第55戦 (6月13日)
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新庄アーチで逆転4連勝

テール脱出、首位に3.5差

 新庄が4戦連発。しかも、打てば勝つの神話で4連勝。そして最下位脱出だ。中日バンチから打ってくれました。センターへの逆転の15号2ラン。「プロに入って、1番うれしいホームランです」。新庄も興奮なら、ファンも大歓喜。もう、たまりません。今日も打って、また快勝。何なら、このまま残り試合全部打ったら優勝やで。

6月13日・甲子園
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
中 日
阪 神
【勝】星野伸【S】葛西【敗】バンチ
【本】山崎6号(ソロ=星野伸)、新庄15号(2ラン=バンチ)

4戦連発「一番うれしいアーチ」

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 新庄剛志、28歳。もう「素質だけの選手」とは呼ばせない。プロ11年目にして、ついに打撃開眼。今度こそ、ホンモノだ。見たか、4戦連発弾の軌道を! 特大の逆転2ランはバックスクリーン右へ飛び込んだ。「プロに入って、一番うれしいホームラン」。この1発は、大打者への道を歩み始めた新庄にとって、記念すべき第一歩だ。

 6回無死二塁。バンチの外よりの直球を狙う。楽に運んだ打球は、どんどん加速。ボールは霧雨を突き破り、バックスクリーン右へ、そのまま飛び込む。自身2度目の4試合連発アーチ。この2ランが、今季2試合目のチーム逆転勝利を呼び込んだ。

 甲子園のラッキーゾーンが撤廃された92年以降、チーム最速(55試合目)の15号到達。だが、記録よりも、記憶に残る1発だ。「いいフォームで、いいタイミングで、あの方向に、楽勝で入った。だから、一番うれしい」。プロ通算132本目にして、最高の1発と自画自賛。今季初めてセンターから右へ放り込んだ本塁打は、正真正銘、打撃開眼を証明するものだ。

ノムさん「何かつかんだ」

 「何かつかんだみたいだ。野球はみんなでやるもんだということが、分かったみたい」。野村監督が喜びをかみ殺すように、ドラ息子の変身を証言した。

 1点を追う無死二塁という状況。去年までの新庄なら、自分がヒーローとなる姿しか見えなかった。「オレがホームランを打ってやる、逆転してやると思ってた」。この目立ちたがりの性分が、成長を妨げていた。だが、逆転弾を放った打席、新庄は、後続につなぐことを念頭に置いていた。「(進塁打の)セカンドゴロでいいと思った」。『チーム優先』の野村野球が染み付いて、やっと殻を破ったのだ。

スタメン
阪 神中 日
坪 井種 田
平 尾関 川
タラスコ 李 
新 庄ゴメス
ハートキー立 浪
根 本山 崎
矢 野井 端
田 中中 村
星野伸バンチ

 いわば、野球哲学が変化した。この理由を、新庄は「勝ちたいから」と表現した。昨年、一度は首位に立ったが、後半戦は大失速の最下位。悔しさを初めて痛感した。シーズン後「今年は、イケると思ったのに」と漏らした。『優勝』、少なくとも『優勝争い』を本気で意識した。だから、今は、本気で「勝ちたい」と思える。去年までは、負け試合の後も、それなりにコメントを残したが、今年は、完全に口を閉ざす。「負けたら、聞きに来ないで」と報道陣に要望した。「勝ちたい」。その気持ちがバットに伝わる。

「4の2」打率も3割

 最終打席にも安打を放ち、昨年6月17日以来の打率3割に到達した。新庄は「すぐ落ちるよ」とちゃかしたが、その言葉が信じがたいほど快音が続く。新庄の4試合連発が、チームを4連勝に導いた。5月14日以来の最下位脱出。「オレが打てば勝てるというジンクスを作っていきたい」。首位中日まで3.5差。真の主砲・新庄が、上位殴り込みの先導役となる。

<写真=6回裏バンチから4戦連発、4連勝弾をバックスクリーン右に放った新庄はナインの祝福に雄叫びを上げベンチにガイ旋だ>

帰って来た坪井、ラッキー打

中前打を李スッテン後逸

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 帰って来た坪井がラッキーボーイだった。「ミスに付け入るのも野球なんですけどね」。8日の巨人戦で痛めた右足かかと捻挫から、3試合ぶりのスタメン復帰だ。

 1点をリードされた5回裏だった。2死一塁。バンチから会心の中前打を放った。一塁走者は投手の星野伸。当然、いったんは二塁に止まる。が、その矢先だった。小雨の影響で芝にスリップしてした李が、打球を後逸。必死にスタートを切り直した星野伸が一気にホームイン。打った坪井も三塁到達で、たちまち同点に追いついた(記録は安打と失策)。

 6月10日横浜戦(札幌)では、強風が相手エラーを誘う幸運。横浜の野手陣が2点タイムリーエラーを3度も演じてくれて、まさにタナボタ勝利だった。そして、甲子園に帰ったこの日はゲーム前から小雨が降り続く悪天候。それが相手のプレーに微妙に影を落として、また白星を導く。

 「久しぶりにゲームに出ていい感じでヒットも打てました。足? 大丈夫ですよ」と坪井。核弾頭・坪井のカムバックで、チームに加速をつけたいところだ。

<写真=5回裏、2死一塁、坪井は中前にヒットを放つ>

田中「落球」帳消し、ダメ押し打

8回、矢野の犠飛に続いた

 勝利の瞬間までドキドキしていたのは田中だった。「勝ってくれと思ってた。勝ってくれ〜、という感じでした」。同点の6回無死一塁。ゴメスの高々と上がった飛球をまさかの落球。「全然見えなかった」。この失策でピンチが広がり、無死満塁から山崎の犠飛で1点リードを許してしまった。

 しかし、田中はこのエラーをタイムリーでお返しだ。8回1死満塁で、7番矢野が貴重な右犠飛を放つ。「追い込まれ方が悪かったので必死でした。なんとか食らいついていきました」。それに続いた8番田中が一、三塁から中前適時打だ。ただ、試合後は苦笑いを浮かべながら「取り返してないです。とにかく勝てば少しは(自分のエラーも)救われますから」と、会心の当たりにも反省しきりだった。

ハートキー、両親の前で猛打賞

 不振にあえぐ助っ人ハートキーが両親の目の前で大ハッスルした。2回に左前打、4回に中前打、そして8回に貴重な追加点のお膳立てを作る左翼線二塁打。本来のシュアな打撃が復活し、5月12日の巨人戦(甲子園)以来の猛打ショーを、初観戦の両親にプレゼントした。

 「今日はボールがよく見えていたよ。札幌では自分の打撃ができなかったが、新しい気持ちで取り組んだんだ」。

 前日(12日)は両親を関西空港へ迎えに行って、そのまま久しぶりの家族団らんを楽しんだ。かつて独立リーグの選手で、野球を教えてもらった父テリーさん(52)からは「自分の打撃を信じてガンバレ」とゲキを飛ばされ、モヤモヤが吹っ切れた。「今までボール球に手を出していたが、我慢できるようになったよ」。まさにオヤジ効果で復調。ハートキーが上昇カーブへのキッカケをつかんだ。

星野、防御率0.94で4勝

まさに甲子園の“星”

  甲子園男が首位中日打線をほんろうだ。阪神先発、星野伸が得意の甲子園で6回0/3を2失点に抑え、今季すべて甲子園勝利の4勝目。伊藤―吉野とつないだ後は、炎のセットアッパー中込が力感あふれる投球だ。葛西は9回を完ぺきリリーフで5S目。ほんま虎投は頼もしい。

球宴出場へ猛アピール

 星野伸はファンの注目度の高さをヒシヒシと感じ、同時に励みにしている。球界の祭典・球宴が近づいてきた。阪神に移籍した区切りのシーズン。ファン投票の中間発表は投手部門の3位。オリックス時代の過去7度はいずれも監督推薦で出場した。

 だが「出るなら、それなりの成績を残して胸を張って出ないとねえ…。10勝近くするとか、防御率がいいとか。今は中途半端だから…」。前回6日の対巨人戦(東京ドーム)で敗れ、3勝4敗と負けが先行した。どこかで釈然としない気持ちを抱えていた。

 そんな思いを払しょくしたい。調子は決してよくなかったが、星野伸は粘りを発揮した。「セットになって、球が高くなった。タイミングも、バランスも悪くなったね」。4回まで無安打も5回、山崎にソロを浴びその後、満塁のピンチも招いたが、ここからがベテランの技。関川を三邪飛に打ち取り、切り抜けた。

 結局6回0/3、自責1で降板。今季ワーストタイの4四死球。でも、悪いなりに、勝ちにつなげるあたりはさすがだ。「新庄がいいところで打ってくれたよ」と打の主役をたたえたが、試合を作ったのは、他でもない星野伸だった。

 それにしても甲子園と相性がいい。八木沢投手コーチは「何でかなあ。広さか、雰囲気か、本当に調子がいいよね」と目を細めた。これで甲子園では6試合に登板し4勝1敗、防御率0.94。4勝すべてが本拠地での勝ち星だ。4勝4敗で勝敗も5分に戻した。

 この日は球宴ファン投票2位のバンチに投げ勝った。また、甲子園の猛虎ファンに「阪神・星野伸」をアピールした。

ドラキラー中込、防御率0.00

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 新庄の逆転2ランに輝きを加えたのは、中込の気迫の投球だった。1点勝ち越した7回。先発星野から伊藤、吉野と挟み、2死一、二塁で中込が登場。代打井上に四球を与えて満塁としたが、続くゴメスの打席で二走の種田が飛び出すラッキー。結局、三走の鈴木郁が挟殺となり、ピンチを脱出した。8回もゴメス、立浪、山崎を3者凡退で切り抜けて、中日の勢いをピシャリ止めた。

 「いきなり打たれるわけにはいきませんからね。丁寧に、低めについていこうと思った。リリーフ? だいぶん、この役回りも慣れてきましたよ」5月25日の中日戦(甲子園)でプロ初セーブを挙げて以来の2セーブ目は葛西に譲ったものの、見事なセットアッパー。対中日戦の防御率は0.00のままで、新ドラキラーの誕生だ。

<写真=7回2死満塁のピンチで二塁走者の種田が飛び出したのを見た中込は、三塁走者の鈴木郁を誘い出してタッチアウト>

葛西、完ぺきS

 今や抑えの切り札・葛西が珍しく独力で? 5セーブ目をモノにした。8回に5―2と突き放して9回表の守り。野村監督は5番手のマウンドにためらいなく葛西を送り込んだ。井端を二ゴロに仕留めた後は、中日が左の代打攻勢を仕掛けてくる。それでもこの日は遠山とのジグザグ継投ではなく、葛西の1人舞台。久慈を三振に、福留を二ゴロに切って取って、完ぺきな逃げ切りを果たした。「味方が8回に点を取ってくれて楽には投げられた。いつも通り丁寧に投げました」と、久しぶりに“1人抑え”の充実感に浸っていた。

(25勝29敗1分:5位)


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