| 第70戦 (7月5日) |
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新庄、お久しぶりの16号粘りに粘って12球目
梅雨明けトラ打線13安打
3年前とは大違いの光景だ。新庄を“無視”した大阪ドームのスタンドが、背番号5に総立ちで拍手を送る。技ありの1発を放った新庄が、ファンの心からの信頼を勝ち取った。 「マグレ、マグレ」。そっけなく振り返ったが、これまでの新庄にない本塁打だった。5回1死二塁からのダメ押し16号。左翼席に運んだのは、実に12球目だった。2―2と追い込まれてから、粘りに粘る。山崎慎のシュートを2球ファウル。1球ボールの後、外角、内角に変化球を投げ分けられても、軽くカットした。11球目はポールの左へ切れる大飛球。このファウルでタイミングをつかむと、ついに12球目を捕らえた。外角低めの難しいスライダーだったが、楽に左中間へ運んでみせた。 「ファウルで粘っていれば、必ずチャンスが来ると思ってた」。打つときは豪快、凡退する時はあっさり。そんな以前の姿とは別人だ。「欲が出てきたんじゃないかな」。柏原打撃コーチは、新庄の粘りに、精神的な成長を認めた。 3年前、この球場で、人生最大の屈辱を味わった。『新庄剛志 そんな成績で出場するな 恥を知れ』。スタンドに、こんな横断幕が掲げられた。97年の球宴、前半戦わずか9本塁打ながらも、ファン投票で出場した。だが、大阪ドームで待っていたのは、ファンの応援ボイコットという仕打ち。人気先行ゆえの苦しみだった。しかし、あれから3年。いまだに「あれは忘れんよ」という新庄が、人気に実力が伴なったことを、ファンに認めさせた。
これが、6月13日以来の本塁打。14試合ノーアーチの空白は、今季最長。不振ではなかったが、久々の1発が期待されていた。 右太ももを痛めたタラスコがこの日、出場選手登録を抹消された。タラスコは練習中、ベンチ裏で記者会見。そこを通りかかった新庄は、報道陣の輪に紛れ込んで「東京(7日からの神宮でのヤクルト戦)には間に合うんでしょ」と“質問”した。登録抹消の事態を知らずに、おどけていた。だが、タラスコは10日間いなくなる。先に2軍落ちしているハートキーも、まだ再登録できない。外国人打者はフランクリン1人。その非常事態で、4番に座る新庄が、主砲の存在感を見せつけた。 「点を取るのは水ものだから」。13安打の快勝にも、野村監督はかぶとの緒を締め直した。だが、再び新庄がアーチ量産態勢に入れば、野村監督の心配は杞憂に終わる。 <写真上=本日はこの人が決めてくれました。5回1死二塁、新庄様の久しぶりの16号2ラン 写真下=フランクリン(右)もおんなじポーズで新庄をお出迎え> フランクリン“お膳立て”“怪打”後に“快打”二塁打新外国人選手フランクリンが“怪打”の後に“快打”を放った。5回、カウント1―3からの5球目は高々と舞い上がり、大阪ドーム一塁側のリング状になった屋根の上へ。前夜(5日)新庄が放った時は落ちてヒットとなったが、この日は落ちてこないでボールデッド。ハプニングに球場はざわめいた。しかし直後、次の球をジャストミート。右中間へ運び、左打席での初安打となる二塁打を放ち、猛打をアピールした。フランクリンは「つなぐ気持ちでいた。ファウル? いつ降りてくるのか分からなかったから、一生懸命走ったよ。前に飛べば、ホームランだったのに」と苦笑いだった。ただし9回表、守備で2試合連続のエラー。守備に関しては「これから練習します」と素直に反省していた。 秀太、山田、平尾が三塁打ワキ役がいい仕事初体験の一打に、山田が照れた。「まぐれです、まぐれ…」。チームを引っ張ったのは、選手会長のこの男。プロ13年目で初の三塁打を放ってみせた。
「(記録のところを見ていると)ずっと三塁打のところがゼロでしたから。選手を辞めるまでに1度は打ちたいと思っていました」 “初体験”に山田、大照れそういって周囲を笑わせた山田。6回平尾が右中間を破る三塁打で出塁した直後。浅めに守った右翼手前田の頭上を越える当たりを放ち、快足を飛ばして? 塁をおとしいれた。 山田のメモリアル三塁打で平尾が生還。「チクショー! (バットに)当たんねぇよ」。ゲーム前の打撃練習で悩んでいた平尾だったが、連続三塁打で勝負を決めてようやく笑顔を見せた。 脇役たちの働きで光ったのは、この2人だけではない。先取点は田中のバットがもぎとった。3回2死一塁。沢崎のカウント2―1からのフォークを、右中間への三塁打だ。「昨日バントを失敗していたので取り返せてよかった」。一走川尻がホームイン。先手をとって優位に戦う勝ちパターンへ持ち込む貴重な一打だった。 試合後は「バッティングのことはいいですよ」と山田。8回小林敦から右腕に死球を受けてにらみ返すと、両チームがベンチを飛び出す場面もあった。そんなエキサイティングなポーズにも、チームを勝利に導いた選手会長の貫録が漂っていた。 川尻6勝“新コイキラー”や粘投、8回1失点10K
スピード戻り、左打者もOK新コイキラーの襲名だ。先発川尻が、広島打線を思い通りに“料理”した。8回2死から金本に1発を浴びて今季初完封こそ逃したが、安定した投球で6勝目。藪と並ぶチームのハーラートップに躍り出た。 「ここ(対広島)は左が多いから今まで投げることが少なかったんだけどね。でも左にも通用するようになったからね」。 昨年までの3年間は対広島戦で勝ち星なしだった。しかし今季は3度先発して3勝0敗。勝ち星の半分を稼ぎ出すキラーぶり。通算20回を投げて自責点も2。完全に見下ろした投球ができている。 「真っ直ぐが走るようになったから変化球も生きるようになったと思う」。 1回2死一塁で金本を空振り三振に切ったのは140キロの真っ直ぐ。これを皮切りに、打たせて取るタイプの右腕が10個の三振を並べた。川尻といえば100キロを切る“遅球”を駆使するイメージがあるが、それもストレートが走ってこそ威力が倍増する。徹底した走り込みで、昨年まで130キロ台だったストレートが元来のスピードに戻った。「緩急がうまく使えたと思う」(山田捕手)。左打者に内角で勝負できるストレートの復活が、好調の要因なのだ。 もう1つ忘れてはいけないのが大阪ドームとの相性。「ここはいいんだよね…」。一昨年11月、メジャーを相手に9回1死までゼロ封の好投を演じた。自信を付けた球場だけに、簡単にはマイナス思考にならない。「立ち上がり心配だったけど、立ち直ってくれたのが1番でしょう」。野村監督もそんな粘りの投球をほめちぎる。今後もコイ料理なら、川尻にお任せ。新コイキラーの存在は、何より頼もしい。 <写真=躍るようなピッチングで藪と並ぶ、チームトップタイの6勝目を挙げた川尻>
吉田豊が復帰、即好投この日、出場選手登録されたばかりのベテラン吉田豊が即登板した。川尻の後を引き継ぎ、最終回を無失点に抑える好投。6月14日の対中日戦(甲子園)で先発して以来となる、久々の1軍マウンドで結果を残した。 (31勝38敗1分:6位) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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