第28戦 (5月6日)
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ハートキー打った!連勝呼んだ!!

初回、久々の先制点演出

 打って12安打6点、投げて湯舟が無四球完封シャットアウト、走っては坪井の好走塁などなど。野村阪神がノー文句、言うことなし、痛快無比の快勝で貯金1、2位に浮上した。連勝を呼んだのが、新外国人ハートキー。「2番サード」で先発すると、いきなり初打席で二塁打デビューだ。勢いを取り戻した虎、このまま首位までいきまっせ。

5月6日・広島
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神
広 島
【勝】湯舟【敗】ミンチー
【本】タラスコ4号(ソロ=ミンチー)

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2位!再び「貯金1」

 試合開始から5分もたっていない。初先発、初打席のハートキーが、広島球場に、どよめきを沸き起こさせた。快音もろとも、痛烈ライナーが一塁新井のミットを弾き、ライト線に転がって行く。快足を飛ばして、一気に二塁へ…。新助っ人が、1軍デビュー戦、第1打席でいきなり二塁打だ。しかも、その一撃が、虎に連勝を運んだのだからたまらない。ジス・イズ・救世主。決してスマートとは呼べない赤鬼のような風体が、万来の「ジェイソン・コール」を浴びる。

 初回1死、カウント1―2。餌食は右腕ミンチーの内角138キロ直球だった。スイッチヒッターの「2番サード」が、左打席からぶちかました。しかも、打つだけではない。3番新庄三振後、4番タラスコの浅い右前打で激走のホームイン。微妙なタイミングにも迷わず三塁を蹴り、グングン加速した。打って走ってもぎ取ったその1点が、貯金1を刻む決勝点だ。

 「初打席でヒットなんてすごくラッキーだね。あの打席は野手の間を抜いて、クリーンアップにつなぐことを心がけたんだ」。試合後のハートキーは、弾けんばかりの笑顔だ。

 その価値の高さは、野村監督のしたり顔が象徴していた。「いきなりスタメンが大当たり? 使ってみんと分からんからなあ。でも初回の先制点なんていつ以来かな。きょうは久しぶりに楽に見させていただきました」。4月23日のヤクルト戦(甲子園)以来10試合ぶりの初回得点がチームに流れを呼び、湯舟の完封を演出。1度のサードゴロも軽快にさばいたハートキーの殊勲を、指揮官も称えずにはいられなかった。

スタメン
阪 神広 島
坪 井木村拓
ハートキー東 出
新 庄町 田
タラスコ金 本
大 豊新 井
矢 野野 村
平 尾朝 山
田 中瀬 戸
 藪 ミンチー

 デビュー戦の重圧をものともせぬ勝負強さがある。「ヘイ! ラッキー・ボーイ!」。試合後、カブス時代の同僚ミラーが送った賛辞は本物だ。メジャー時代も“初舞台”に強い逸話がある。96年メッツ時代のメジャーデビュー戦も、あのマダックス(ブレーブス)相手に、3打数2安打2二塁打の活躍だった。「もちろん、その試合も勝ったよ」。ブロワーズの背番号61を継いだ新助っ人は、4月の不敗神話男・バトル以上の“福の神”かもしれない。

 その後の4打席はオール左打席で凡退したが、向上心も旺盛だ。「トニー(タラスコ)から日本の投手は変化球が多く、強く待つことが大切だとアドバイスをもらった。日本でやって行く自信もできた」と、さらなる爆発を期す。「昨日勝ってる中で打線を変えるのはイヤなものやった」(松井ヘッド)という首脳陣の不安を消し去り、2番H砲が大当たりした21通り目の猛虎新打線。一気の広島3タテは、そのバットが導いてくれるに違いない。

<写真=ハートキーは初打席の1回、あいさつがわりの右翼線二塁打を放ち一塁へ猛ダッシュ>

 ◆ジェイソン・ハートキー 1971年9月15日生まれ、米カリフォルニア州サンホセ出身。28歳。レークランド高から90年ドラフト3巡目でインディアンス入り。今季はロッキーズ傘下3Aコロラド・スプリングスに在籍。99年レッズ3Aインディアナポリスで打率3割2分9厘、12本塁打、61打点を記録。守備は本職は二塁だが三塁、遊撃、外野もこなす。右投げ両打ち。179センチ、79キロ。契約金5000万円、年俸5000万円(推定)。

データセンター

ハンセン以来の初打席初安打

 ▼阪神の新外国人ハートキーが第1打席で右二塁打を放ったが、来日初打席で安打を記録した阪神の外国人選手は98年4月4日横浜戦でのハンセン(中前打)以来。途中入団に限れば、97年6月21日にシークリストが巨人戦で右前打でデビューしたが、わずか25試合の出場で10安打、打率1割9分2厘でこの年限りでお払い箱になった。

 ▼阪神はこの日を含めて28試合で初回に得点したゲームが6試合あるが、そのすべてで勝利を収めている。今季初勝利を挙げた4月4日のヤクルト戦(神宮)では、初回にタラスコの右前打で先制しこれが勝利打点に。同23日のヤクルト戦(甲子園)でも、同じくタラスコの右前打で挙げた1点を星野伸が守り切り1―0で勝った。

 ▼湯舟が完封勝ちを飾り、阪神は今季の完封勝ちが6試合に達した(うち1試合がリレー)。阪神が開幕30試合までに6完封を記録したのは、69年に9完封(若生4、江夏3、村山1、継投1)以来31年ぶり。なお、球団記録は65年の32試合。湯舟の完封勝ちは今季2度目で通算では11度目だが、無四球完封は92年9月10日の広島戦(広島)以来2度目。

 ▼今季阪神は完封勝ちを収めた次の試合では、3勝1敗1分け。好調を持続させることに成功している。4月16日中日戦では湯舟が2―0で、同18日巨人戦では福原が5―0と連続完封。続く19日巨人戦では完封こそ途切れたが、先発ラミレズ以下投手陣が踏ん張り2―1で逃げ切った。7日先発の星野伸には、今季2度目のチーム2試合連続完封の期待もかかる。

4番タラスコV打&5号

 ハートキーが打って、それをタラスコが返す。阪神の新しい得点パターンが、はやくもお披露目だ。初回、タラスコが、貴重なV打点を上げた。「彼(ハートキー)が塁に出て僕が返すパターンが続けばいい。彼がチームに活性を与えてくれた」。初回2死二塁、ミンチーから4番に入って初安打になる右前適時打を放つと、二塁からハートキーがホーム生還だ。

 新助っ人加入に刺激されたタラスコは、5回にも4号本塁打を放った。「コンパクトに振ったのがよかった」。1死から初球カーブを狙った当たりは、右翼スタンドへ飛び込んだ。4月11日巨人戦(甲子園)以来、56打席ぶりの1発。

 前日(5日)、チームは今季最多の15安打だったが、タラスコは5打数無安打。「昨日はカヤの外だった。結果が出なくても失敗を学び立ち直るのがベースボールだ。神様に感謝している」。先制打と久々のアーチを放った4番に、野村監督も「今までが悪過ぎたからな」と、苦笑いしていた。

8番田中が猛打賞…野手全員安打や

“打てない虎”が3戦連続2ケタ

 貧打で泣いてきた阪神が、3試合連続の2ケタ安打だ。この日も12安打の猛攻。柏原打撃コーチも「打線はわからん。不安ばかりや…」と、うれしさを通り越して首をひねるしかなかった。

 新助っ人ハートキーが火をつけた先制劇、5回は4番タラスコに1発が飛び出して、9回敵失がからんだダメ押し。そんな理想的な攻撃に、ベンチには笑顔が絶えなかった。「第1、第2打席を大事にしていきたい」という田中が3安打の猛打賞。すべてが好転して試合に出場した野手全員がヒットを放った。

 2安打を放ち「勝ててよかった。勝てる時は、勝てるもんですね」と新庄。あまりの痛快な連勝には「連勝中にもいい勝ち方、いい勝ち方といいながら(次は)連敗してしまうんだから」と、松井ヘッドは逆にチームを戒めるように試合を振り返るほどだった。


湯舟、完封!8年ぶりの無四球

今季2度目、4安打“復活祭”

 阪神の湯舟敏郎投手(33)が、広島を4安打完封しチームに9日ぶりの連勝をもたらした。今季2度目の完封を、自身8年ぶりの無四球で飾った。三塁を踏ませぬ危なげない2勝目に「本来のピッチングができた」と野村監督も完全復活を確信した。序盤に得点をあげて、先発が守り切る“連勝モード”も帰ってきた。さあ、星野伸で3連勝でっせ。

ノムさん、おホメ「本来の彼のピッチング」

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 あのときと変わらぬポーカーフェースで湯舟は投げ切った。夏を思わせる陽気の中、夕陽に汗が光るヒーローインタビュー。110球であっさりコイを料理した左腕が、やっと笑みをこぼした。「たまたまですよ。(捕手)矢野をはじめ守備陣のおかげ」。5試合目の登板で早くも今季2度目の完封勝ちは、無四球の勲章がついた。

 8年の時を越えての再演を完結した。投手にとって何より胸を張れる無四球シャットアウト。湯舟のそれは、シーズン最後までペナントを競り合った92年の9月10日以来になる。相手はこの日とまったく同じ相手、同じ舞台で許した安打も同じ散発4安打だった。

 「すごく調子がいいというわけでもなかった。守りでみんながカバーしてくれた。うまく点を取ってくれたしね」。ベテランと呼ばれるようになった10年目は、謙虚に快挙を振り返った。1点をもらっての初回、2死から町田に二塁打を許しても4番金本を投ゴロでピシャリ。それが、得点圏に走者を置いた最初で最後のピンチだった。

 終盤の7回裏になって今季最速の142キロをマーク。「この球場は(スピードガン表示が実際より)速いから」と笑い飛ばしたが、力が入るわけがある。開幕2戦目の横浜戦で浴びた逆転3ラン、連勝ストップとなった前回(4月28日)の中日戦で降板につながる失点は、いずれも“魔の7回裏”。「この前は勝てそうで勝てなかったから、今日はできるなら勝ちたかった」。言葉はあくまで控えめでも、白星を求めるハートは静かに燃えていた。

 「本来の彼のピッチングができてきたんじゃないの」。野村監督にやっとお褒めの言葉ももらった。女房役の矢野が言う。「気持ちの面でどんどん攻めていけた」。2勝がいずれも完封勝ち。昨年まで2年間たった2勝に甘んじた湯舟が、完全復活への自信もつかみ取った。

<写真=気合満点のピッチングで広島打線をピシャリと4安打にきってとった湯舟は、今季2度目の完封劇>

湯舟、8年前は連続完封

 湯舟の無四球完封勝利は、92年9月10日の広島戦(広島球場)以来だが、その次の登板でも、甲子園の広島戦(9月16日)でも2―0の連続完封劇を果たした。湯舟は、その9月、その2完封で月間防御率0・32。自身2度目の月間MVPを獲得した。

 ヤクルトと優勝争いを展開していたその92年、9月は激動の月で、9月11日にはヤクルトと6時間26分の延長15回引き分けがあった。9月19日、チームは7連勝を果たし、ヤクルトと3差。そこから19泊20日の大遠征に出た。優勝確実と言われ、最も好調だった湯舟は、その遠征からストッパーに転向した。が、これが裏目にでて、結局、最後はヤクルトに逆転優勝された。


新庄の内野安打で二塁から一気

坪井“黄金の走り”

 ベンチの野村監督も思わずニンマリだった。「いい判断だった」と、うなずいたのは“走る野球”の推進者、伊原三塁コーチだった。坪井が広島守備のスキを突いた好走塁で3点目をもぎとった。敵に大きなインパクトを与えた走りだった。

 2回、坪井が左中間二塁打で、この試合2点目を加点した。なお2死二塁の場面。3番新庄がミンチーのカーブを泳ぐように放ったのはボテボテの三遊間への当たり。ショート東出が一塁新井に送球した間に、何と坪井が三塁を回り、一気にホームへ滑り込む。一塁新井からの送球に、間一髪セーフだ。

 ただ、当の坪井はいたってクールに答えた。「ナイスランでもなんでもないですよ。キャンプからずっと練習してますから。僕でなくても、だれがやってもセーフですよ」。昨シーズンわずか6盗塁の男から、そんな言葉が自然と出てくるのも頼もしい。

 坪井は9回にも盗塁を決めて、最後は敵失も絡んで得点に成功し“走る坪井”をアピールした。この回には、新庄も二盗を決めたが、走塁革命の主、伊原コーチも「いつでも先の塁にいこうとする意識が自然と出ている」と、少しずつ手ごたえを深めていた。

平尾、2日連続の笑顔

 それまで3打席2三振でヒットのなかった平尾が8回、思い切りのいい“らしい”バッティングで三遊間を抜いた。このヒットで湯舟を除く先発野手全員安打が完成した。前日(5日)は9回に決勝のタイムリーを放つ連敗脱出のヒーローだった。この日はゲーム前から「昨日は昨日です。もう忘れてますよ。きょう、気持ちを改めていくだけです」と気を引き締めていたが、8回ようやくのヒットと、チームの快勝に試合後は2日連続の笑顔だった。

大豊の応援ボイコット

 〉左翼席の虎ファンが大豊への応援をボイコットした。この日、初回の第1打席で一塁線を破る二塁打を放ったものの、第2打席以降はサッパリ。8回の第4打席では、ついに「応援歌」が消えた。阪神移籍後、個人的な「応援ボイコット」を受けるのは初めてのことだ。9回の第5打席、わずかながらに声援は復活したが、またも三振。結局、3打席連続三振だったが、不振の大豊に対してファンのイライラが募っている!?

(14勝13敗1分:2位)


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