第92戦 (8月8日)
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桧山が逆転V弾、4位に浮上

9回、代打で高津のシンカー撃ち

 夢ではありません現実です。1点を追う9回、代打・桧山がヤクルトの守護神・高津からセンターへ3号2ランを放ち逆転勝ち。阪神はヤクルト、横浜を抜いて一気に単独4位だ。最下位脱出は6月22日、4位は5月15日以来のうれしい急浮上。3位広島も2・5差と射程圏にとらえた。神宮球場三塁側スタンドから野村コールと桧山コールがこだましていた。

8月8日・神宮
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神
ヤクルト
【勝】西川【S】葛西【敗】高津
【本】ペタジーニ26号(ソロ=藪)
桧山3号(2ラン=高津)

“上を向いて歩こうロード”だ

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 この選手のこんな笑顔、いったいいつ以来のことだろう。浅黒い精悍な顔に、白い歯がこぼれる。逆転のホームインを打つと、出迎えた塩谷を吹き飛ばさんばかりに、両手で思い切りハイタッチ。代打・桧山の劇的アーチが、野村阪神を最下位から救い出した。

 「ホンマ、いいところで打てましたよ。珍しくね」

 1点ビハインドの9回1死一塁。敗色濃厚の試合展開。しかも、マウンドには高津がいた。この試合まで防御率0・00という無敵のストッパー。対する桧山は、打率1割7分7厘。しかし、桧山には、苦手意識などなかった。「去年とは違いますけどね」。昨年8月14日、高津から本塁打を放った。今季2度目の対戦でも、そのイメージは忘れていない。「高津さんと言えばシンカーだから」。1―3からの甘いシンカーを狙い打ち。高々と舞い上がった打球は、奇跡的な逆転2ランとなって、バックスクリーン左に飛び込んだ。

 「与えられたチャンスで力を出すことしか考えてないです」

 野村監督が就任した昨年、「選手生命をかけるつもり」と口にするほど意気込んだ。しかし、レギュラーを奪われ、3年続けた2ケタ本塁打も途絶えた。迎えた2000年、考え方を180度転換した。「張り切るような気持ちじゃなくて、まず、自分らしくやらんと」。周囲から見れば、追い込まれた立場。だが、桧山は自分のスタイルを見つめ直し、自分の実力を信じた。この日の逆転3号は、“和製大砲”と呼ばれた元4番打者の底力だった。

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 「結果がいいように向いてきてくれているから、乗ってはきてますよね」。今季もレギュラーを取り返せないでいるが、間違いなく復調の兆しに充ちている。6日の広島戦でも本塁打。この日の代打アーチは2打席連発となった。

 この桧山の復活弾とともに、チームも上位浮上の一歩を歩み始めた。後半戦初の最下位脱出。さらに、横浜も敗れたため、一気に4位にまで進出した。

 「きょう勝てば、最下位を脱出できるということだったんで、ぜひ勝ちたかった。まだまだあきらめてないですよ」

 3位広島までも2・5ゲーム差。8年ぶりのAクラスも、夢物語ではない。こんなに劇的な勝利をつかむことができるのだから。

<写真上=待ってたぞオ、この一発!桧山がやってくれました。敗色濃厚の9回、ツバメの守護神・高津のシンカーをガツンとバックスクリーンへ逆転3号2ラン。これで4位浮上。これからも頼りにしてまっせえ 写真下=ベンチ前で桧山はナインから手荒い祝福を受ける>

 (6回2失点で降板。丸2カ月勝ち星なし)「きょうは桧山だよ」

 ◆桧山1号VTR 桧山の劇的決勝1号2ランが飛び出したのは、7月15日横浜17回戦(甲子園)。4点リードを追い付かれた直後の3回2死二塁、0―3のカウントから横浜2番手河原の内角141キロ直球をフルスイング。昨年9月7日中日戦(甲子園)以来となるアーチをライトスタンドにかけた。試合は9―8で勝利し、3年ぶりの対横浜7連勝を決めるV打となった。

ノムさん、4位にも表情崩さず

「順位頭に入れ戦う段階じゃ…」

 古巣神宮で逆転勝ち。最下位脱出を果たした野村監督は、熱狂する三塁側ファンに何度も右手を振った。「うちは順位を頭に入れて戦う段階じゃない。来年、再来年につなげる野球をしないといけない」。4位浮上について報道陣の質問を受けても表情を崩すことはなかった。

 プロセス重視の「TOP野球」を掲げた2年目。守り勝つといったが、前半戦の終盤は先発陣が総崩れの状況に陥った。ある時、監督はボソッともらしたことがある。「あんまりボヤいたらあかんな…」。口にこそ出さないが、自分が描く野球と程遠い悔しさは感じている。それを胸の奥にしまった。続投が確実になった後半戦は、ひたすらチームの“成長”に心血を注いでいる。

 この日、練習中に直接指導した塩谷が3安打、逆転劇に絡んだ。試合を引っ繰り返した3得点を上げたのは、代打で起用した根本、桧山の2人だった。ここ一番で策が的中した。監督の執念が通じたのかもしれない。“念ずれば花開く”。それは、監督が好むセリフだ。「あくまでも実戦主義でいきます」。そう言い残してバスに乗り込んだ。

スタメン
阪 神ヤクルト
坪 井真 中
吉田剛稲 葉
タラスコ池 山
新 庄ペタジーニ
大 豊古 田
矢 野高橋智
塩 谷岩 村
田 中宮 本
 藪 ハッカミー

塩谷が猛打賞、V誘導

 塩谷がまた渋い働きで勝利に貢献した。9回1死後、高津から中前打。桧山の逆転2ランを導いたのだ。「たまたまですよ。9回は塁に出なくては話にならないですからね。1試合位では喜んでられません」。球に逆らわないバッティングでこの日は3安打。6日の広島戦でも4打数4安打しており、決して「1試合だけ」なんかではない。ここ2試合で8打数7安打の大暴れに野村監督からも「軸足に体重を残したあのバッティング。あれが基本や」と絶賛の言葉が飛び出した。

代打・根本が追撃打

 代打・根本が追い上げムードを盛り上げた。2点を追う7回2死一、三塁で、代打で登場。追い込まれたが、ヤクルト2番手五十嵐の150キロ剛速球を、中前へ弾き返した。「少し詰まったけど、大事な場面での代打だったんで、ランナーを返せてよかったです」。打率3割台を残す根本は、劇的な逆転勝ちに、興奮気味に話していた。

やったネ!西川が移籍初星

逆転劇呼ぶ快投

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 地味な男が重ねてきた苦労は、最高の形で報われた。9回、桧山の逆転2ランをベンチで見届けた西川が心の中で叫んだ。「あっ、俺が勝ち投手や」。9回裏を締めくくった葛西から記念のウイニングボールを受け取った。プロ3勝目、タテジマ移籍後、19試合目で手にした初勝利。「接戦でも投げさせてもらえるから、やりがいがあります」。うれしさを表す言葉も、まずはベンチへの感謝が口をついた。

防御率0.38、プロ3勝目

 1点差に追い上げた7回裏、2番手としてマウンドに上がった。その回を3人でピシャリ。そして圧巻だったのは8回だ。2死一塁で主砲ペタジーニをフルカウントから外角スライダーで空を切らせた。2イニングを無失点。これで防御率はなんと0・38。中継ぎ左腕の快投が、大逆転劇を誘った。「防御率のことなんて頭にありませんよ。思い切って腕を振ることしか考えてません」。近鉄時代はハートの弱さが最大の欠点だった。ピンチになると途端に制球が乱れるのが悪いクセ。それが、トレード移籍した阪神では消えた。「もともとコントロールがいい方じゃないから、思い切っていくだけ」。新天地で悟った開き直りの心境が、33歳の左腕の力になっている。

 「死のロード」と昔呼ばれた長期ロードも“爆睡王”の西川には好都合。「いつも12時間ぐらい寝ます。ビジターは時間がいっぱいあるから」と体調も万全なのだ。野村阪神で再生されたタフネス左腕は「まだまだいけますよ」と、声を弾ませた。

<写真=努力は報われます。7回から2イニングを0に抑えた西川がうれしい移籍初星。葛西からウイニングボールを渡されて感激の面持ち>

葛西、笑顔の12S目

 奇跡を信じて9回裏の出番を待った葛西が、最後をピシャリ締めて1点を守り切った。「いつもと同じ緊張感でいったよ。1つアウト(古田を二ゴロ)を取ったら楽になった」。先発陣の復調もあって5日ぶりのマウンド。休養も十分で「ちょっと疲れは抜けていた」と、12セーブ目に笑顔で振りかえった。後半戦登板した5試合は3勝2セーブと、まさに葛西様々だ。

4位は5月15日以来

 <データセンター> ▼阪神が9回、桧山の逆転2ランで4位へ浮上した。阪神にとって最下位脱出は6月22日以来で、4位は5月15日以来になる。前半戦の阪神は逆転勝ちがリーグ最少の11試合しかなかったが、後半戦の逆転勝ちは7月28日広島戦(2―4→5―4)30日広島戦(0―4→5―4)8月2日中日戦(0―1→6―4)3日中日戦(0―3→4―3)に次いでもう5試合目。後半戦の阪神は7勝のうち5勝が逆転と、前半戦にはなかった粘りを見せている。

 〈ヤ―神〉阪神が1―2の9回、代打桧山の2点本塁打で逆転勝ちして最下位を脱出。横浜とヤクルトを抜いて4位に浮上した。阪神は9回1死無走者から塩谷が3安打目を中前へ。続く代打桧山が中越えへ豪快に運んだ。7回から2回を無失点の西川が移籍後初勝利、葛西が12セーブ目を挙げた。ヤクルトは9回から高津を登板させたが失敗。5位に転落した。

(42勝49敗1分:4位)


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