第1戦 (3月31日)
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延長11回粘った!夢ある開幕

猛攻、5長短打5点

 新庄が坪井が大豊が打った、暴れた。4点を追う6回、連打で一気に5点を奪い大逆転。オープン戦の不振がウソのような猛虎打線の奮闘だった。熱戦は延長11回、力尽きてサヨナラ負けに終わったが、この粘りがあれば今年の野村阪神はやってくれそうだ。

3月31日・横浜
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
阪 神
横 浜
1X
【勝】木塚【敗】葛西
【本】平尾1号(ソロ=川村)、矢野1号(ソロ=川村)

あと一歩…サヨナラ黒星

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 進藤の打球が二塁平尾の左横を抜けたのを見届けると、野村監督は真っ先にベンチを飛び出した。無念の平尾は倒れ込んだまま起き上がれなかった。

 延長11回裏、無死満塁。4イニング目に突入した葛西は自分自身に言い聞かせた。「気合、気合…。あとは気合だけだ」。だが勝利への祈りも最後は通じなかった。サヨナラ負けの瞬間、うつむいたままマウンドを降りた。

 またしても開幕戦に敗れた。開幕10連敗はプロ野球ワースト記録。試合後、野村監督は、沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。「善戦は、善戦だった。最初の5点がこたえたけど、よく追いついた。最後は勝てるチャンスはあった。大豊が決めてくれると思ったんだけど…」。

 今年は「投手力中心に戦う」と決めた。その命運を託した星野伸が5失点の不調。たちまち誤算が生じる。だがオープン戦でチーム打率1割台だった打線が、“別人”のような反撃を演じた。

 4点を追う6回、伏兵平尾が1号ソロを放ち派手なガッツポーズをみせ、チームを乗せた。そして監督からキーマンに挙げられた坪井が右前打で出塁。吉田義男、藤田平に並ぶ13年連続開幕スタメンで「偉大な先輩に並べてうれしい」と話す和田が、右二塁打で絶好のつなぎ役を演じる。タラスコは倒れたが1死二、三塁で4番新庄。「走者をかえそうとセンター返しを心掛けた」打球は右中間への2点二塁打。大豊の犠飛と矢野の1号が飛び出して、この回、5長短打で大逆転。ライトスタンドは万歳コールの嵐だった。

スタメン
阪 神横 浜
坪 井石井琢
和 田波 留
タラスコ鈴木尚
新 庄ローズ
大 豊駒 田
矢 野佐 伯
今 岡進 藤
田 中谷 繁
星野伸川 村

 怒とうの反撃もここまでだった。同点で迎えた8回裏無死一、二塁の好機。三塁ベンチは新庄に犠打のサインを出す。「迷い? なかった。(打って走者を送る)器用なバッターじゃない」という野村監督の思惑通り、送って二、三塁の絶好機を作るが、大豊が福盛の低めのボール球に空振り三振に倒れ無得点。大豊は「負けたら言うことはない」と、硬い表情で帰りのバスに乗り込んだ。

 最後はブルペンにミラーと第3戦先発予定の福原だけが残る総力戦。「うちが先手をとって、横浜を追い掛けさせる展開にしないといけない」と野村監督は熱戦を振り返った。負けはしたが、なんとか食らいついて戦えば、道は開けることを確信した。

 試合後、タラスコは興奮した面持ちで話した。延長10回無死一、二塁の場面で、抜けていればサヨナラという波留の大飛球を背走一番のファインプレーもあった。結果的に敗れはしたが、執念は見せた。「最後まであきらめずに戦った自分のチームを僕は誇りに思う」。メジャーリーガーのしびれるようなセリフを“明日の勝利”につなげたい。

<写真=激走だ4番! 開幕戦で新庄は6回、1死三塁から大豊の犠牲フライで同点のホームイン>

球児、あっぱれ2回「0」

10代開幕戦登板はチーム45年ぶり

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 プロ初登板が開幕戦という緊張の中、マシンガン打線を2回1安打無失点。昨年のドラフト1位藤川が、大物ぶりを発揮した。

 「0点に抑えることができて、ホッとしてます」。星野伸KOの後、3回から登板し、谷繁から空振り三振を奪うなど3人斬り。4回2死一、二塁も、駒田を左飛。MAX142キロのイキのいい投球で、自軍の反撃を呼んだ。

 2年目で初めて迎えた開幕1軍だったが、試合前は困ったような表情を浮かべていた。「いい意味で緊張しなきゃと思うんですけど、よくわかんないし、全然緊張できなくて…」。さすがにマウンドに上がると、「少し緊張した」というが、強心臓は天下一品だ。

 阪神で、10代(19歳)の投手が開幕戦に登板したのは、1955年の西村一孔(先発勝利)以来。実に45年ぶりの“快挙”だった。いかに長年、若手投手の育成に失敗していたか…。だがその分、藤川への期待は大きい。「将来の投手だから、少しずつ育てていきたい」。野村監督も、藤川育成は重要な仕事ととらえている。「全然満足してません。次はもう少し内容のあるピッチングをしたい」。1軍での経験を積むことによって、金の卵が殻を破る。

<写真=行けるぞ球児! 度胸満点の投球でマシンガンを止めた藤川>

星野、1回に5失点

ベテランも開幕プレッシャー

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 10年ぶり開幕勝利を託された星野伸が、マシンガン打線の餌食となった。初回から鈴木尚らの6連打で10人攻撃を浴びるなど、まさかの2回7安打5失点KO。中盤、味方の大逆転で負け投手は免れたが、険しい表情で敗戦の責任を背負った。「きょうは変化球のコントロールが全然。オレが抑えていれば…。みんなに申し訳ないことをした」。

 阪神史上初、移籍翌年開幕投手という大役に、さすがの168勝左腕も力みがあった。必殺スローカーブは普段より7、8キロ速い平均96キロ。最速126キロの直球との緩急差は30キロしかなく、ボールはことごとく高めに浮いた。過去7度の開幕投手で、最短のKOは93年ロッテ戦(神戸)の4回1/3(6失点)。タテジマ初先発は思わぬ屈辱舞台となったが、野村監督は星野をかばった。「ちょっと緊張してたみたい。移籍して来て期待にこたえようと、ムチャクチャ硬かったね」。

 リベンジあるのみ。「次は自分自身、納得出来るピッチングでお返ししたい」と星野。次回登板こそ、六甲おろしを響かせてくれるに違いない。

<写真=開幕投手をつとめた星野伸(中央)だったが初回5失点炎上>

吉野、勝利権利フイに

 ドラフト2位左腕・吉野誠(22=日大)が、新人開幕戦勝利の権利をフイにしてしまった。5回裏から登板し、6回に味方が逆転。だがその裏、先頭石井琢に二塁打(平尾の失策で三進)。波留を137キロ直球で詰まらせたが、打球は一塁後方へポトリと落ち、同点とされた。「まさか開幕から投げられるとは思っていなかった。やってやるぞ、と力が入りました」。苦いデビューに悔しさをのぞかせていた。

矢野ポール直撃弾も

 開幕10連敗阻止へ、一時の夢を見せてくれたのが6番矢野のひと振りだった。平尾の1発や大豊の犠飛などで同点に追いついた6回2死。川村の直球を流し打ち、右翼ポール直撃の1号ソロを打った。「ファウルになるかと思ったけど、よく入ってくれた」。これでチームは6―5と逆転。その裏横浜に追いつかれるまでのほんの15分間だが、開幕10年ぶり勝利がよぎった左翼ファンは大歓声を挙げた。だが試合後の矢野は「打つことは二の次で、しっかりリードしないと…」と星野伸の2回KOやサヨナラ負けに、険しい表情だった。

平尾、逆襲ノロシ弾

 同点劇の狼煙(のろし)を上げたのは、途中出場していたファイター平尾だった。6回の先頭打者で、0―2から高め直球を狙い打ち。ライナーで左翼席にブチ込んだ。「ボクはいつチャンスがもらえるか分からない立場。もらったチャンスは、ホントに頑張るしかないんです」。6回には中継ミス(失策)を犯したが、9回にも安打を放つなど、レギュラー強奪に名乗りを上げた。

 <データセンター> ▼阪神は91年4月6日に大洋(現横浜)に敗れて以来、プロ野球ワーストの10連敗。パでは76年からライオンズ(太平洋クラブ、クラウンライター、西武)が1分けをはさむ9連敗。

 ▼開幕戦延長試合はセでは96年の広島―中日以来。パでは98年の近鉄―ロッテがある。

 ▼開幕戦サヨナラはセでは96年の広島―中日以来でこの時は広島が13回にサヨナラ勝ちした。パでは昨年の西武―ダイエーで西武が9回にサヨナラ勝ちした。

(0勝1敗:4位)


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