第42戦 (5月25日)
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新庄、刺した!スーパー返球

ハートキーV打守り抜いた

 阪神が新庄のスーパープレーで勝った。同点で迎えた6回、無死一、三塁。ゴメスの左中間への飛球をキャッチし、本塁へ“ストライク”返球をみせた。野村監督も絶賛するプレーで失点を防ぎ、後はハートキーの決勝打であげた1点を守り抜いた。これで首位に3ゲーム差。上位進出の予感がしてきた。

5月25日・甲子園
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
中 日
阪 神
X
【勝】川尻【S】中込【敗】武田
【本】今岡1号(ソロ=武田)

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両監督が絶賛「これぞプロ」

 上本球審の右手が高々と上がった「アウト」。その瞬間、2万8000人の観衆から大歓声が沸き起こった。外野にいた新庄は右手をあげてガッツポーズ。右翼スタンドの新庄コールに笑顔で手を振った。

 新庄のスーパー返球が阪神を救った。同点で迎えた6回、川尻の失策などで招いた無死一、三塁のピンチ。ゴメスの打球は左中間への浅い飛球となった。風は強く左へ吹いている。レフトの坪井は、いち早く落下点に到達した。腰をひいて捕球体勢に入ろうとした瞬間、センターの守備位置から新庄が獲物を求めたハンターのように駆け寄ってきた。打球をつかむと、自慢の強肩で素早く返球。本塁へワンバウンドのストライクを投げ、三走の李をベース手前で刺した。

 新庄「ああいう(高く)上がった打球は、オレが捕る、って前から坪井と話をしてるから。(打球が)左に流れたから、どうかなと思ったけどね」

 相手が走ってくればここが見せ場と刺すだけ。「打点1」。新庄の言葉通り、打てなかった分は、守備で1点分の稼ぎをした。

 このプレーに辛口でなる両軍監督が敵味方の枠を超え絶賛だ。星野監督が「まさしくプロのプレー」と脱帽すれば野村監督も「スーパープレーだ。いいプレーをしてくれた。あそこがすべてだったな」と絶賛した。

腹痛治り…H砲

 メジャー並みのスーパー返球を見て新外国人のハートキーも目覚めた。8回1死一塁、詰まった打球に、執念が乗り移る。中日先発武田の球に食らいつき、左翼線上にフラフラと上がった打球は、切れそうで切れない。しぶとくフェアゾーンの芝生に弾む。左翼手李がクッションボールの処理を手間取る間に、坪井が一塁からホームに駆け込んだ。これが決勝二塁打。病欠明けの助っ人が、腹痛をこらえて、大きな白星をもぎ取った。「(欠場した第2戦は)歯がゆかったからね。戻ってきてすぐに、勝利に貢献できたのがうれしいよ」。

スタメン
阪 神中 日
坪 井関 川
今 岡 李 
ハートキー立 浪
新 庄ゴメス
佐々木山 崎
大 豊福 留
矢 野井 上
的 場中 村
川 尻武 田

 前日、風邪による下痢と嘔吐(おうと)をもよおし、試合前に球場を離れた。神戸市内の自宅で静養。チームメートの戦いをテレビ観戦していた。8回、新庄の同点2ランを見届けると、ホッとして眠りに落ちた。しかし、午後11時半、目が覚めると、チームはまだ延長戦を戦っていた。外国人選手を欠いた打線は、決定力不足。延長15回の末、敗れた瞬間、ハートキーは、強行出場を誓った。

 「休ませてもらったおかげで、きょうは体調もよくなったよ」。初回の今岡のソロと合わせて2得点。だが新庄の好守と助っ人の気迫で首位中日に勝ち越した。3試合で計13試合を超える熱闘の後には首位まで3ゲーム差という大きな前進が待っていた。

<写真上=“見せた! これが甲子園野球だ!”6回無死一、三塁、ゴメスのセンターへの打球を新庄が矢野へ向かってスーパー返球 写真下=俊足李も矢野のブロックでタッチアウト、球審上本>

 ハートキー(8回、決勝の左二塁打)「チャンスの場面でいい仕事ができてとてもうれしい。次の打者が新庄さんだったのでつなごうという気持ちだけだった。きのう(24日は胃腸炎で欠場)は悔しい思いをしただけにうれしいよ」

データセンター

 ▼阪神が2―1で中日を破り、23日の第1戦に続き1点差勝ち。今季、阪神の1点差勝ちは4月8日の広島戦(広島・5―4)を皮切りに10度目。内訳は、中日(3勝)巨人(2勝)横浜(1勝)ヤクルト(2勝)広島(2勝)と全球団から勝利をおさめた。このうち1―0の完封勝ちがヤクルト1、広島1、横浜1、中日1と4度ある。

今岡、先制1号

延長疲れのナインにカツ

 今岡に追い風が吹いた。初回、武田から左中間へ第1号。スライダーが真ん中に入ってきたところを見逃さない。風に乗った白球は、左翼スタンド最前列に飛び込んだ。「バットの先っぽでしたけど、風に乗ってよく飛んでくれました。積極的にいこうと思って打席に入ったのがよかったのでしょう」と打った本人も笑顔をみせる。最終回、一打同点のピンチを迎えた2死二塁。最後の打者中村の打球を慎重にさばきゲームセット。「結果的に飛んできただけですからね。まあ、きょうは素直によかったです」というコメントに実感があふれた。今岡に始まり今岡に終わった一戦だった。

 8回1死一塁ではバント2度失敗し三振。これをハートキーの決勝二塁打で帳消しにしてもらう、巡り合わせの良さもついてきた。今季は開幕の横浜戦(3月31日)にスタメン出場しながら、不振で4月11日から30日まで2軍暮らしが続いた。「これで流れが変わってくれたらいいんですが」とポツリ。いや、きっと流れはもう変わっている。

的場、失策ヒヤリ

 1点を勝ち越した直後の9回表、的場が先頭山崎の三遊間の当たりを逆シングルでさばこうとして失策。福留に送られ1死二塁と、あわや同点のピンチを作ってしまった。「バウンドは変わってはいなかったんですが…。とにかく勝ててよかったです。2回には中前にクリーンヒットも放ったが、的場はそれを喜ぶ余裕はなかった。

中込、ビックリ12年目プロ初S

スクランブルで2人斬り

 最後は中込が締めた。1点リードの9回、1死二塁で登板。種田、中村を抑えた。2試合連続の長時間試合で救援投手陣は疲労がたまっていた。そこで中込がスクランブル登板。良い当たりが正面を突くラッキーもあって、うれしいプロ12年目の初セーブをあげた。

140キロ超で勝負

 背番号「1」のデッカイ体が小躍りするようにガッツポーズを決めた。土壇場に訪れた大ピンチを防いだのは遠山でもなければ、葛西でもない。今季3試合目の中込だった。プロ12年目、148試合目の登板で決めた初セーブの瞬間だった。「チャンスを与えてもらって、ここで頑張らないとどうにもならない」。玉の汗いっぱいの顔をほころばせた。

 出番は突然だった。勝ち越して迎えた9回。ウオーミングアップ中の先発川尻が突然、変調を訴え虎のブルペンが慌ただしくなった。「準備していたのは9回から」と中込。先頭山崎に対し、7連投の伊藤が先陣を切ったが、的場が失策。続く福留に遠山が継ぎ込まれた。犠打で1死二塁。一打同点の場面から、にわかストッパーがマウンドへ向かった。

ノムさん「中継ぎ陣に無理させられない」

 「こんなの初めてだし、思い切りいった」。代打種田を中飛。昨年は出なかった140キロを超えるストレート勝負で中村を二ゴロに仕留めて大役を果たした。「真っすぐばかりだった? 中込の一番いいボールだから。あそこはリードうんぬんより気持ちの方」と矢野も強気の攻めを強調した。

 昨年、減量がたたって? 球威が落ちたことを反省。今オフ、10キロ近く増量し、肩に筋肉をつけ、「中継ぎでも心配はない」。不安のあるヒジの負担も減り、かつての球威がよみがえった。「延長戦のつけがきた。中継ぎ陣に無理をさせられない」と野村監督。ベテラン右腕の復活が、チームの窮状を救った。

川尻、ヒジに違和感…緊急降板

今季3勝、先発では初の白星

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 川尻哲郎投手(31)が25日、先発した中日戦(甲子園)で、9回表に突入する直前、右ヒジに違和感を覚えて降板した。

 1点リードで9回表に入る直前の川尻が、投球練習を終えると、急にマウンドを降りた。「7、8回から握力がなくなってきていたので…。ちょっとまずいなと思った」。このイニングを抑えれば完投勝利をモノにするところだったが、無念の緊急降板となってしまった。

 それまでは粘り強い投球で、中日打線をかわし続けた。同点の6回。李に死球、続く立浪の投ゴロをさばいたまでは良かった。だが、併殺を狙って二塁ベースカバーに入った的場へ投げたボールが高くそれた。ルーキー的場との呼吸が合わず、たちまち無死一、三塁のピンチ。ここで新庄のビッグプレーに助けられた。「守りに助けられました。新庄に助けられたよ」。そう言いながらも、なんとか要所を締めるピッチングで、チームに勝利をもたらした。

 8回5安打1失点。今季3勝目は、先発で初めて勝ちとった白星だ。「1勝は1勝でも、ヤクルト戦(5月16日の先発で佐藤に8回、勝ち越し本塁打を浴びる)で大事なところで打たれてるからね」と照れ笑いを浮かべた川尻。心配される右ヒジについては、野村監督は「ダメみたいだ」と語っており、今後は微妙な状況。ちょっぴりホロ苦い白星になってしまった。

<写真=9回、右ヒジの違和感で完投は逃したものの、随所で巧みな投球術を見せて3勝目を挙げた川尻>

 猿木チーフトレーナーの話 (右ヒジが)抜けたような感じになったみたいです。多分、病院には行かないと思います。まず明日の様子をみることになります。

 木戸ブルペンコーチ(先発川尻から、最後は中込までつぎ込んで逃げ切った試合に)「貯蓄がないんだから、みんなできつい思いをして戦っていかなアカンからな」

 遠山(9回無死一塁から救援)「準備? 当然していたよ。これがウチの野球じゃないか」

 伊藤(今季42試合で25試合目の救援)「7連投? 何も疲れてないよ」

(19勝22敗1分:6位)


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