負けてもそう快…名サイ配
実らずともファンも納得
1点差の9回裏、1死から新庄が左前打で生きる。代打平塚が中前打で一、二塁。トラ番キャップの木崎が耳元で「坪井はまだ公式戦で併殺がないバッターなんですよ」と、ウキウキするようなことをささやいた途端、坪井の打球は強いゴロとなって二塁ベースの左へ飛んだ。4―6―3の併殺。4万観衆の高まっていた期待感が瞬時にしぼむ結末だった。
先発川尻が4回までに3点を奪われた。しかし、4回裏、ジョンソンが同点3ラン。6回には4点目を取られながら、すぐに追いついた。終盤勝負の逆転が最近の得意技だから、甲子園には期待がいっぱいにふくらんでいたのだが、8回に失った1点を埋めることはできなかった。
野村監督は「今日は勝ち目の薄い試合やった」とぶ然としていた。確かに1度も勝ち越せなかった展開は、そうかもしれない。相手のまずい守りに助けられた一面もあった。しかし、この日の思い切りの良いサイ配は、結局実りはしなかったけれど、ある種のそう快感があった。
1、2打席で凡退した3番桧山は3打席目(無死一塁)の初球に空振りをすると、次の球からはバントのサインを受け続けることとなった。3番打者は3、4打席とも送りバントを決めた。8回1死二塁からの田中の三盗、その後満塁で今岡に代えた大豊の起用(遊ゴロ併殺)、川尻を早めにあきらめた継投…。「失敗したら何言われてもしゃあない」と野村監督は言うものの、このあたりのサイ配はファンも納得ずくのような気がする。
ところで、この日阪神でもっとも派手なところを見せたのは、3ランを放ったジョンソンだろうが、これは多分に“ブロワーズ効果”があったのではないか。威圧感十分のブロワーズは、打席のかなり後方で構える。相手投手は踏み込んで打たれることを阻止したいから、内角へボール球を丹念に投げなければならない。
この日、ブロワーズに対して広島の投手は合計12球のボール球を投げている。この苦心の投球の直後だけに、ジョンソンに対したときにふとしたスキができるのだ。ブロワーズが再来日してから5勝3敗という数字の根拠は、おそらくはそういうことなのだろう。
5割から1日にして転落した阪神だが、今後の夢や希望までがしぼんでしまったわけではない。
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