見事にランエンドヒットを完成させた。

 「ベテランがいい仕事をしてくれた」。野村監督も和田の職人芸を絶賛した。初回は無死一塁からの安打で先制機を作り、2回に中安、4回には、一度は逆転となる右翼線2点二塁打。6回は左安と今季初の猛打賞を派手に飾った。

 「ロードでいつも負け越してるけど、今年は借金を全部返すつもりでいきたい」。『死のロード』のはずが、4勝1敗という最高のスタート。長期ロードに勝ち越せば、93年以来となる快挙だが、和田の言葉は、ナインの総意でもある。最大11あった借金も6にまで減らし、ミラクル猛虎の逆襲は加速する。

<写真=6打数5安打の和田。その職人芸に野村監督も「いい仕事してくれた」と絶賛>

 <データセンター> ▼阪神はこの日のヤクルト戦で93試合を消化したが、そのうち1点差試合は33試合を数える。これはセ・リーグで最も多く、勝敗は20勝13敗と7つの勝ち越し。特に最近7試合の1点差は7連勝と、粘り強さは特筆ものだ。他の5球団の1点差試合の勝敗は巨人28試合=10勝18敗、中日25試合=15勝10敗、広島28試合=15勝13敗、横浜23試合=9勝14敗、ヤクルト27試合=13勝14敗。

 ▼阪神は広島―中日―広島―ヤクルトと4カード連続の勝ち越しを決めた。後半戦8勝のうち、逆転勝利は6勝。しかも、この日は後半戦になって3試合目の延長となったが、すべて白星をあげている。

「狙ったよ」大豊、9回に同点弾

坪井はプロ初の代打アーチ

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 大豊、坪井のでこぼこコンビが、粘りの勝利を呼び込んだ。大男の底力、大豊が打った。狙って打った。1点を追う9回表。「あそこはあれしかなかった。一発を狙ったよ」。価千金の16号同点弾。山本のスライダーをフルスイングした打球は、バックスクリーンに突き刺さった。

 この打席で倒れれば、再び最下位にUターン。危機的状況をひと振りで振り払った。前半戦終盤に球審への暴言・暴行で出場停止処分を受けた。チームにとって痛い離脱だったが、大豊自身はそのブランクを「人生の修業だった」と振り返る。野球ができる幸せをジッとかみしめていた。復帰後2本目のアーチ。ため込んでいた持ち前のパワーを、ここ一番、欲しいところで爆発させた。

 大豊に火をつけたのは、1点差に迫る逆襲アーチの坪井。2点差の8回。股関節を痛めている坪井が代打登場。レモンから、1点差となるプロ初の代打本塁打を、左翼スタンドに運んだ。「代打は勉強になります。大差で勝つのは楽だけど、きん差で勝つ方が自分たちが成長している感じがする」。坪井の自信めいたセリフが表すように、粘り勝ちがチームに自信を植えつけている。

<写真=ここぞの場面でよくぞ打ってくれました! 9回、同点ホーマーの大豊はバンザイのナインに迎えられました>

矢野、先制の2点打

 後半戦に入って打撃好調の矢野が、先制打をたたき出した。1回表、2死満塁から山部のスライダーをセンター返し。走者2人を迎え入れた。「あまりいい当たりじゃなかったけど、いいところに飛んでくれた。先制できてよかったよ」。左わき腹の故障から復帰した後半戦は11試合でヒットがなかったのは1試合だけ。昨年の3割打者が、バットで猛チャージだ。

“必殺仕事人”葛西が締めて18SP

救援部門 2位・高津に3差の3位

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 打線の粘り、ミラクル逆転劇が後半戦の象徴なら、その表裏一体にサブマリンの快投フィニッシュがある。虎の必勝パターンを葛西がピシャリと締めくくって奇跡が完結した。この日もキッチリ、13セーブ目。後半戦だけで3勝3セーブの6SPだ。「すごい勝ち方だったねえ」。葛西もまた、あまりに劇的すぎる勝利の余韻に思わず酔いしれていた。

 1点リードの延長10回裏、最後の飯田は虎党の「あと1球コール」の期待にこたえて空振り三振で仕留めた。「バッターがあんな逆転をするから、こっちも気が抜けないよ」。もちろん、自分の出番に楽な展開などないことは百も承知。だが「自分のいい調子を維持できている」と自信を持ってのマウンドは、最高の輝きを放っている。

 後半戦6試合のマウンドは、いずれも逆転ゲームの登板。後半戦開幕の広島戦、延長で手にした3勝目を手始めに、この日のセーブを含めてすべてセーブポイントがついている。今季通算でも18SPに飛躍。救援投手部門では堂々の3位。2位高津に3差、トップ・ギャラードには5差だ。

 オールスター明け、12球団で最も働くストッパーが、タテジマの背番号「13」。抑え不在に悩んだ今季開幕時がウソのような頼れる存在になった。「暑い季節は体調管理が大事だからね」。節制を心掛け不調とは無縁のサブマリンが、虎の快進撃をしっかり支えている。

<写真=10回、最後の打者・飯田を空振りの三振に仕留めた葛西はガッツポーズでジャンプ!>

伊藤がプロ通算50勝目

 9回、1イニングを完ぺきに抑えて逆転劇を演出したベテラン伊藤が、3勝目を手にした。「みんなが頑張っているからね。踏ん張って0点に抑えれば何とかなる」。葛西からプロ通算50勝目のウイニングボールを渡され喜び合った。今季12球団最多の51試合に登板する37歳。「疲労回復の方法があったら教えてよ。寝れないし、食べれないし…」と漏らすが、チームの勝利が何よりのスタミナ源になる。

福原、神宮でまた被弾

 1点を追う6回。防戦のため投入された福原が、池山に1発を浴びた。カウント0―1から150キロの真っすぐを左翼スタンドに運ばれた。「高かったです…」。7月8日同じ神宮のヤクルト戦で、ペタジーニ、古田、高橋智の3連発をお見舞いされている右腕。再びの神宮でまた手痛い1発。試合後はしぶい表情だった。

ラミレズ、3回4失点

 先発・左腕ラミレズが3回7安打4失点でKOされた。2点をもらった1回裏、1死二塁からペタジーニの特大アーチなど4連打を浴びる大乱調であっさり逆転を許した。星野伸、湯舟が2軍調整中で先発では唯一の左腕だが、制球難から自滅する悪癖は改善されないまま。4月19日の巨人戦で初勝利してから勝ち星がない助っ人は「きょうは何もいいところがなかった」とうなだれていた。

 〈神―ヤ〉阪神が延長10回、1死満塁から新庄の犠牲フライでシーソーゲームに決着をつけた。阪神は1回、矢野の適時打で先制。ヤクルトはその裏、ペタジーニの5試合連続本塁打などで4―2と逆転した。その後、阪神は4回に和田の2点タイムリーで逆転。5回に再逆転を許したが、8回に代打坪井、9回は大豊と2本塁打で7―7とし、延長戦に持ち込んだ。阪神は3連勝で、4カード連続の勝ち越し。

(43勝49敗1分:4位)


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