第65戦 (6月28日)
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福原、今季初被弾…借金“10”

まさかの逆転負けで5連敗

 サヨナラを告げる弾丸ライナーがライトスタンドに飛び込んだ。福原が打たれた。若きエースが今季初被弾、トラはついに借金「10」だ。2ラン2発で主導権を握りながら、長嶋巨人に力でねじ伏せられた。5連敗。苦闘の出口が見えなくなってきた。さあ、どうする野村阪神…。

6月28日・東京ドーム
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神
巨 人
1X
【勝】岡島【敗】福原
【本】大豊7号(2ラン=河原)、坪井2号(2ラン=河原)
仁志11号(2ラン=川尻)、高橋由11号(ソロ=福原)

昨年プロ初アーチを浴びた高橋

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 悲劇という言葉だけで片付けるには、ショックが大き過ぎた。同点の9回裏、先頭高橋由のバットから乾いた音が発せられた瞬間、考えたくもない悪夢が現実になった。マウンド上の福原は、サヨナラアーチが吸い込まれた右翼席をぼう然と見つめたまま動けない。まさか、まさかの逆転負けで5連敗。虎の借金はついに“デットライン”を超え今季最多の「10」に膨らんだ。

 「初球から振ってくるからボールにしようと思ったんですが…。甘く入ってしまった」。うつろな目の福原が、力なくつぶやいた。同点の8回裏、今季3度目の救援マウンドに上がった2年目右腕。江藤、松井、マルティネスを簡単に3者凡退に仕留めて、勝利だけを信じて9回のマウンドに上がった。「フォークのすっぽ抜けは怖いぞ」。山田の忠告を頭にたたき込んだはずが、見入られるよう初球フォークが抜けた。「高橋由への初球? 気をつけるのは分かっていたはずです」。八木沢投手コーチも“痛恨の1球”に苦々しく言葉を吐いた。

スタメン
阪 神巨 人
坪 井仁 志
吉田剛清 水
タラスコ江 藤
新 庄松 井
ハートキーマルティネス
大 豊高橋由
矢 野元 木
田 中村田真
川 尻河 原

 今季開幕から73イニング被本塁打なしを誇った福原が、初アーチを献上したのが昨年の開幕戦でプロ初被弾を喫した高橋由。同じ東京ドームで、この日と同じように高めのフォークを右翼へ運ばれた。何とも皮肉な巡り合わせだった。

昨年より1ヶ月以上早く非常事態

 サヨナラ負けの瞬間、踵を返して通路に歩を進めた野村監督の表情も強ばっていた。勝てる試合だったからこそ、悔しさは募る。巨人のお株を奪うアーチ攻勢で2回に4点を先取。連敗の出口は、見えていた。だが先発・川尻が7回に同点にされる展開は指揮官のIDも狂う結果になった。「仁志のホームランは計算になかった。ヒットを打たれたら代えようと思ったんだが…」。

 昨年より1カ月以上も早い2ケタの借金を背負い込んだ野村阪神。要となる正妻・矢野の負傷離脱の非常事態も発生し、深い泥沼に入りこんでしまいそうだ。

<写真=何でや、勝っていたのに! 9回無死、高橋由にサヨナラホーマーを浴びた福原(左)は、ボウ然とベンチへ向かう>

川尻「好きなように書いて」

7回、仁志に痛恨2ラン

 川尻が仁志への1球に泣いた。6回まで3失点も粘りの投球を続けていた。それが2点リードの7回2死三塁。打者仁志に対してカウント2―2から内角球を投じた。運命の109球目。思い切りよくフルスイングした仁志の打球は必死に追う左翼手坪井をあざ笑うかのように左翼最前列へ消えていった。リードをすべて吐き出し、試合の流れは巨人に大きく傾いた。

 ベンチでサヨナラ負けを見届けた後、川尻は敗戦の責任を一身に感じていた。「打った仁志がうまいよ。好きなように書いておいて」。記者団の質問にもそう答えただけで、後は唇をかんでいた。八木沢投手コーチもショックは大きい。「仁志にはよく打たれているのでもっと注意しないと。細かいコントロールが…」と川尻らしからぬ1球を責めた。勝てば藪に並ぶ6勝でチームの勝ち頭だった。それだけに川尻にとって悔やんでも悔やみきれない1球だった。

大豊と坪井の2ラン2発実らず

河原を2回KOしたが…

 一度は、勝利の夢を見た。大豊、そして坪井。前日スタメンを外れた2人が、2回に意地のアーチを東京ドームにかけた。それも先制、中押し。ともに2ランで一挙4点のビッグイニング。それが、この日唯一の清涼剤だった。

 まずは大豊が、ポパイパワーを見せつけた。2回無死一塁、河原のフォークをガツン。右翼5階席最上段の看板を直撃する超特大弾だ。残念ながら賞金の出ない看板だが、何よりも5月12日の巨人戦(甲子園)以来、33試合1か月半ぶりとなる先制7号2ラン。「いい感じで振りぬけたよ」。前日の試合前練習からサク越え17発を放つなど上昇気配で、野村監督の起用文字通り1発回答を出した。

 大豊の目覚めに、坪井も続いた。2死三塁。今度は振り子が、5月18日の横浜戦(甲子園)以来、28試合ぶり2号を右中間に突き刺した。これで前回16日の対戦(甲子園)で2安打0封負けした河原を2回でKOだ。

 だがしかしで、まさかの逆転負け。「オレのはマグレ。それより勝ちたかった」と大豊が首を振れば、坪井も渋い顔。「勝たないと何も意味がない。でも福原が抑えで今一番いい形でやってると思うし、アイツは責められない」とサヨナラ弾の背番号28をかばった。だがこの2人の復調気配は、少ない明るい材料。大豊、坪井の復活なしに、虎の逆襲もあり得ない。


矢野、左わき腹痛でリタイア

最悪、前半戦絶望か

 矢野が左わき腹痛で途中退場した。矢野輝弘捕手(31)は28日、東京ドームで行われた巨人戦の3回、第2打席でファウルを打った際、左わき腹に痛み感じ、その裏の守りから交代。試合中に宿舎へ戻り静養した。猿木トレーナーによると「3週間前から痛みを訴えていたが、ファウルで痛みが増したみたい」。29日に大阪へ帰り、市内の病院で詳しく検査するが最悪の場合、前半戦出場が難しくなりそうだ。野村監督も「我慢していたけど、あの打席で完ぺきにやってしまったみたい。抹消されると思う。守りだけは大丈夫、何とかなると話していたんだが…」とショックを隠しきれない。

 矢野は「自分自身でもだましだまし、やってきたんですが、今日は無理ですと正直に言いました」と話した。ここまで強力投手陣を支えてきた正捕手の戦線離脱は、阪神にとってサヨナラ負け以上に痛手。なお矢野に代わって北川博敏捕手(28)が昇格し、山田、カツノリと3人態勢で臨む。

(27勝37敗1分:6位)


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