野村阪神TOPへの道 阪神 5―1 中日(5月26日)  

大ピンチ感覚の差が得点に

丁寧すぎるほどの投球披露

川上はブロワーズに不注意

 首位攻防戦にふさわしく中日・星野監督が序盤にさまざまな仕掛けを凝らした。7番ライトに偵察メンバーとして投手の野口を入れる。阪神先発が川尻となると、そこに益田をはめ込んだ。左の益田は、対川尻は入団以来32打数15安打と抜群の相性なのだ。

 先制された2回裏にはその益田がいきなり同点アーチをかけて、星野監督の作戦を実らせる。また1点リードされた4回は、2死二、三塁で8番中村が敬遠されかかると、次打者席に音を立たせた。結局、敬遠されて満塁になると、音をベンチに呼び戻し、そのまま川上に打たせた(一邪飛)りした。ところが星野監督の意気込みに水をぶっかけるようなミスが、中日に続出した。

 守りでは立浪の送球ミスにフライの捕り損ない。ゴメスも悪送球をしたし川上は暴投…。攻撃でも福留のバント失敗や李のけん制死と半端ではないズッコケぶりだった。それでも最少得点差で進んだ6回だ。阪神は2死から和田のヒットと新庄の四球で一、二塁として、打者ブロワーズ。

 「川上はこの局面を大きなピンチとは考えていなかった。5回には外角に6球続けて三振に仕留めている。そしてこの6回は初球に内角球。こんな場面では、長打が怖い内角球を投げるなら、詰まらせるように精いっぱいの球威で投げなければいけない。それなのに中途半端な初球の入り方だった」と本紙評論家の一枝修平さんは分析する。ブロワーズはその1球を、左翼席へ運んだ。20試合ぶりの一発は、首位攻防戦の試合の流れを決める3ランとなった。「この配球もミスといえばミスだろう」と一枝さん。

 逆に阪神は3回無死一塁で、川尻が右肩に違和感を覚えて降板してからは、常に“大ピンチ感覚”の試合運びだった。2番手竹内は打者10人の内3ボールとしたのが7人。3番手田村は3人の内2人に3ボールとしている。ともに敬遠四球も1度ずつ。投球内容に消極的な一面がなかったわけではないが、丁寧に打者と相対した結果ではあった。最終的にはこの“大ピンチ感覚”の相違が、5―1の得点差となったのではなかったか。

 「中日が勝手に転んだような試合だったが、ブロワーズの本塁打と状況に応じた継投は評価したい。今後のブロワーズ対する配球など他チームに無形の圧迫感をもたらすだろう」と、一枝さんは北陸シリーズ第2ラウンドを総括した。

  (編集委員)

99年5月27日付紙面掲載


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