| 第15戦 (4月19日) |
|
メイ討ちG倒!5連勝うれしい貯金「1」
首位・広島に1.5差37歳のベテランはメイを知り尽くしていた。その一撃に左翼スタンド、虎ファンが総立ちになった。和田だ。野村監督が送りだした代打和田だ。左中間を、白球が真っ二つに割って行く。三塁走者大豊に続き、一塁走者矢野までもが一気のホームイン。あのメイを捕らえた。快音の主は二塁ベース上ガッツポーズ。そしてマウンドのメイは、両手をヒザについたまま、動けなくなっていた。7回、痛快な一撃。「裏切り者」への鮮やかリベンジで、チームは今季初の5連勝、285日ぶりの貯金1をもぎ取った。 場面はスコア0―0。ラミレズとメイの息詰まる投手戦が続く7回、2死一、三塁だった。「和田がよう打ってくれたな。広沢との選択? いや、あそこはホームランはいらない。ヒットでいいから当然和田。確率から行けば当然和田。(任せるなら)3割バッターや」。これほど得意満面な野村監督は久々だ。してやったりの用兵でのメイ叩きが、よほどうれしかったのだろう。あの場面は長打よりも確実性。そしてだれより、メイを熟知している男の経験にかけた。 和田の読みはスバリだった。直球見逃し、直球ファウルでいきなり2―0。だが続く3球目、和田はひと握りバットを短く持った。「去年から後ろの守備でずっと見て来て、ピンチになればなるほど、真っすぐが多かった。ベンチで観察してても直球が多かったしね」。そして運命の3球目はその読み通り、内角139キロ直球。「これでボクもやっと、今年初めて仕事が出来たよ」。
野村監督も男の意地をかけていた。昨年の監督批判ビラまき事件、退団、そして宿敵巨人入り…。挙げ句12日の初対戦では、地元甲子園で返り討ちにあった。もう負けられない。「メイには球数を放らせて、ワンチャンスをものにするしかない」。この日の試合前ミーティングで、熱くなった指揮官は異例のゲキまで飛ばしていた。お膳立ての7回無死一、二塁では5番バトルに送りバント。そして和田のV打を呼び、わずか3安打でメイに巨人初黒星をつける。前日は工藤をスタメンに左打者5人を並べて撃破。この日は、ワンチャンスに知略を屈指。連日のG倒は「さい配の勝利」でもあった。 気が付けば首位広島にも1.5差にまで迫った。「5連勝? こんなこともなきゃ、野球なんてやっとられん。ボロカスに言われるばっかりじゃあな」。ジロリと報道陣をにらんだ野村監督からは、いたずらっぽい笑顔まで飛び出した。20日勝てば、一気の3タテで勝率も巨人とも並ぶ。 <写真上=会心のG倒! 巧みな継投でしてやったりの野村監督(右)は、笑顔で守護神ミラーを出迎える 写真下=7回2死一、三塁、代打和田がメイから左中間へ決勝2点タイムリー二塁打を放つ>
バトル14連勝だ7回のチャンスをつくったのは負けない男・バトルだった。タラスコが四球を選び、大豊が左前打で続く。ここで登場したのが5番バトル。ファームでは10戦全勝。ベンチの指示通り、きっちり犠打を決めた時点で、巨人に傾いていた流れが、一気に野村阪神に逆流し、和田のV打を導いた。1軍昇格後も4試合目となったこの日まで負け知らず。「俺がチームに居れば勝ち続けるんじゃないか。バント? メジャー初打席でも決めてるぜ」。バトルに自信が芽生えてきた。 5連勝中2失点以下
燃える男ラミレズ、来日初星連続無失点29イニングで途絶えるも…
5戦で失点4の投手王国だ“燃えるメキシカン”ラミレズは、迫力満点だった。7回1死満塁で、代打清原にカウント2―2から、内角球を左手に当てた。井野球審が「ファウル」とコールし、阪神ナインからも「当たっていないよ」という声が上がると、清原が怒った。「当たっとるやないか!」。鍛えられた肉体、日焼けした清原の顔は、こちらもまた迫力満点だった。当たった場所を審判に見せ、判定は「死球」にくつがえる。 しかし、こんな場面でもラミレズは気後れしない。“燃えるメキシカン”の真骨頂だった。一塁へ歩きかけ、そしてケンカ腰でマウンドをにらんだ清原に、ラミレズが引くわけがない。逆に詰め寄った。「(清原は)何か言ってたな。でもこっちは(日本語が)分からないよ。当てようと思って当てたわけじゃないだろ。死球も野球のうちのひとつじゃないか」。両軍が2人のにらみ合いに集まる。阪神側の「避けてないんじゃないか」というアピール。そんな騒然とした中でも、ラミレズは堂々としていた。 結局、清原の押し出し死球がラミレズの唯一の失点。この時点で、阪神投手陣の連続0封イニングは29で途絶えたが、白星ははなさない。続く1死満塁のピンチ、この日の97球目で村田善を遊ゴロ併殺斬り。ここで会心のガッツポーズだ。 「初勝利? すごくエキサイトしているよ」。1球1球に魂を込めた。喜怒哀楽を前面に出した。球速は140キロ前後しか出ない。右打者へはシンカー、左打者にはカーブを決め球にする技巧派だ。それでも、打ち取れば、ポンと左手でグラブを叩く。打たれれば、マウンドで悔しそうに飛び跳ねる。味方の好守には、大きな声で感謝の気持ちを伝えた。淡々と投げる巨人メイとは対照的。6回まで散発4安打の熱投が、自然と、勝利を引き寄せた。
「この前、負けてるから、きょうは何としても勝ちたかったんだ」。来日初登板の12日巨人戦(甲子園)。やはりメイと投げ合ったが、10安打3失点で6回途中KO。だが、この日は、7回を1失点。毎回奪三振のおまけをつけて、きっちりリベンジした。 ところが、このラミレズを20日にも1軍登録をまっ消する。「(抑えのミラーと)3人をうまく使うには、この形(頻繁に入れ替え)でいく」(八木沢投手コーチ)。もう1人の外国人投手ハンセルを登板させるためだ。『野村投手王国』のぜいたくすぎる起用法だ。藪に始まった連勝は、先発ローテーションをひと回りして、再び20日は藪がマウンドにあがる。14日中日戦からの連続無失点は途絶えたが、この5連勝中の失点は、わずかに4点。先発投手陣に死角はない。もちろん、抹消期間が明ければ再び燃えるラミレズが帰ってくる。 タラスコ“スーパーキャッチ”
タラスコが守りでタイガースの勝利をもぎ取った。6回裏、1死一、二塁。元木の打球は会心の右中間へ伸びるライナー。阪神ベンチも左翼席応援団もだれもが「抜けた」と思った。その打球を中堅手タラスコが一直線に追う。最後はジャンプ一番、左手のグラブに収めた。新庄顔負けの美技に打った元木はぼう然。一塁走者の仁志も二塁ベースの数メートル手前で「信じられない」という表情をみせた後、あわてて一塁へ駆け込んだ。6回終了後、ベンチに戻るとナインから「ナイスキャッチ」と笑顔のハイタッチ攻めにあった。 「守備にも自信があるんだ。スピード感はボクの持ち味だからね」。右翼で、そして中堅で、ここまで再三好守備をみせている。その度に笑顔でこのコメントを繰り返している。 打撃では4打席音無しに終わったが、チームが勝てば関係なし。尊敬する故ジャッキー・ロビンソンも打って守って走れる二塁手だった。そのロビンソンと同じ背番号。ソックスを目一杯上げる同じスタイルでプレーしタイガースをけん引する。 <写真=6回1死一、二塁、元木が放った右中間への大飛球をタラスコが背走しナイスキャッチ> (8勝7敗:4位) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||