勢いに水差した川尻の弱気
ゴメスに対し逃げて四球
まずい守りがあったり、バントを失敗したり、お互いにほころびの多い展開だったが、最後は主砲の差が出たゲームとなってしまった。0―6から肉薄。土壇場まで5万3000人の観客に逆転を夢見させた試合は、それなりに見ごたえはあった。
「勝負ごとの鉄則やけど、勝ったと思った時が1番危ない」と、試合前に野村監督。前夜の試合を振り返っての言葉だったが、確かにこの日もそうであった。5回表が終わって0―6。中日とすれば楽勝の流れで、星野監督も勝ったと思ったことだろう。
だがその裏、阪神は逆襲する。3点を返して、クロスゲームに持ち込む構えを示し、6回にも桧山の1号などで2点を奪う。7回はともに1点ずつ。緊迫感のある試合にすることはできた。そんな中で、8回2死満塁のピンチを迎えたところで、投手を福原に、それと同時に三塁ブロワーズを星野に交代させた。ブロワーズは4打席とも走者を置いて凡退を繰り返し、大ブレーキとなっていたのだ。
「ブロワーズ? 止まっているよ。迷っているといっても、バットを振ってくれないと、どうにもならない」と柏原コーチ。中日はこのブロワーズに対して横の揺さぶりを軸にした配球。4打席仕留めるのに21球を要しているが、その間ブロワーズがバットを振ったのは5球に過ぎなかった。
それはともかく、長い試合の中で気になったことが1つ。初回の川尻だ。2死から関川に三塁打を浴びる。次のゴメスに対して逃げてストレートの四球を与え、その後井上、福留の左打者に打ち込まれて3点を失った。ゴメスは2本塁打を放ったが、それは3、4打席での話である。相手の主砲に対するエースの弱気がチームの勢いに水をさしたと言えば言い過ぎだろうか。
ところで最後は代打渡辺に決定打を打たれて、星野用兵に名をなさしめたが、野村用兵で良かった点も1つ。5回、無死一塁で矢野が打席に立ったとき、次打者席には桧山がいた。ところが矢野が安打で好機を広げると、野村監督は八木を起用した。桧山とすれば面白くないところだったろうが、次の6回にすかさず平塚に代えて桧山を代打で使った。結果は1号アーチ。
外国人選手の不振で惜しい星を落とした。しかし逆の見方をすれば、頼みの彼らが打たなくても、したたかな反発力は示したのだ。痛い黒星であっても、そう悲観することもない。
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