第89戦 (8月4日)
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新庄神話や!20号で3連勝

7年ぶりロード初戦飾る

 阪神の長期ロードは大勝でスタート。10―0、3連勝のお祭り状態の中で、最も華やかなシーンを運んできたのは新庄だ。8回、区切りの20号アーチを左翼席にかけた。5日には待望のFA(フリーエージェント)権利の資格条件を取得。行使の有無は気になるが、それにしても成長してます。

8月4日・広島
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神 10
広 島
【勝】川尻【敗】苫米地
【本】新庄20号(ソロ=小林幹)、塩谷1号(ソロ=小林幹)

“前祝い!?”FA権取得

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 猛虎打線大爆発の締めくくりはやはり、この男の1発だった。8―0と虎ファン、そして野村監督にとって夢のような展開で迎えた8回だ。広島にトドメを刺す新庄の一撃が、左中間席に弾んだ。17泊18日の「死のロード」。その初戦を7年ぶりに飾る4番の打ち上げ花火が広島の夏夜空を彩った。ホームランを打てばこれで9連勝。今季20発目の快感は“新庄の進化”を改めて証明する一撃となった。

 「入ると思わなかったんですけどね」。小林幹の内角直球に詰まっただけに、本人も半信半疑。だが今春のメジャーキャンプで鍛え上げ、大好きなアルマーニの服をピチピチで着こなす新庄パワーには、スタンドインさせる力があった。その結果が3年ぶり20発、そしてプロ入り最速89試合目での到達。自己最多の23発(93年)どころかフィルダー(89年)以来、阪神11年ぶりの30本も夢ではなくなった。

 「何年ぶりとか、どうでもいいですよ」。新庄は素っ気ないが何より、自身へ最高の前祝いとなった。5日、11年半かけてのFA権をいよいよ取得する。「新庄剛志にどれだけの価値があるのか知ってみたい」と話す野球人生において、最大の分岐点だ。本人は結論を「白紙」としているが、オフに宣言すれば争奪戦は必至。何よりこの日の20発クリアで、またその価値は一段と上がった。

スタメン
阪 神広 島
坪 井木村拓
吉田剛東 出
タラスコ浅 井
新 庄金 本
大 豊ロペス
矢 野 島 
根 本ディアス
田 中西 山
川 尻苫米地

 既にブレーブスなどメジャー3球団が調査に乗り出している。神戸での球宴期間中には新庄を高く評価する巨人長嶋監督が「新庄君はレギュラーシーズンを通じて、大きく成長してますからねえ。今後が大いに楽しみですよ」。日米球界の熱視線が降り注がれてるといってもいい。

 その歴史的記念日イブに、自ら最高の景気づけ“3打点”だ。初回タラスコ、2回は吉田剛の2点打で3点を先制し、なお2死二、三塁のチャンス。新庄の平凡な二ゴロを相手が後逸して2者がかえるラッキーぶりも、勝利の女神からの“ご祝儀”としか思えない。新庄に引っ張られた打線は、24時間前のサヨナラの勢いそのままに、今季最多タイの15安打で10得点。昨年同じ8月4日はブロワーズ解雇などで揺れたが、今年はワンサイドゲームで3連勝。左翼虎ファンは2000年最高級の万歳三唱六甲おろしに酔いしれた。

<写真=新庄スマイル全開だ! 長期ロードの初戦で区切りとなる20号を放った新庄は、三塁側スタンドからの声援に最高の笑顔を見せる>

新庄、夢じゃない30発

 <データセンター> ▼新庄が20号を放った。自身3度目の大台到達だが、93年の20号はチーム131試合目。98年は98試合目で、今季の89試合目はもちろん自己最速。新庄のシーズン最多本塁打は93年の23本で、今季はそれを上回るのは間違いない。現在4.5試合に1本のペースで、このままいけば30本に達する。

 ▼阪神が10点をマークしたが、今季2ケタ得点は3度目。5月12日の対巨人7回戦(甲子園)では新庄、大豊の本塁打など14安打の猛攻で12点を記録。6月15日の対中日13回戦(甲子園)では八木の2発、吉田剛の移籍1号など14安打で12点を奪った。またチーム15安打は今季最多タイ。6月30日の横浜13回戦(倉敷)、7月15日の横浜17回戦(甲子園)で記録している。

ノムさん、左ウチワに表情穏やか

 「こういうゲームが10日ぐらい続かんかね…」。大勝後の野村監督は、そういって帰りのバスに乗り込んだ。今季最多タイの15安打で10点を奪った。おまけに川尻が完封とくればめったにない左うちわの白星。表情も穏やかだ。

 先攻の場合のポイントは“1回表”にあるというのが監督の信念だ。「先攻はどうしても1回表(が大切)だ。(緊迫してくると有利なのは後攻めで先攻には)9回裏がないからな」。その言葉通りに初回にタラスコが先制打を放ち、中押し、新庄、塩谷の本塁打でダメ押し。「理想的な展開だった」と話した。終了直後は「今日は何も言うことないわ」と話した監督だが、自然とメガネの奥の目尻が下がる。長期ロードを大勝発進。最後はスタンドからの声援に、珍しく右手を振ってこたえた。

川尻でコイ釣り完封

19試合ぶり先発勝った

 川尻が虎の先発隊の不名誉な記録をシャットアウトだ。広島打線を5安打完封、19試合ぶりに先発投手として白星を手にした。長い間、役割を果たしきれなかった優秀な先発陣もこれできっと気分一新、5日からの波及効果に期待しようっと。

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 10点差のスコアなど関係ない。楽勝の試合展開でも、川尻は最後の1球まで全力をこめた。「しばらく忘れてたからな。8回、9回は、何とか完封したいと思ってたよ」。最後の打者、金本を遊直に打ち取ると、ガッツポーズを突き出した。昨年4月25日以来、1年4カ月ぶりの完封で、チーム単独トップの7勝目をつかみとった。

 「前半は苦しかった」。初回、先頭の木村拓に四球。3回も2安打を許した。だが、この2度のピンチを、狙い通りに併殺に仕留めた。緩急を使ってゴロを打たせる。川尻の持ち味を存分に発揮した。味方の大量援護もあって、4回以降はスイスイ。外野フライは2つだけという川尻らしい完封ショーを演じた。

 これで広島には負けなしの4勝目。対戦防御率は、0.69というコイキラーぶり。しかし、川尻は単に相性だけで結論づけられるのを嫌った。「それはタマタマ。自分の中で、いい感じがつかめたんだよ」。ベストピッチングができれば、相手は問題ではない。チーム勝ち頭となった川尻は、自信たっぷりに胸を張った。

 「たまには、リリーフ陣を休ませたらんとな」。野村監督も1人で投げ切った川尻に感謝。7月5日以来、18試合も先発投手に勝ち星がなかった。当然、救援陣は登板過多となっていた。だが、そんな窮状を、川尻が救った。後輩の面倒見がいいことから“親分”とも呼ばれる男は、マウンドでも親分肌を発揮した。

 「きょうのピッチングなら、次も楽しみだよ」。シーズン当初は屈辱の中継ぎスタートだったが、ローテーションの座に復権し、堂々の7勝目。これでプロ通算46勝47敗。自身3年ぶりの借金返済が見えてきた。そして、チームも最下位脱出が目前。「最下位だけど、まだまだだよ。一歩一歩上げていきたいね」。“エース”は、何度もスタンドの声援に手を振ってこたえた。

<写真=丁寧な投球で広島打線をほんろうする川尻は、マウンド上でも元気いっぱいジャンプを見せる>

ハートキー代役、塩谷も大暴れ

1軍昇格いきなり1号&3打点

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 真っ黒に日焼けした顔から白い歯がのぞいた。「ゲームに出してもらう限りは、絶対に結果を出したろうと思ってました」。ファームで岡田2軍監督の手によって仕込まれた塩谷が、1軍に上がって、いきなり今季1号を含む2安打で、3打点をマークした。

 ハートキーが左わき腹痛で1軍登録抹消。その代役としてファームから呼ばれた。「今年はもう打てないかもしれないと思っていました」。2軍でもバッティングのカベにぶつかっていた。そんな時に、気合を込めて送り出してくれたのは岡田2軍監督だった。「しっかりやってこい」。だから、1軍からの突然のご指名にも力が入った。

 5回裏から三塁守備に着いた。続く6回の初打席では2死満塁から、三遊間を破る2点タイムリー。「最初の打席でヒットを打ててよかった」。8回2死からは、小林幹の内角ストレートを、フルスイングして堂々たる本塁打を左翼スタンドへ運んだ。代役としては余りある働きをしてみせた岡田門下生。いきなりチームの刺激剤となって、勝利を決定づけた。

<写真=8回2死、1軍昇格の塩谷(左)は、左越えソロを放ちベンチ前ナインの祝福を受ける>

タラスコ先制打、吉田が二塁打

6回は9人波状攻撃

 広島球場に虎のバットの快音が響き渡った。打ちも打ったりの虎祭りは、坪井をのぞく先発全員安打の15安打10得点。18歳の苫米地に容赦なく襲いかかった。

 先陣を切ったのはタラスコだ。1回1死二塁でスライダーを右翼線へ。「いい当たりじゃなかったけど、ミートを心掛けたんだ」。この先制適時二塁打が祭り開始の合図となった。2回には1死満塁で吉田剛が外のスライダーを逆らわずに右中間突破の二塁打。「心持ちストライクゾーンを上げて打席に入った。自分もチームもいい感じで野球をやれてます」。この勢いが敵失まで呼びこみ、試合を優位に持ち込んだ。

 そしてダメ押しは6回の9人波状攻撃だった。6点目をゲットしたのは女房役の矢野。「5点取った後、抑えられていたので追加点が取れてよかったです」。先制、中押し、そしてダメ押しの理想的な攻撃。6月15日の中日戦(甲子園)以来の2ケタ得点。溜まっていた虎党の貧打ストレスが、久々に発散された。

復帰・大豊が内野安打

 出場停止の処分明けとなった大豊が、5番一塁でスタメン出場した。一発こそ出なかったが、4回にシブ〜イ当たりの二塁を放った。「勝ててよかった。(大勝で)見事だったよ」。7月20日巨人戦(甲子園)で審判に対する暴言と暴行で出場停止7日間、制裁金20万円の処分を受けていた。3打数1安打も、2つの四球を選んで相手を怖がらせる大砲ぶりを発揮していた?

(40勝48敗1分:6位)


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