第21戦 (4月28日)
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サヨナラ負け…あ〜1日天下

竜に足元すくわれ3失策

 惜しい、悔しい。9回、李の打球がタラスコの前で弾んでサヨナラ負け。目の前に見えていた10連勝が逃げて行った。野村監督は守りのミスを悔やんだ。首位の座も陥落…。でも先発湯舟はよく投げた。新庄も打った。新たな快進撃を目指し、阪神ナインは気持ちを切り換えて臨む。

4月28日・ナゴヤドーム
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神
中 日
1X
【勝】岩瀬【敗】吉田豊
【本】新庄4号(2ラン=バンチ)

「ミスよりスキ多い」ノムさん

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 9回、李の打球がタラスコの懸命に差し出したグラブの上を越えて行く。3万8000人で埋まったナゴヤドームから歓声と悲鳴が起こった。タラスコは一瞬ボールを追いかけようとした。二塁走者の大西がホームインするのを見てあきらめた。その瞬間、阪神ナインがファンに感動を与えた連勝が止まった。

 野村監督はサヨナラ負けの瞬間をベンチで見届けると、すぐさま背を向けた。連勝中とは一転して重苦しい雰囲気が立ち込める。しばらく間を置き、野村監督は帰りのバスまで話し続けた。

 「ミスというよりもスキが多い。(相手に)スキを突かれている。スキだらけだ。だから(クイックの苦手な)湯舟、川尻は怖いんだ」

 監督が敗因に挙げたのは8回。1死一塁で打者ゴメスのカウントが0―2になったところだった。湯舟をリリーフした川尻の3球目。一走立浪がスタートを切る。矢野が二塁に投げるが、これが大きくそれた。まんまと三進を許して、ゴメス四球の後、渡辺に三遊間を破られて追いつかれた。「(盗塁は)考えてはいたけど…」。松井ヘッドも険しい表情だった。

 ここまで小差で逃げ切り、連勝を「9」まで伸ばした。この日もミラーの投入まで試合展開から逆算していたはず。だが、そのもくろみは崩れた。

スタメン
阪 神中 日
坪 井福 留
平 尾種 田
タラスコ 李 
大 豊山 崎
矢 野立 浪
バトルゴメス
新 庄渡 辺
田 中中 村
湯 舟バンチ

 「(川尻の)モーションが大きすぎる。ヤクルト時代から(ランナーに出ると)走らせることばかり考えてた。相手にすれば走らせたくなる。長年のリズムになってるから、なかなか直らない」

 プロセスを重視する野村監督は結果よりも“負け方”が気に入らなかった。この試合では、矢野、田中、大豊と3失策が飛び出したが怒りのホコ先は「ミスよりもスキが多い」と湯舟、川尻のベテランの投手に向けられた。機動力を使って点を取り、て逃げ切るのが野村阪神の野球。そのお株を中日に奪われ負けてしまった。

 福間投手コーチも「(川尻は)ピッチングの内容よりも、クイックがな…」と話す。伊藤、遠山、ミラー投入の機会もなく18年ぶり10連勝の夢は消えた。それも、わずか1日で首位陥落。野村監督は「しょうがないです」と言いバスに乗り込んだ。

<写真=ああ白星が、10連勝が、そして首位が逃げていく…9回、李の打球は無情にもワンバウンドでタラスコの頭上を越え、サヨナラゲーム>

 <データセンター> ▼阪神は連勝が9で止まり、2けた連勝には届かなかった。阪神は過去に10連勝以上が9度あるが、連敗ストップ直後の試合は5勝4敗。シーズン序盤に限れば、76年4月10日ヤクルト戦(甲子園)から同25日大洋戦(甲子園)に10連勝した後に同27日のヤクルト戦(神宮)に1―4で敗れたが、翌28日のヤクルト戦(神宮)から5月2日の巨人戦(後楽園)まで3連勝と、すぐに反撃に転じた。今季は…。

新庄4号もヒーローなり損ねた

バンチ撃ち2ラン悔し

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 ヒーローになり損ねた男はベンチ裏通路をバスまで“疾走”した。口を真一文字に固く結んだまま、新庄はおいすがる報道陣に無言を貫いた。10連勝がサヨナラでスルリと逃げた試合終了直後。喜びが大きかった分だけ、ショックは倍になった。

 1―1の6回だった。四球で出塁した矢野をバトルが犠打。この日、7番に降格していた新庄にベンチもチャンスを託した。その期待に背番号の「5」のテンションは静かに燃え上がっていた。「甘い球がきたら力まないで積極的にいこう」。カウント1―3から気負うことなくバンチの144キロ直球を完ぺきにとらえた。グングン伸びだ打球は虎党の歓声に吸い込まれるように左中間スタンドへ。勝ち越し4号2ランは、20打席ぶりの1発だった。

 その裏の守備につく際、沸き起こった新庄コールに故障していた左肩をかばうことなく、左手でガッツポーズ。「もうケガの話はなしにして」と話していた新庄の完全復活を告げたパフォーマンスでもあった。

 「打った瞬間はフェンス直撃かなと思ったけど、ヘッドを重く使えたんで本塁打になったんじゃないですか」。試合中、広報を通じての談話で打撃復調の手ごたえを口にした。前日27日の試合前。甲子園の三塁側室内で1人でこっそりとマシンを相手に打ち込んでいた。柏原打撃コーチから助言されたヒザの使い方を意識するよう入念な“特打ち”。チームの連勝に貢献したい必死の思いが、貴重な1発につながった。

 連勝は9でストップしても、故障明けでスランプに陥っていた新庄のバットがようやく上昇気配。次ぎこそ勝利の、そして首位奪還のアーチをかけてみせる。

<写真=残念でした…6回表、新庄は中越えに2ランを放ちムードは盛り上がったが>

湯舟“2死からの失点”反省

62/3、2失点好投も

 不運なサヨナラ負けを見届けると、先発湯舟は真っ先にベンチを後にした。7回途中まで2失点。勝利投手の権利を得る好投だった。しかし、結果的に逆転負け。それだけに、ちょっとした悔いが積み重なり、、大きな後悔としてのしかかった。

 「点の取られ方が悪かったな」。3回、味方が先制した直後に、同点を許す。7回、1点差に詰め寄られたのも、中日種田の美技で追加点を阻まれた直後だった。「相手の勢いを止めんとあかんかったのにな」。いずれも2死からの失点シーンを悔やんだ。

 だが、9連勝中のパターンは、しっかりと継承していた。とにかく先発の好投で、試合の流れをリードする―。この勝ちパターンを築くという責任は果たした。立ち上がりから、制球に冴えはなかったが、厳しく内角を突く攻めの投球。前回16日、3安打完封した中日相手に、この日も6回2/36安打2失点という十分の内容だった。

バトル神話崩れる

 バトルの不敗神話が崩れた。2軍戦から、負け知らずの18連勝を続けてきたが、ついに来日初黒星。「ガッカリはしているが、野球だから、負けることもある。また明日から、気持ちを切り替えていくよ」。しかし、あらたな“神話”を築いた。6回無死一塁で、送りバント。直後に、新庄の2ランが飛び出した。これが3個目の犠打だったが、いずれも得点に結びついている。

T砲「アンラッキー」

 無情な打球は、前進したタラスコの前で、大きく弾んだ。「捕りにいったんだけど、打球が死んでいたね」。9回、李の打球は、右前へ落ちるサヨナラ安打となった。3回無死満塁では、センターへの痛烈な飛球が、野手の正面を突いた。先制犠飛とはなったが、不運はここから始まっていたのか。「いい感じで打てたんだけど、アンラッキーだった」。

大豊、痛恨のエラー

 9回裏、フイをつかれた大西のセーフティーバントに、慌てた大豊が一塁へ悪送球。サヨナラの走者を二塁まで進めてしまうお膳立てをしてしまう痛恨のエラー。7回表には2死二塁で右翼へライナー性の打球を地面スレスレで好捕され、判定を巡って猛抗議。ヒットなら3点差にリードを広げた場面だっただけに、試合後も「セーフ(ヒット)か」と報道陣に逆取材。

(12勝8敗1分:2位)


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