追い上げる力は相当
あわてなくても首位は“来る”
ヒットの数は中日の6本に対して16本。それでいて得点は6―7。9回、2死一、三塁まで攻め込みながら、ブロワーズが二飛に倒れ、阪神は北陸の3連戦に負け越してしまった。
富山は朝方は雨。この日勝てば、6年ぶりの首位というのに、実は野村監督は雨天中止を願っていた。「天気予報はアテにならんなあ。ピッチャーが足りない時に雨が降らない。天は味方してくれない…」と試合前にボヤいた。
憂いが現実となるのに、時間はかからなかった。先発の吉田豊が2回、山崎に2ランアーチをかけられる。3回には3つの四球を与えたあげく、立浪に中前打を浴び、それを名手新庄が後逸をしたりして一挙4点を追加されたのだった。
前半の阪神はというと、初回に坪井、和田が連打した絶好の先制機に新庄が三ゴロ。これが極めて珍しいトリプル・プレーとなった。2、5回の無死一塁も併殺とチグハグな攻撃が続いた。もっとも本紙評論家の一枝修平さんは「結果としては拙攻だが、これはいい攻めと紙一重。阪神の打者がサムソンの球に振り負けずにゴロを打っているから、三重殺や併殺になってしまったわけで、もし野手の間に打球が飛んでいれば、展開は変わったはずだ」と言った。
後半になって“紙一重の攻め”が、突然阪神の側に有利な流れを運んできた。6回には2死から和田が三塁内野安打の後、新庄が左へ5号2ラン。7回にも今岡、平塚の短長打と矢野の犠飛で1点を返し、8回はブロワーズの2ランなどで1点差まで追い上げたのだ。
しかし、結局はあと1点が届かなかった。0―7となって、ベンチにあきらめムードが漂ったのか、6回に代打で高波を送った用兵が、追撃の7回には裏目に。2死二塁から坪井に中前打が出たのだが、走者平塚が本塁寸前でタッチアウト。もし代走高波なら…と思わずにはいられなかった。
「いや、あの場面では通常でも高波は使わなかったはずで、阪神に用兵のミスはなかったと見た。むしろ守っている間に野手を代えて逃げの姿勢をのぞかせたりした中日の方にミスがあったのではないか。ともかく阪神の追い上げる力は相当なもので、1勝2敗は今後に楽しみを抱かせる結果だったと思う」と一枝さん。別に大アワテして首位に立つ必要はない。果報は静かに待っていたら…といった予感を抱かせる敗戦だった。
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