| 第11戦 (4月13日) |
|
スペシャル継投!総力でG倒バンザ〜イ初六甲おろし
藪→遠山→伊藤→ミラーで巨人戦600勝
その時、マンモスがどよめいた。8回1死。リードは、わずか1点。藪の98球目だった。代打後藤が、カウント1―2から、137キロの内角直球をファウルした瞬間。野村監督にピピピッと“ひらめき”が走った。 「(後藤は)タイミングが合ってる。いやな予感がするな…」。 2―2になったところで立ち上がった。藪に代えて遠山だ。「藪はボールが弱くなっていたので、しょうがなかった」(八木沢投手コーチ)。高橋由、マルティネスに連続本塁打を食らってピンチとなってからが、野村監督の腕の見せどころだった。 巨人も動いた。後藤に代打村田善。野村、長嶋両監督、執念の駆け引き…。遠山が浅い左飛に打ち取ると、4万ファンのどよめきが歓声に変わった。だが勝負のあやは、ここで終わらない。2死となって代打元木の登場で、今度は伊藤がリリーフ。そして、なんと遠山を一塁に回したのだ。昨年5月19日広島戦(米子)以来2度目の仕掛けに動いた。
野村監督は、工藤、江藤ら絶大な補強を敢行した巨人との戦い方として“弱者が強者に勝つため”の戦法をずっと温めていた。絶対的強さを誇る巨人には、戦力の劣る阪神なりの戦法を用いるしかない。限りある“コマ”を局面に合わせてフルにつぎ込む総力戦。それが、土壇場のスペシャルリレーに表れた。 元木を遊ゴロに仕留めて伊藤が仕事を終える。そして9回には一塁に遠山を残したまま守護神ミラーの投入だ。「(9回の)松井のところで行くつもりやった。ミラーは一発があるから怖いんや」と野村監督は4番松井に回った場合を想定しての作戦だったことを明かす。「一塁を守るのは聞いてなかったよ。でも勝ててよかった」。先頭仁志の遊ゴロで、田中からの送球を受けてアウトが決まると、一塁ベンチからやんやの拍手を受けた遠山もビックリの展開となった。 ミラーが3人で仕留めて連敗は「3」でストップ。打順は松井まで回らずマウンドにミラー、一塁に遠山という2人の投手が守備についたままゲームセット。珍しいエンディングシーンに甲子園の興奮も最高潮に達した。 「監督がいつも使う手やな」と、苦笑いした松井ヘッド。「あれほどの名監督でも、勝った試合後の握手ではジワリと汗をかいていることがある」。野村阪神の参謀が、以前もらしていたような、究極の手を駆使した逃げ切りの熱戦。甲子園での今シーズン初勝利が、対巨人戦600勝目のメモリアル。連敗を「3」で止めて、六甲おろしに酔いしれた歓喜の夜。タクトをふるった指揮官の手が熱かった。 <写真=最後をピシャリと抑えたミラー(右)は、ナイスリリーフに一塁守備と大活躍の遠山(左)とハイタッチ、今季甲子園初勝利を祝う喜びの輪を作った>
藪、メモリアル星だ2勝目…7回まで1安打
今季初のお立ち台で心地よい歓声のシャワーを全身に浴びた。2000年甲子園の初勝利をウップンのたまった虎党に捧げたのは右腕エース藪だ。自己初の開幕2連勝の喜びより、むしろ巨人打線を牛耳った快投が痛快そのものだった。 背番号「18」がマウンドで躍動した。序盤から打線の援護を受けて、藪のペースがグングン上がる。「後ろにいい投手がいるから最初から飛ばしていった」。4回を終えてパーフェクト。5回2死からマルティネスの三邪飛を塩谷が目測を誤って落下点に入れず、その直後に右前打され、快挙こそ途絶えたが、7回までその1安打に封じ込んだ。 「反省、反省また反省」と苦虫で振り返ったのは8回。高橋由、マルティネスに連続ソロを浴びたシーンだ。「もう少しかな」と完封を意識した心のスキをつかれた。完投まで逃がしたが、それまでの内容は今後へ収穫たっぷりだった。 福原、ラミレズと2戦続けて先発投手が打ち込まれた。その悔しいシーンを自宅テレビで見ながら、藪は冷静にG倒の戦略を頭の中で練っていたのだ。その答えが“自己中心”の投球。「相手の打者に合わせすぎていた。もっと自分本位のピッチングをすれば…」。シュートで内角をえぐり、コーナーをいっぱいに使って打ち取る。7回まで外野に飛んだのは、たった5度。G打線を面白いように手玉に取った。 昨オフから取り組む肉体改造の成果もある。食事改善と同時に、自主トレで初めて専属トレーナーを2週間雇い、右肩後ろとでん部の筋肉を強化。バランスの取れた身体を築いて背水のシーズンに挑んでいた。昨年の6勝16敗からの“逆転”を誓う男が連敗を3で止め、対巨人戦通算600勝目を呼び込んだ。「記念の試合に勝ててうれしい。チームの勢いを大事にしたいからね」。頼もしい右腕が胸を張った。 <写真=「お先にどうぞ」とばかり、2000年初のお立ち台に笑顔で向かう藪(左)と広沢> 心は燃えて頭はクールだったミラー、名誉挽回守護神として甲子園初登場のミラーが、1点差の9回を3人でピシャリ締め3セーブ目を挙げた。前回9日の広島戦は前田に逆転満塁弾を浴びて火消しに失敗しただけに面目躍如。対松井要員として一塁に遠山が控え「心強かった」とはいえ、その場面を作らせなかった。「今までは闘争心を出し過ぎて制球を乱すことがあったけど、今日は心は燃えて頭はクールにできた」と満面笑みだった。 広沢・新庄がV打開幕戦以来の2ケタ11安打
広沢、タテジマ初猛打賞
背番号31が、やっと阪神ファンに認知された。2日前は「その背番号を返せ!」というヤジも受けた。だが、この日、4番広沢は、大歓声を受けながら、甲子園のお立ち台に立った。 「きのうまでのば声が、歓声となってたね。ここまで両極端だと気持ちいいよ」。初回1死一、二塁。あの悪夢とそっくりの場面だった。初めて、4番に座った11日、初回1死一、三塁で、三ゴロ併殺。4番広沢が戦犯に挙げられた。だが、この日、大豊の首痛もあって、右腕ガルベス相手でも、3試合連続の4番。借りを返すチャンスに燃えた。 しかし、ただ熱くなるだけではない。心の中は、したたかだ。1―0からの2球目。左足をオープン気味に踏み出す。待ってました。狙い通りのインハイのシュートを叩く。痛烈な打球は、左中間の芝生に弾んだ。「ほとんどヤマカンで、シュート(狙い)でいったよ」。ヤクルト時代、野村監督からID野球を叩き込まれた16年目のベテランは“読み勝ち”で先制点を叩き出した。 このシュート狙いは、徹底されていた。「甘くなるシュートを積極的に狙っていけ」(柏原打撃コーチ)。なおも2死一、三塁から、矢野もシュートを弾き返した。「走りながら、『落ちろ』と叫びました」。打球は遊撃手の頭上を越え、貴重な2点目を迎え入れた。 3回には、三塁打のタラスコを置き、新庄が三遊間を抜く。「追加点がほしい場面で打ててよかった」。直後の二盗時のヘッドスライディングで左肩を痛めたが、3試合連続打点で、中軸の役割を果たした。 広沢は5回に右前、7回に左前と快打連発。戦力外とされた巨人を相手に、初の猛打賞を飾った。甲子園で初のお立ち台では「いい時もあれば悪い時もあると思いますが、早く六甲おろしを覚えますので長い目でよろしくお願いします」と虎党に向けてお茶目なメッセージで結んだ。日本一に輝いたヤクルトから、屈辱の巨人時代をへて、野村阪神に身を預けた。ファイナル舞台に選んだ甲子園で、背番号31は、最後の花を咲かせようとしている。 <写真=この迫力や! 3回タラスコは左越えに三塁打を放ち三塁ベースへヘッドスライディング> 新庄、右肩を負傷新庄剛志外野手(28)が13日、左肩を痛めた。巨人戦(甲子園)の3回、二盗でヘッドスライディングした際に、左肩を負傷した。その後も出場したが、試合後、アイシング治療を受けた。猿木チーフトレーナーは「明日(14日)の試合前に、もう1度チェックします」と話し、病院に行く予定はないという。14日の試合出場は、当日の状態を見て決める。新庄は「痛めたのは左肩? うん」と言葉少なだった。 バトル、1軍に昇格開幕から2軍暮らしが続いていた阪神の新外国人ハワード・バトル内野手(28)が、14日に1軍に昇格することが13日、決まった。この日2軍戦で三塁線突破の二塁打を放つなど、調子が上向き。視察した松井ヘッドコーチは「実戦の打席に慣れてきて、よくなってきている」と判断し、1軍昇格を決めた。2軍では、打率2割8分1厘、2本塁打。なお、塩谷和彦内野手(25)が2軍に降格する。 大豊、2戦連続欠場寝違いによる首痛を訴えた阪神大豊泰昭内野手(36)が、2試合続けて欠場した。12日に続きこの日もランニング、ストレッチのほかキャッチボールなど軽いメニューを行っただけで打撃練習を回避した。松井ヘッドコーチは「大したことはないと思う。昨日も最後は(代打の)用意をさせたしね。打撃練習をしてない? まだ首の方が痛いようだから」と説明した。大豊も試合前「見たらわかるでしょ。症状? 痛いよ」と初めて首痛についての状態を口にしたが、表情は険しいまま。チーム最多4本塁打の主砲が思わぬ故障に悩まされている。 (4勝7敗:4位) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||