第68戦 (7月2日)
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3打点のハートキー2軍落ち

さわやか「ベストは尽くした」

 虎が猛爆ですわ。3夜連続の逆転で横浜粉砕ですわ。あの貧打線が大ヘンシ〜ン。3連勝で30勝です。2二塁打3打点のヒーロー・ハートキーは新加入フランクリンの昇格に伴い、試合後に2軍降格が告げられた。それでも「ベストを尽くした」とさわやかに連勝バトンをF砲に渡した。前代未聞のヒーロー降格という“離れ業”を演じるタイガース。この調子なら楽々と最下位を脱出、球宴5割ターンも夢じゃない?

7月2日・甲子園
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
横 浜
阪 神
×
【勝】ハンセル【敗】川村
【本】大豊9号(2ラン=川村)

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 爆勝劇に酔いしれた虎党の六甲おろしが甲子園の夜空に鳴り響く。新庄が打った。大豊も打った。タラスコだってタイムリーだ。痛快極まりない3夜連続逆転での横浜粉砕。こんなうれしい夜はない。選手ロッカーにも勝利の興奮が充満する。その時、ヒーローの一人に“衝撃的”な通告が行われた。試合後のコーチ会議で新助っ人フランクリンの1軍昇格が決定。同点打を含む2安打3打点のハートキーが2軍降格の通達された。

 ハートキーにすれば、まさか、の思いもあっただろう。この日の働きは光っていた。2本の二塁打は、いずれも価値ある一打。1点を追う3回、無死一塁から左中間を痛烈ライナーで破って同点とし、続く4回には右翼線に弾き返してリードを広げる2打点をたたき出した。「(ヒット以外の)3三振を差し引けば、満足いく結果だった。何よりチームの勝利に貢献できたからね」。ペナントレンースで折り返しとなるゲームでチームを3連勝に導き、虎祭りを演出した。虎党がバンザイしながら「レッツゴー・ジェイソン!」を繰り返す。胸を張れる活躍ぶりだった。

 入れ替わりとなるフランクリンとは旧知の仲でもある。高校時代、地区のオールスターで同じチームでプレー。そして2年前にはカブス傘下3Aアイオワで共にメジャーを目指した。試合前の練習では、そのフランクリンが三塁のノックを受けていた。自分のポジションに忍び寄る危機を敏感に感じ取ってはいたが、無関心を装っていた。刺激を受けての2二塁打3打点。しかし、現実は非情だった。

スタメン
阪 神横 浜
坪 井石井琢
田 中金 城
ハートキー鈴木尚
新 庄ローズ
大 豊佐 伯
タラスコ中 根
平 尾谷 繁
山 田多 村
ハンセル川 村

 「彼がなぜチームに入ったか自分になりに分かっている。仲間の得点力がないとかだろう。でも、自分は試合に出ているんだから、それに集中している」。2軍落ちが決まる直前の試合後にそう話したハートキー。「いい刺激になっているのかねえ」。外国人の選択に頭を悩ませていた野村監督はまずはフランクリンのパワーを選択した。

 「ベストは尽くした。1軍にいようが、2軍にいようが自分の姿勢は変わらない」。ショッキングな通告にもハートキーは務めて冷静な態度だった。2週間の日本滞在を終えて6月29日に帰国した父テリーさん(52)が別れの言葉で残したのも「ベストを尽くせ」だった。ハートキーの“置き土産”で前半戦を爆勝ターン。助っ人のサバイバルレースが連勝を呼んで最下位脱出も目前だ。白星のバトンはフランクリンに渡された。

<写真=4回大豊の2ランにハイタッチで出迎えるハートキー。3打点の大活躍だったが、ゲーム後には前代未聞の2軍降格が通告された>

 <データセンター> ▼阪神はここ数年、後半に失速し下位に低迷するパターンを続けている。昨季は68試合を消化した時点で首位の中日に3ゲーム差の3位につけていたが、その後は20勝47敗で勝率2割9分9厘。最下位に落ち着いてしまった。1シーズン135試合となってから、後半戦の勝率が前半戦を上回ったことはない。上り調子の阪神が勢いを維持し、これまでの劣勢をばん回できるか▼阪神はこの横浜3連戦すべて逆転で勝ったが、逆転での3連勝は昨年8月22日巨人戦(東京ドーム)から28日のヤクルト戦(甲子園)まで、逆転で4連勝して以来▼また横浜戦3タテは1997年4月22日の4回戦から24日の6回戦までの3連勝して以来、約3年ぶり。なお、この時は以後11回戦まで対横浜8連勝した。

大豊、4戦連続安打&3発

 夏、それは大豊の季節。気温が上がれば上がるほど、この男の好調モードもグングン上昇だ。この日はダメ押し9号2ラン。4点リードで迎えた4回2死二塁。横浜川村の内角137キロ直球を叩き、満員のライトスタンドへ届けた。

 「いい打ち方が出来たね。でもヒーローはオレじゃないよ」。試合後の大豊は照れまくった。だが4回で7―1とし、横浜の戦意を喪失させた“陰のMVP”だ。前夜、今季初のお立ち台。「これからはビールの季節。みなさん大いに飲んで下さい」と爆笑を呼んだ。この日も試合前からご機嫌。「この次は、ワインを飲んで下さいとでも言おうかな」。お立ち台は新庄に譲って「ワイン」は幻となったが、そんなジョークが出るのも、絶好調の証しだ。

 今季初の4試合連続安打&打点、そして4戦3本塁打。連日の早出特打など、大豊をアシストして来た長島打撃コーチ補佐が、完全復活に太鼓判を押す。「内角の直球をああいう形でホームラン出来るのは、去年のいい時の感じになって来てる証拠。まあ、アイツは2カ月スタートが遅かったからね」。序盤不振の原因は2月キャンプで左ふくらはぎを痛め、十分振り込めなかったこと。だが大好きな夏に来て、ようやくその遅れも挽回した。

新庄V打&スーパー返球

流れ代えたメジャー級プレー

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 「新庄、イチロー、(西武の)松井。この3人はスゴいよ」。伊原守備コーチは、3大プレーヤーの1人に、新庄を数えた。いや、それどころか、野村監督は、唯一無二の存在と認めた。「本当に絶品。あれは新庄じゃないとできない」。球界最高のセンターが、最高のプレーを見せつけた。

 2回2死一、二塁。石井琢の打球は、ショートの頭上を越え、外野芝生に弾む。追う新庄は、ボールだけでなく、横浜青山三塁ベースコーチも視界に入れた。「回してくれ、回してくれ」。その願い通り、二走谷繁が三塁を蹴る。これを見た新庄はほくそえんだ。「楽勝でしょう」。打球をつかむと、体を左にひねるように、本塁へ送球。ボールがうなり、そして伸びる。地面すれすれのノーバウンド返球は、捕手山田のミットに収まった。メジャー顔負けのスーパー返球に、甲子園がどよめいた。

 「打点1、ホームラン1本の価値はある」。新庄も胸を張った。序盤不安定だったハンセルを「あのプレーが、精神的にも助けになった」と立ち直らせ、試合の流れを一変させた。

 しかも、その阪神の流れを決定づけたのは、新庄のバットだった。3回、ハートキーの同点二塁打の直後。三塁線を低いライナーで破る二塁打。「最初はランナーを進めようかなと思ったけど、自分で決めたいと思った」。6月13日以来、今季5度目の決勝打だ。

 打ってよし、守ってよし。さらに、お立ち台でも、ファンを沸かせる。「明日も勝つ、って言ったら負けちゃうんで…」。昨年2度の『明日も勝つ』宣言は、いずれも公約破り。この日は「また甲子園に足を運んでください」と控えめに締めくくった。このはにかむ姿が、スタンドの爆笑を誘う。最後まで、新庄がスターだった。

<写真=2回2死一、二塁走者谷繁をホーム寸前でアウトにする>

ハンセル“泥まみれ”3勝

ボール追い突進…走塁妨害

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 ハンセルがキズだらけの力投で白星をもぎ取った。壮絶シーンは4回表、2死の場面。多村の打球が自身の左足に当たる。ボールは一塁側のラインに転々…。ハンセルはちゅうちょすることなく突進し、一塁めがけて全力疾走する多村と交錯した。

 「闘牛」のように頭で走者の足元をすくい、多村をグルッと1回転させた。結局、走塁妨害となり、自身も右手親指を突くアクシデント。5回を投げきったところで降板したが、気迫あふれるプレーでスタンドを魅了。猛ファイトの代償は3勝目だった。

 ハンセルは「足は全然大丈夫だけど、手はちょっと痛みがある」と苦笑いも、勝利については「攻撃の助けがあったからね。気を取り直していったよ」と声を弾ませた。初回、ローズに適時打を許したが、その後は粘投。まもなくビビアン夫人(31)と5月23日に生まれたばかりの長男ジェイコブ君が来日。助っ人の闘志はますます燃え上がる。

<写真=魅せたぞ虎の執念! 4回2死、多村の投ゴロを弾いたハンセルは、一塁線上まで追いかけ激しく交錯。汗を飛び散らせて倒れ込む>

T砲、3戦連続打点

 ハートキーに負けじと、タラスコも連夜のいい働きで勝利に貢献した。ハートキー、新庄の連続適時二塁打で逆転した3回、なお1死二塁。川村の113キロチェンジアップを右前へ弾き返す、貴重な中押しタイムリーだ。「初回(2死満塁)のチャンスで力んでいい結果が出なかったから、リラックスを言い聞かせて打席に入った。お陰で強く叩くことができたよ」。こちらも2試合連続本塁打を含み、3試合連続打点。フランクリン効果で完全復調モードだ。

田中、初の全打席出塁

 2番田中がプロ入り初の全打席出塁で、勝利へのシブーい脇役をこなした。初回の一塁内野安打を口火に、3回第2打席でも逆転のきっかけを作る四球で出塁。以後も内野安打、四球、四球で全5打席に出塁した。2打数2安打3四球で出塁率10割。「こんなのは自分でも初めてですよ。でもヒットはあんまり打ってないから…」。本人は照れたが、これぞ見事なつなぎぶり。しかも6月28日の巨人戦(東京D)でスタメン復帰以降、4試合連続2安打でこちらも復調気配だ。

伊藤、遠山ピシャリ

 伊藤―遠山のリレーで逃げ切った。アクシデントで降板したハンセルの後をベテラン2投手が引き継ぎ、2イニングずつ登板。マシンガン打線相手に無失点リレーを決め、チームの3連勝に貢献した。8回から登板した遠山は「(登板の)間が空いていたし、最初は球が上ずっていた。けど、9回は自分の投球をとにかくやろうと考えた。抑えられて、よかったよ」と目を細めていた。

(30勝37敗1分:6位)


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