野村阪神TOPへの道 横浜 16―0 阪神(5月7日)  

怪挙?14K奪ってこの負け方

無失点の投手なし

 横浜・斎藤隆が奪った三振はたった5つ。阪神が繰り出した5人の投手が、横浜打線から奪った三振は実に14個を数えた! どんなもんじゃ。と威張りたいところだが、スコアは0―16。昨年1勝9敗の横浜スタジアムで、阪神は今年もとんでもない負けっぷりをしてしまった。

 先発の吉田豊は初回、先頭の石井琢を三振に仕留める好スタートを切った。ところが2番波留に右へ打ち上げられた打球が折からの風にも助けられて本塁打となってからおかしくなった。鈴木尚に二塁打を打たれてからは、ストライクが入らない。1回は3点に止まったものの、1回に投げたボール球が21球もあっては、テンポも何もあったものではない。2回1死二、三塁のピンチを残して、早々に降板した。

 葛西、井川、中込、部坂とマウンドに立ったが、無失点で切り抜けた投手は皆無で、横浜に打ちのめされて、19安打で16失点。12点差をつけられた3回の横浜の攻撃が終わった時点で、1時間44分が経過していた。実はそのころから、敗戦に光る何か、をゲームの中から探り出そうとしていたのだ。しかし、悲しいかな、これが何もない。スコアブックの中から三振の数を捜し出したのが、阪神におけるほぼ唯一の“ポイント”だった。

 敗戦処理から1軍投手としての実績作りが始まる井川は、3回から登板。先頭ローズには144キロの速球から入って三ゴロに抑えた。速球と同じ腕の振りで投げるチェンジアップには非凡なところをのぞかせたが、彼も駒田や石井琢ら左打者に打たれてしまった。

 試合中、横浜の広報から、しばしば選手の談話が記者席に運ばれた。9点目のタイムリーを打った石井琢「打ったのはカーブ、自分は特にありません。後はみんなに聞いてくださいよ」。3安打猛打賞を含む10点目のタイムリーを打った波留「打ったのは甘いスライダー。もうここまできたらコメントすることもないでしょう…」。コメントすることもない、というコメントまでが出てくるほどの試合であった。

 1回1死一塁、打者佐々木の5球目にエンドランを仕掛けた(ファウル)のが、ただ1度の作戦だった試合とあっては、野村監督の方もコメントのしようがなかった。「お客さんに申し訳なかったな」。それ以外に言いようがないものすごい負け戦であった。

  (編集委員)

99年5月8日付紙面掲載


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