| 第29戦 (5月7日) |
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ミラー大炎上…3連勝スルリ9回、悪夢サヨナラ満塁被弾
吹っ飛んだ信頼打たれた瞬間、虎の守護神から血の気が失せた。広島浅井の打球が右翼席ギリギリに吸い込まれた。ア然、ボウ然、ガク然のサヨナラ満塁アーチ。1点リードの9回、ミラーがまさかの大炎上だ。すぐそこにあった3連勝が、物の見事に吹っ飛んだ。「今日はノーコメント」。守護神の視線が宙をさまよう。 延長15回(4月25日・甲子園)の広島戦は、終盤4回1/3を0封仁王立ちした。そのゲーム以来、13日ぶりのセーブをあげた2日前も笑顔があった。が、この日は一転の放心状態だ。1カ月前の4月9日、同じ広島球場。前田に逆転満塁アーチを浴びせられた悪夢が繰り返されてしまった。 勝ちパターンだった。8回、大豊の勝ち越し適時打で1点リードした。その裏、阪神自慢の中継ぎ陣がフル稼働した。吉田豊(野村を中飛)―伊藤(森笠に左安)―遠山(前田を遊ゴロ)と“一人一殺”を目指しての磐石リレー。そして野村監督は、2死二塁から守護神ミラーを投入する。そして9回…。先頭木村拓に四球、東出に左前打されると、もはや完全に余裕はなかった。バント処理ミス、タイムリー、そしてホームラン。敗戦への坂道を転がり落ちた。 ノムさん「代わる投手がいないんだからしようがない」不安はあっても、ミラーに託すしかない。「現状ではしようがない。(ミラーに)とって代わる投手がいないから」。野村監督も半ばあきらめ口調でこぼした。思えば、開幕直前、ミラーをストッパーに指名した。強い球を投げられる利点とは裏腹、心配は「1発の怖さがあるけど…」(野村監督)だった。そして不安が的中した。この日で今季12試合目の登板。被弾は3本目だ。
その9回、一方で呼吸の乱れもあった。無死一、二塁で広島ベンチは3番町田に代え“バント要員”の玉木朋を起用。阪神内野陣もそれに備える陣形を取る。この時ちょっとした“間(ま)”ができた。前日デビューしたばかりの三塁ハートキーが、戸惑いの表情で遊撃田中に助けを求める。「バントシフトの確認をしただけ」(ハートキー)。プレー再開を求める審判にとがめられる“もたつき”が、追い詰められていたミラーに、微妙な影響を及ぼした。 案の定、三塁線へのバントに三塁への送球を慌てたミラーがファンブル。自らのエラーで無死満塁の大ピンチに広げてしまった。「戸惑いという問題じゃない。(ミラーが)取っていれば済むこと」と伊原守備総合・走塁コーチは重大なミスを犯したミラーを責めた。それにしても…。不安材料を抱える守護神に悩みは尽きない。 厳しい現実を改めて突きつけられ、連勝を逃がした以上の衝撃が残った。首位戦線生き残りへの、アキレス腱にならねばいいが…。 <写真=9回、浅井に劇的満塁弾を浴びたミラーは、ガックリとベンチへ向かう> 四球出しちゃダメ八木沢投手コーチ(救援失敗のミラーに)「(9回先頭打者への)あの四球がいけない。あれを出しちゃいけないんだ」 松井ヘッドコーチ(9回無死一、二塁でのハートキーの守備位置の戸惑いについて)「コミュニケーションが取れてなかった? いや、それ以前の問題や。町田の代打玉木朋で100%バント? いや、100%とはいえん。バスターもあるし、それも頭に入れながら対応していかなアカンからなあ…」 星野“魔”さかの降板劇
粘投も6回突然崩壊先発・星野伸が踏ん張り切れなかった。初回木村拓に浴びたソロ1失点以降は、粘りの投球を続けていたが、6回裏に突然の大崩れ。味方打線が直前表の攻撃で田中の3ランで勝ち越して必勝ムードが漂った矢先、まさかの降板劇となってしまった。 「別に守りに入ったわけじゃないけど、あの回は高く浮いてしまったね」。星野は唇をかんだ。町田に浴びたソロは、甘い高めのスローカーブ。金本は三振に切ったが新井、野村に連続四球。そして伏兵西山に投じたフォークは落ちず、右中間への同点二塁打となった。その後、野々垣四球、投手黒田にまでヒットを浴びてピンチを拡大。6回途中6安打4失点でのKOに、スタンドからはため息がこぼれた。 「(勝ち越し点が入り)力が入ったんじゃないか」とは八木沢投手コーチ。黒星こそつかなかったが、これで前回4月30日の中日戦(ナゴヤD)に続き、移籍初の2試合連続KO。この悔しさは、いよいよ巨人戦初先発が濃厚な次回マウンド(12日から3連戦)で、晴らしたい。 <写真=突然の乱調で6回途中降板の星野伸は、マウンドでガックリ> 葛西、復帰星逃げた6回途中から登板した葛西の復帰星は、幻に終わった。「野球ですからこういうこともある」。左足首ねん挫で1カ月離脱も、6日に1軍再昇格。復帰舞台はいきなり2死満塁の場面だったが、木村拓を一ゴロに打ち取って大ピンチを脱した。「今日はバッターのことしか考えてなかった。足の不安もないです」。敗戦のなかで、頼れるサブマリンの復帰が光明だった。 前日の応援ボイコットに奮起したが…大豊、一瞬のV打
代打タイムリーで黒田KOヒーローになり損ねた。だがこの日、左翼虎ファンから一番の歓声を浴びたのは、大豊だった。不振を極め、前日第4打席から応援ボイコットを受けた男が同点の8回、代打で一時は勝ち越しとなる右翼線へのタイムリー。2死一、二塁から先発黒田をKOしたその一撃に、スタンドも興奮した。 「きょうは特別うれしかったですよ」。阪神私設応援団「全国志明会」中国地区責任者の土手浩司さん(29)は、しみじみと話した。ここ10試合で35打数5安打(打率1割4分3厘)、16三振の大不調。代打の打席は「チャンスだし、他のお客さんの雰囲気を考えて応援を再開した」(土手さん)。が、この日スタメンならボイコットはヒットを打つまで続ける予定だったという。「ボクらもただ騒いでいるだけじゃない。不甲斐ない姿は見たくないし、打って欲しい思い、願いを込めてなんです」。そして大豊が見せた男の意地は、最高の形で結実。結局敗れはしたが、その左翼スタンド前をバスに向かう大豊には、何度もその名を叫ぶファンの姿があった。 監督の指名“意気”に感じ「みんなに迷惑を掛けて来たからね…」。期待に答えられないもどかしさは、大豊自身が一番感じていた。だがここぞの場面、野村監督が指名したのは自分だった。「あの場面、ベンチには和田さんもいたし、佐々木、桧山もいた。なのにボクを使ってくれた。監督には感謝です」。元来が意気に感じて打つタイプ。10試合ぶりの打点は、応援団と指揮官の願いが、乗り移っていたのかも知れない。 「きっかけに? 微力ながら、頑張りますよ」。最後は自分に言い聞かせるよう、強く言い切った背番号55。8日の移動日は甲子園で打ち込み、完全復活を目指す。 <写真=8回2死一、二塁、代打大豊が意地の右前タイムリーを放つ> “輝”ラリ!秀太4打点プロ初アーチも出た派手なガッツポーズが飛び出した。ショッキングなサヨナラ負けの中で、ひと際光ったのは、田中のプロ6年目にして出たプロ初アーチだった。同点の6回。矢野と平尾の連打で2死一、二塁。黒田のスライダーをコンパクトにたたいた打球は、右翼スタンドに飛び込んだ。 「引っ張ろうと思ってなかったんですが、ボールが高めに入ってきたので…。うまく振り抜けました」。 ホームインしてナインから手荒い祝福と冷やかしを受けた田中は「自分でもビックリしましたよ」と、目を丸くした。 今春キャンプでは、ドラフト1位的場と遊撃のポジション争いを続けた。熊本工からプロ入りした田中にとって、同じ77年生まれのルーキーに負けるわけにはいかなかった。野村監督の就任1年目の昨シーズン116試合に出場。ちょっとでも長くプロの飯を食った男の意地が、新人の1軍入りを寄せ付けず、今季もレギュラーを守っている。 平尾ら同じ若手の台頭にも刺激を受ける。ただ、レギュラーの座を揺るぎないものにするには、まだ納得できるレベルまではいかない。「実感はないですが、これからジワジワとこみ上げてくるのかもしれません」。区切りの一発を放った田中にとって、また新たな戦いが始まる。 矢野、今季3度目の猛打賞好調トラ打線、4戦連続2ケタ安打サヨナラ負けで最悪の結末も、打線は好調。4試合連続の2ケタ安打を記録した。この日は12安打で、猛打ぶりに貢献したのが矢野のバットだった。3本のヒットで、今季3度目の猛打賞を決めた。この広島3連戦に限っては、初戦は坪井、新庄。前日6日のゲームの田中に続く猛打賞だった。矢野は守備でも貢献。5回裏無死二塁の場面では、野々垣のキャッチャー前に転がったバントを、素早く処理して三塁でアウトをとった。好守にいいプレーをみせたが、最後は相手役ミラーが打たれた。「ストレートを打たれたんだから球威がなかったということでしょう」。帰り際は厳しい表情だった。 (14勝14敗1分:3位) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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