田中の起用に虎の未来が…
チーム強化に理想的
最近の野村監督の言動で妙に気になったことが2つ。前日の試合後、清原封じの策を聞かれたとき、口ごもってからこう言っている。「詳しく言うと、新聞を読まれてしまうからな」。もう1つは1日の広島戦だ。1点差の8回に1死二塁から田中が三盗。結局得点にならず敗れたのだが、この三盗について尋ねられたとき野村監督は「行けたら行けのサイン? まあそうだが…3つ4つの要素があってのことや。それは企業秘密」と報道陣の質問を封じ込んでいる。
この類いのナゾめいた言葉は、TOP野球を推進する楽しみが秘められていて、楽しい。清原の攻め方はさて置いて、田中の三盗を考える。あれは、もし逆転に成功していたら、値千金であった。打者ブロワーズの3球目。空振り、ボールの次の球。まさに勝負所の作戦。あの局面でいかなる要素があっただろうか…。
投手小林幹のけん制のクセ、二塁手とショートの位置か…などと考え、ふと二塁走者のメリットは何か、と思った。二塁走者は唯一捕手のサインが見られる場所にいるのだ。田中は捕手のサインを見て、変化球の時に走ったのかもしれない。だとすれば文字通りの“スチール”であった。そしてこの鮮やかな糖類が、2日のサヨナラの伏線となったのではなかったか。
伏線といえば、この田中の起用法は大きな意味では阪神の未来のためのそれのような気がする。二塁和田は現在.369、ベスト10の6位だ。だがこの和田でさえ安閑としていられない立場に“追い込み”をかけられている。ハンで押したように試合終盤には田中を使い、ここまで田中は25試合中23試合に出場、23打数7安打で彼も打率.304。守備範囲の違いは明白(田中の方が広い)でもある。
田中が自信を深め、和田がより発奮する。この構図はチームの強化には理想的だ。この日、若い浜中を佐々木と入れ替えで2軍におとすことを決めた。チーム強化と新旧交代をにらみつつ、あの手この手が講じられる。室内練習でベテラン和田が、若い選手同様にひたむきに汗を流す姿が、なぜか印象的な雨の1日…。
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