野村阪神TOPへの道 阪神 4―0 ヤクルト(5月11日)  

大胆に打順入れ替え的中

「気楽な8番」で今岡リフレッシュ

 「満塁だからね、少しは(古田も)外してくれないとね」。野村監督はご満悦だった。薮が完封。打線もハッカミーを4回に攻略して3点、7回には1死満塁から矢野がアッサリとスクイズを決めて1点を加えた。ヤクルトの裏をかいたダメ押し点が心地良い。

 野村阪神の今季の特徴の1つは、大胆に打順をいじることだ。この日は新庄を3番、9試合スタメンから外していた平塚を6番、今岡を8番に入れた。特に注目したいのは8番打者の起用の仕方で、当初は6、3番に起用した新庄を10試合連続で8番に落として見事によみがえらせている。

 今岡は今季、3、5、6、7番はあっても8番は1度もない。元々力のある打者だが、現在のスランプはかなり深刻。試合前のフリー打撃でもなかなかシンに当たらない。そこで8番起用。心理的にもっとも重圧のかからない打順に据えることで、蘇生(そせい)を図ったわけだ。

 打順の入れ替えは案の定、効果的だった。4回は2死一塁から平塚が右前打でつなぎ、矢野四球のあと、今岡が中前に2点適時打。7回は新庄のこの日2本目の二塁打が発端だった。試合後、柏原打撃コーチは、目の前を通りかかった今岡に大きな声をかけたものだった。「ホッとしました、今岡さん!」。

 野村阪神の“再生プロジェクト”は、今のところこの打順を大幅に入れ替えることが主たる仕事かもしれない。大胆な打順編成で既存の戦力をリフレッシュさせ、次々によみがえらせて行く。

 ところで試合前、野村監督は前日行われた関西6大学野球をテレビ観戦した話をしていた。「龍谷大の4番はいいぞ。逆指名してくれんかな」と言われてトラ番の高原があわてていた。龍谷大の4番木元はまだ3年生だったので、高原も拍子抜けに終わったのだが、この手の話は油断がならない。

 南海の兼任監督時代、東京6大学をテレビで見て、法大の巧打者を見初めたことがある。「体が小さい」「肩が弱い」などスカウト陣は反対したし、他球団は見向きもしなかったが、野村監督は79年のドラフトで強引に2位指名した。その後2000本安打を記録、今はオリックスでイチローの師匠である新井宏昌コーチのことである。

 再生の名人は、実は“仕入れ部門”でも、相当な手腕の持ち主なのだ。

  (編集委員)

99年5月12日付紙面掲載


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