野村阪神TOPへの道 阪神 9―3 横浜(4月20日)  

圧勝劇の裏に味ある攻め

今季1番の内容

 ジョンソンに5回久しぶりの一発が出た。8回には新庄がセンター左へ今季1号をほうり込む。長崎の阪神ファンにとってはこたえられない戦いぶりに、三塁側スタンドはお祭り騒ぎ。「憤の一字 ノムさん頼りにしてまっせ」という横断幕が、そこら中を練り歩いて、歓声がとどろく。

 ディフェンディング・チャンピオンの横浜に4戦目にして初めて勝った。それも半端な勝ち方ではない。立ち上がりから圧倒して、危なげのない快勝である。

 派手な活躍が目立ったが、この日の快勝を呼び込んだのは、序盤の攻撃だった。1回、先頭の坪井の中前打がまた口火だった。和田が2―1と追い込まれながら、エンドランを一、二塁間に決めた。「ファウルで何とか粘った和田をベンチのサインが助けた典型的なケースだ」と本紙評論家の一枝修平さんは分析した。

 一、三塁となって、新庄の三ゴロの間に先制。平塚がヒットでつなぎ、2死後、今岡が左前打を飛ばすと、これを左翼鈴木が後逸した。「阪神が積極的に走る、という意識を横浜が持ったから、こんなエラーが出たんだ。先の塁に進めたくない、という気持ちがあわてた雑な守備になったわけだ」と一枝さん。

 いきなり3点を奪った攻めだが、評価したいのはこの回、阪神の打者が実に16球ファウルをしている点だ。ファウルをするのが粘りの1要素だとすると、極めて粘り強く攻撃したのである。ちなみにファウルの本数だが、横浜は7回までで25球。阪神の1イニング16球がいかに多かったか、その数字が証明しているだろう。

 ところで阪神の先発メイは不安定な立ち上がり。1回裏には2四球を与えたりして1点を返された。そして迎えた2回だ。先頭の田中が1球目空振りの後、次の球を一塁線に見事なバント安打を転がした。バントで送られ、坪井の二塁打で4点目。阪神の快勝を呼んだバント安打だった。

 小技といえば6回、無死二塁で、1―2から和田がバントの構えで一塁駒田をおびき寄せ、バスターで一塁線を破った攻めも鮮やかだった。打線の粘りと、和田や田中の小技。圧勝劇の裏には、地味ながら味のある攻めが隠されていた。「主力で取る点とワキ役で取る点が交ざって意義のある白星だったと思う」と一枝さん。内容ということでは、おそらく今季1番のゲームであった。

  (編集委員)

99年4月21日付紙面掲載


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