野村阪神TOPへの道 ヤクルト 7―0 阪神(5月12日)  

大敗の責任
工夫ない打線にあり

先発で安打は和田だけ

 均衡していた試合の流れが、6回を境に一気に逆流してしまった。

 意表を突く新人・部坂の先発。「もっといいかと思っていたが全然やった」(野村監督)と、4回からは伊藤を投入。6回1死一、二塁になって代打小早川を告げられると、左腕遠山をぶつけて、代打の代打青柳を捕飛に仕留める。ここまでは計算通り。ところがヤクルトが左の岩村に代えて佐藤を送り込んで来たところで、野村阪神の継投シナリオは一気に破たんしてしまったのだった。

 中込の起用が完全な裏目と出たのだ。連続四球で追加点を許し、高木、真中には連続適時打。瞬く間に4点をもぎ取られた。元来が先発要員の中込は現在不調で中継ぎに回っている。しかしここには再調整の意味があったわけで、勝負所での“救援”に心理的な備えが果たしてあったのだろうか。この継投がすべてをぶち壊しにして、阪神は大敗の坂道を転がり落ちて行った。

 だが、敗因はこの1点だけではない。ヤクルトの先発高木は左腕の変則派。横、上と投げる位置を工夫し、変化球を操って目先を変える。しかし速球は目いっぱいで137キロの投手だ。この高木に簡単に完封をさせてしまった打線の責任が、もっと重かったのではないか。

 「予想通りの先発投手だったけど、打てなかった」と打撃担当の柏原コーチは顔を紅潮させていた。「予想と異なっていたのは、ストライクがどんどん先行したこと。コーナーにストライクを決められ、わけの分からんシュート気味のフォークとかにやられてしまった。タイミングを外された面もあったが、とにかくあの程度のスピードなんだから、1回対戦すると次は合わせられるでしょう」。

 確かに高木は不思議な投球だった。実は阪神の代打策は100%の成功率で、桧山、佐々木、八木がそれぞれ快打を見舞っている。あとの2安打は、平塚と和田。平塚も偵察メンバーに川尻が起用されてその後に入っているから、先発メンバーでヒットを飛ばしたのは9回和田の1本ということになる。つまり複数回対戦してタイミングが合わせやすくなったはずの打者がことごとくひねられたというわけだ。

 中日戦を前に勢いをつけたかったところでの貧打は心もとない。「ジックリ研究しますわ」という柏原コーチの台詞に張りが失われていなかったことだけが、救いのような気がした夜であった。

  (編集委員)

99年5月13日付紙面掲載


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