野村阪神TOPへの道 阪神 14―12 横浜(5月8日)  

“異端”定詰起用の結論

第2捕手の評価は先送り

 朝から久しぶりに胸のときめく野球をテレビで見た。米大リーグのヤンキース―マリナーズ戦は、史上初の日本人投手同士が先発した試合。マリナーズ鈴木は4回まで0点に抑えながら、5回に3ランを浴び、6回に4点目を奪われて散っていく。伊良部は7回2死から本塁打を打たれたが、その1点だけで8回からリリーフを仰いだ。雨のヤンキースタジアムの歴史的な試合は、目が離せない緊迫感にあふれていた。

 そして横浜スタジアム。前日16失点の阪神が1回から3、4、1、3と点を重ね、4回で11点。川尻は4点を返されたが、5回まではそれなりに踏ん張っていた。ところが後半に入って流れが一変する。横浜の猛反撃に8回が終わった時点で何と12―12の同点になったではないか。最後は八木の勝ち越しアーチで勝ったのだが、大変なゲームだった。

 この試合で、阪神は1つの実験的な試みをしている。開幕から正捕手に据えて来た矢野に代えて定詰を起用したのだ。「矢野がパニックになっているから」(野村監督)ということに加え、これから長いシーズンを見越して控え捕手の底上げを図ったのだろう。

 矢野が正統派なら、定詰は異端の捕手だ。大胆なリードが彼の売り物で、先発の川尻にしきりにスローボールを要求したりして横浜打線をケムに巻こうとした。ところが、投手のコントロール難など巡り合わせが悪く、定詰がマスクをかぶった7回までに、横浜に4本の本塁打を食らってしまった。

 「今日の本塁打は、捕手の責任というのはどうかな。7回に遠山が鈴木尚に初球を打たれたのは、確かに少し不用意だったが…」と黒田バッテリーコーチ。松井ヘッドも同じで「あそこだけと違うかなあ。巨人戦の夢に酔って、遠山にシュートを要求したんやろうが」と話した。5日の巨人戦の8回、1点差で1死一塁の場面で出た遠山は、清水にシュートを打たせて投ゴロ併殺に仕留めている。その再現をねらったところを鈴木尚に痛打されたというわけだ。

 第2捕手の評価は「今日のゲームでは分からない」(黒田コーチ)がこの日の結論。ともあれ7点差を追いつかれながら、何とか競り勝って阪神は貯金2を保った。阪神に成果があったかどうか、はともかく、朝から夕暮れまで野球漬けで相当にくたびれた1日ではあった。

  (編集委員)

99年5月9日付紙面掲載


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