| 第27戦 (5月5日) |
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大脱出!ウル“虎”9回逆転劇和田同点、平尾が勝ち越し打
5割戻した弾丸ライナーが三塁線を破ると「ウッシャー!」。一気に二塁まで陥れると、もう一度「ウッシャー!」。平尾が吠えた。地面を殴るような激しいガッツポーズ。阪神ベンチは、メガホン乱打のお祭り騒ぎだ。ついに勝った。それも鮮やかな9回大逆転。野村阪神を連敗地獄から救い上げたのは、24歳「やんちゃくれ」の一撃だった。 土壇場で1点差を追い付き、なお2死一、三塁。「真っ直ぐ1本。思い切って振って来い!」。柏原打撃コーチの耳打ちに、うなづく背番号00。そしてカウント1ボールからの2球目、小林幹の内角直球を思い切り振り抜いた。「ボールだったかも知れない。でもガムシャラに振った」(平尾)。140キロの球速を上回ったのは、その気迫だった。 「何とか勝ちたかった。みんなが自分に回してもらって、何とかしたかった。連敗中は打線が打てず、ずっとピッチャーに迷惑をかけて来ましたから。自分のアピールというよりも、全員で勝てたことがうれしいんです」。 お立ち台の平尾が強調したのは、一丸の勝利だった。9連勝から一転6連敗、しかも3連続完封負けと打者のだれもが、その責任を感じていた。実はこの日、野手陣が球場入りしたのは、打撃練習開始時間を5分も過ぎてから。「何とかせなアカン」(柏原コーチ)。広島投手陣に対する宿舎ミーティングが、通常より20分も超過したためだった。アップもほとんどできないまま。それでも投手陣のことを思えば、みんな必死だった。
今季最多、15安打9得点でコイ撃沈だからこそ、初回に3点を先制されたぐらいでは諦めない。追い上げては突き放されるも、コツコツ1点差まで追い上げ、最後の最後でドラマを起こした。9回先頭の新庄が右中間二塁打が口火。1死後、代打和田がついに同点の左越え二塁打だ。「きのうも自分が打てずに負けて、投手に申し訳なかった」。それは前日横浜戦の6回、1死満塁の代打で三振に倒れたベテランの意地。矢野が左前打で続き、そして2死後、平尾の逆転打が生まれた。その後もこれまでのウッ憤を吐き出すように坪井適時打、桧山押し出しなどで10人攻撃4得点。終わってみれば、今季最多の15安打&9得点での快勝だった。 「よう勝った」ノムさん西日傾く広島球場には首位に立った4月27日以来、8日ぶりの六甲おろし。ベンチ入り野手16人全員を使い切っての勝利に、野村監督の笑顔も弾けた。「負け試合をよう勝った。こんなバッティングもできるんだな。野球は分からない。新庄もさることながら平尾だ。よう打った」。先制点を許せば、これまで11戦全敗だった打線の意地が、うれしくて仕方ない様子。今季初の逆転勝ちに、新たな手ごたえを感じ取ったようだ。どん底からたくましさを身につけ野村阪神が再進撃する。 <写真=9回、阪神は2死一、三塁から平尾が勝ち越しの二塁打を放ち、ガッツポーズで一塁に向かう>
31イニングぶり得点…ウッ憤晴らす固め打ち新庄、坪井で魅惑の8長短
新庄、9回守備でも魅せた新庄がやっと笑った。やっと心から喜ぶことができた。やるせなさとイラ立ちに支配された苦痛の7日間。連敗地獄のトンネルをバットで突き崩した。上昇カーブを描いていた自身の打撃が、ようやく勝利の形になって報われた。 27試合目で今季初の猛打賞をゲットした。だが、白星に飢える背番号「5」は、これだけで満足感などなかった。1点を追う9回表。ここからが頼れる打者の真価だった。広島河野のカウント2―1からの4球目。高めの真っすぐをたたき、右中間へ二塁打。この4本目のヒットが、重い扉を開き逆転劇へつなげた。 「どんな形であれ、点が入ってよかった。きょうは1点取ったから、あとは何とか点が入ると思った」。“呪縛(じゅばく)”を解いたのも新庄のバットだった。3回表、2死一、三塁。打ち取られたはずの三ゴロが、新庄の気迫で金縛りにかかったのか名手野村が動けず、打球は左翼へ。何とも幸運な適時打でチームに31イニングぶりの得点が記された。 連敗がはじまった中日3連戦。チームの7得点のうち2戦連発を含め5点までも新庄が奪ったものだった。それでもチームは勝てない。「動きが大き過ぎる」(柏原打撃コーチ)と、バットを少し寝かせて構えるフォームに微調整。打撃向上の手ごたえをつかんでいただけに、チームの勝利に直結しないストレスがあった。だが、それをすっきり晴らす4安打固め打ちだ。 守備でも美技で魅せた。9回裏、金本のフェンス際大飛球を好捕。攻守で暴れたが、新庄は浮かれていない。「俺があそこで刺しておけば、こんな展開にはならなかった」。7回裏、ホーム返球が高くそれた場面を悔やしそうに振り返る。この気持ちが、再び連勝街道への原動力になる。 <写真=9回、先頭打者の新庄は右中間にこのに4本目の安打となる二塁打を放ち、大逆転の口火を切った> 坪井、3試合ぶり爆発3打点切り込み隊長・坪井のバットが3試合ぶりに爆発した。初回、10打席ぶりのヒットを右前に打った坪井が、乗りに乗って4安打3打点の痛快安打ショー。連敗ストップに貢献した。「今日は全員で攻撃した感じ。1人だけ頑張っても仕方ないですから」。だが、打線のつながりを呼んだのは、まちがいなく新庄と並んで打ちまくった坪井のバットだった。 8回表、2死一、二塁。疲れの見え始めた佐々岡の高め直球を中前に弾き、1点差に迫る適時打。反撃ムードを作った。9回の総攻撃でも1点勝ち越し後、ダメ押しの連続タイムリーで追加点を奪った。「きょうは平尾ですよ。せっぱ詰まった場面で打てるのは日ごろの精神力。平尾には感心させられます」。自らの活躍には触れず、仲のいい後輩を立て、自分のことのように喜んでいた。 ミラー、13日ぶりお待た“S”ヒゲすっきりイメチェン
ミラーの顔に、無精ヒゲはなかった。「ホッとしたよ…」。最後を締めたのはミラーだ。3日前、あごにたくわえたヒゲをスッパリとそり落とした。白星から見放されて重苦しい雰囲気が続いた。自分の出番もなかなか回ってこない。フラストレーションのたまる状況で、お気に入りのヒゲを剃ってイメチェンをはかった。 3点リードした9回裏から登板。MAX149キロ。グイグイと直球で押したが、自分自身が不調を感じとっていた。「走者をためないように心掛けたんだけど、ボールが上ずってしまった」。浅井、金本をストレートで打ち取ったが、続く森笠、野村に連打を食らった。延長15回ドローに持ち込んだ4月25日広島戦(甲子園)から登板が遠ざかっていた。10日ぶりのマウンドだけに、ボールが高めに浮いてしまった。 「コントロールが良くなかった。矢野のリードに任せて投げた」。9回裏2死一、三塁。ヒヤヒヤさせる場面だったが、最後は変化球を織り交ぜたコンビネーションで、朝山を空振り三振。4月22日ヤクルト戦(甲子園)以来13日ぶりの6セーブ目。最後はスッキリした表情で、笑顔をふりまいていた。 <写真=ミラー(中央)は久しぶりの登板ながら広島打線を抑え、ナインと喜びのハイタッチ> 吉田豊、たった5球で今季初星吉田豊に、たった5球で今季初勝利が転がり込んだ。「勝ててよかったですよ」。1点を追う8回裏2死二塁。5番手で登板して東出を空振り三振にとった。4月28日中日戦(ナゴヤドーム)で李にサヨナラ打を浴びていただけに気合も入った。東出を抑えれば、1点差で新庄から始まる続く9回表は反撃が期待できるだけに大事な中継ぎだった。「投げさせてもらえるだけでうれしいです」。最後は逆転勝ちで好リリーフの左腕がスポットを浴びていた。 藪、まさか3回4失点4月無傷の4連勝を誇った藪が、まさかの3回4失点の乱調で沈んだ。「コントロールもキレも悪かった」と捕手矢野が言う今季最悪のデキ。それでも逆転勝ちで黒星が消え「勝ってくれてよかった」と打線に感謝した。子供の日の登板は4年連続。昨年に続く勝利投手にはなれなかったが「こういうときに自分が建て直さないと。次が大事」と気持ちを切り替えていた。 桧山がプロ初の一塁桧山がプロ9年目、685試合目にして初の一塁守備についた。8回代打で登場して投ゴロに倒れたが、その裏の守備から広沢の後、一塁へ。打球は飛んで来なかったが、2度の内野ゴロ送球はしっかりと捕球しアウトにした。そして9回に回って来た2打席目には、ダメ押しの4点目となる押し出し四球を選んだ。「押し出しでも打点1ですからね」と連敗ストップに笑顔を見せた。2日の横浜戦(甲子園)でもプロ初の三塁守備につくなど、野村監督も打撃優先で期待している。 サングラス野村監督に大声援
珍しく野村監督がサングラスを掛けた。デーゲームで日差しが強かったためか、それとも連敗が続いていたため気分転換しようとしたのか… いつもの金縁メガネではなかった。 「負け試合だったのによぉ勝った。こんなゲームもできるんやな。だから野球はわからん」 やっと連敗が止まり、監督は苦笑して答えた。今季13敗のうち11試合が先取点を奪われての敗戦。先行されると圧倒的に弱いだけに初回いきなり3点を失ったこの日も劣勢。それを全員野球で引っ繰り返した。「(4安打の)新庄もさることながら、平尾がよく打った」と監督。続けて「藪はどうしたんだ。メチャクチャ悪かったな」と心配ごとは尽きないが、なんとか踏みとどまった。最後はスタンドからのノムラコールに右手を上げてこたえていた。 <写真=レフトスタンドのファンの声援に手を上げてこたえるノムさん。サングラス姿もお似合いで> (13勝13敗1分:4位) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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