| 第20戦 (4月27日) |
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延長10回サヨナラで首位奪う!劇的9連勝
矢野、気迫スライディング甲子園の黒土に首位浮上を告げる白球がポトリとこぼれた。「落ちた!」。「落ちている」。二ゴロでホームに突撃スライディングした矢野が、そして次打者の坪井が、指差してわめきながらのアピールだ。友寄球審が捕手西山のヒザ下にあったボールを確認、セーフをコール。サヨナラだ。9連勝だ。矢野と坪井が飛びあがりながら抱きついた。ベンチか飛び出す歓喜のナイン。地鳴りのような歓声の中、野村監督も帽子に手をやり、ゆっくりとベンチを歩み出した。その顔は、笑みを浮かべている。 「よう勝てました」。虎の将は、短い言葉で喜びを抑えた。野村監督なりの思いはあるだろう。「よう…」とは、9連勝に凝縮された虎ナインの執念と一丸への賛辞か…。それでも、まだ物足りない欲か…。戦力不足、弱いと酷評された虎戦士たちが、とにもかくにも昨年6月15日以来、317日ぶりに立つセ界の頂点。しかも、あまりにも劇的すぎる結末でもぎとっただ。 息詰まる投手戦でもつれ込んだ2試合連続の延長戦だった。その10回裏にドラマが待っていた。9回までわずか2安打に抑え込まれた広島高橋から小山田に交代した直後。先頭矢野が中前打。助っ人バトルが犠打で得点圏に進めると、両軍ベンチが動き出した。広島は河野にスイッチ。そこで、野村監督の頭脳にインプットされた対戦データがフル回転する。 田中の代打に告げられたのは、職人和田でもなく、広沢でもなかった。この日、ウエスタン対ダイエー戦に出場しながら4打数無安打だった星野修だった。「根拠はあるけど、それは言えない」とケムにまいた指揮官。だが実は昨年、星野修は河野に3打数2安打2四球。そのデータにかけたベンチの期待通り、右前打して一、三塁だ。「とりあえず1本出てよかった」(星野修)。押せ押せのムードが甲子園を支配する中、悲鳴に包まれた代打佐々木の二ゴロが“奇跡”を呼ぶ。
佐々木がしみじみと言う。「残念や。甘いボールだった。打ち損じや。でも、あれがサヨナラになるんだからチームの勢いやな」。冷静な男・矢野は珍しく興奮気味にまくしたてた。「伊原さんに強く当たっていけと言われていたんで思い切って飛び込んでいった。アウトかな、と思ったけどすぐに(落ちたボールが)見えていたから…」。 そのスライディングは、走塁のイロハから徹底してナインに叩き込んだ伊原イズムの結晶でもあった。キャンプからサンドバッグめがけてホーム激突の特訓を取り入れた。その地道な成果と矢野の一瞬の判断。「いいスライディングだった。ああいうギリギリのところは捕手も落とすんですよ。矢野のファインプレー」。辛口でなる伊原コーチも、手放しでほめ上げた。 浸透してきた2年目のTOP野球。耐えに耐え、知力と気力の総力が生んだ首位浮上劇。強く、たくしまくなった阪神。ペナントレースはまだ序盤、楽しみは始まったばかりだ。 <写真=走塁で魅せた! 10回、1死一、三塁、佐々木の二ゴロで本塁に突っ込んだ三塁走者の矢野は(1) 西山の足元を払って落球を誘うと(2) 「球が落ちてる」と絶叫(3) 坪井とともに勝利の雄叫びを上げた(4)>
藪、ハーラートップ4連勝酔った!シビれた〜10回0封
こんなに心地いい疲労感なら大歓迎だ。「絶対あそこで1点入るなと、お祭り騒ぎになるなと、思っていた。信じていました」。10回0封。129球の熱投を演じたヒーローの声は上ずっていた。 予感が的中した。その瞬間、藪はグラウンドコートを着ないままベンチを飛び出し、自らの代打だった佐々木に向かい“感激のダッシュ”。歓喜の輪に飛び込んだ。 「やっている時は苦しかったけど、終わってみれば最高のゲームです」。確かに苦しかった。0―0という展開は精神的にもこたえる。でも、勝利という結果がすべてを快感に変えてくれた。「1―0」というスコアは藪が理想とする勝ち方。しかも、プロ168試合目の登板にして初の快挙だ。ついに念願がかなった。 機動力のある広島相手に、MAX145キロの速球で押し、被安打4、8奪三振。野村監督も「藪は後半スライダーが高めに浮いたけど、よう投げました」とたたえた。思えば13日の対巨人戦(甲子園)、藪の勝利から快進撃が始まった。9連勝(1分けをはさむ)のうち、これで3勝。開幕から無キズの4連勝を、堂々の完封で決めた。自身の連勝記録はルーキー時代の6連勝だが「比較の対象にならない。後ろは見ない」という。 あの“砂浜ダッシュ”は無駄じゃなかった。今年から専属トレーナーと個人契約。今年1月、宮古島で行った2週間の自主トレでは、2時間も砂浜でのダッシュを繰り返した。足の裏(足底筋膜)とふくらはぎを鍛え、下半身のバランスを整えるためだった。その努力が実を結び、スタミナと、終盤でも乱れない制球力につながっている。 汗は裏切らない。今季は得点圏に走者を背負った場面で、13打数ノーヒット。まだ、タイムリー安打を1本も許していない。ピンチになると、投げ急ぎ、そして連打を食らう昨年までの自分とは“決別”。この日は、その変貌の集大成でもあった。 「バックがしっかり守っている。打線もいい。野球はみんなで一丸となってやるもの。これが野球の原点」。鳥肌が立つ劇的な勝利で心底そう思った。ハーラートップの4勝。防御率1.13、無敗男がこれからも虎の快進撃を支える。 <写真=首位獲りに執念を見せた藪、見事に開幕から4連勝を飾った> 八木沢投手コーチ(藪について)「去年まではポンポンと早いテンポだったけど、今年はじっくりといっている。考える時間ができている」。 バトル、いぶし銀の活躍美技&小技で救ったラッキーボーイ神話も生きていた。バトルは、この日のサヨナラ首位奪取劇で、出場試合(2軍戦含む)18連勝だ。 守備で藪を救った。まず初回、広島先頭・木村拓の三塁線への当たりを横っ飛び。一塁へ矢のような送球で1アウト目をもぎ取り、藪を乗せた。集中力は途切れない。0―0で迎えた9回表には、2死三塁ので朝山の浅い三塁ゴロ。猛烈前進するバトルの右脇にバットも飛んできた。だが、ひるまない。「ちょっと怖かったけど当たらないのは分かった。サードランナーがいいスタートを切ったのも見えていた」。迷わず前進して、一塁送球間一髪アウトでピンチを救った。 打席では、サヨナラ劇にからむ小技だ。延長10回裏。無死一塁のチャンスで送りバント。「アメリカでも、あの場面はバント。相手の捕手がビックリしていた? 僕はしなかったよ」。勝ち越しの走者を二塁に送り、勝ちに結びつけた。7回には一、二塁のチャンスに三振もあった。3打席凡退はしたが、チームに貢献だ。 ライバルの新外国人ハートキーが来日したが、背水のバトルには勝利に貢献することしか考えていない。「フィアンセ(マーガレットさん)の作る手料理を楽しみにしているんだ」。右へ前へ、そして打席で大活躍した後は、笑顔で家路を急いでいた。 新庄、5番の意地打広島先発の高橋から、初安打を放ったのが新庄。5回裏先頭の打席で、5球目を一、二塁間に打ち返した。打球は二塁手に取られたが、全力疾走で一塁セーフ。5番に入った意地を見せた。この試合まで1割9分6厘と低迷する打撃不振を振り払うためか、トレードマークの赤いリストバンドを外しての出場。試合前には、室内練習場で特打をしていた。試合後は「(故障した)左肩の話はもういいでしょう」と、クールに話していた。 トリックプレー失敗トリックプレーは失敗に終わった。0―0の3回裏。2死一、三塁。平尾のカウント1―3の場面。広島高橋のけん制に、一走坪井がわざと引っ掛かってみせた。坪井が一、二塁間で挟まれる間に、三走田中がスタートを切ってホームインするはずが、結局は成功にはいたらなかった。ボールをつかんだ二塁木村拓が、三本間に走り込んできて田中をタッチアウトにした。「あのプレー? なんだったんだろうね。企業秘密」と、松井ヘッドは種明かしまではしなかったが…。 (12勝7敗1分:1位) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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