野村阪神TOPへの道 阪神 10―3 ヤクルト(4月18日)  

65イニングぶり
リードが重圧を解放

それでも松井ヘッド「50点」

 坪井が5安打の固め打ちをすれば、1500試合出場の和田が長短3安打、新庄も二塁打2本で3打点、ドロ沼であえいでいたジョンソンまで2本のヒットを飛ばした。16安打で10点。名手古田の鼻をあかす一、三塁からの重盗(7回)も絡めたりして、時ならぬ「トラ祭り」が、福岡ドームで繰り広げられた。

 地味な働きかもしれないが、坪井の1回表、初球に決めたバント安打が効果的だった。2番和田はバントの構えをしながら2球ストライクを見逃し、打ちに出たらこれが右前打に。ケガの功名で好機をつかみ、3番に入った新庄のバントは和田が二封されたものの、とにかく坪井を三塁へ進めた。この後ヤクルト宮出のボークで先制した。

 阪神がリードを奪ったのは7日の広島戦以来65イニングぶりのことで、この1点が連敗で委縮していたナインの心理を微妙に解放したのかもしれない。3回に2点、5回に1点を加えた。もっとも、中盤まではまだこわごわ試合を進めているようではあったが…。

 たとえば5回。2死三塁となって、相手投手が左の加藤に代わった場面。ベンチはジョンソンの初球に意表をつく本盗のサインを送っている。大胆極まりない攻めだが、走者和田が遠慮がちなスタートを切ってアウトになっている。このあたりはベンチと選手の思惑が、まだすれ違っているように見えた。だが6、7回と得点を重ねることによって、連敗の重圧から完全に解き放たれていったのだ。そういう意味ではこの両方の回で適時打を放った矢野の仕事は実に貴重だった。

 笑顔で引き揚げて来た松井ヘッドに「今日の試合運びは何点?」と尋ねた。「100点の試合はまず不可能やからね。70点を合格ラインとすると、50点ですかね。うん、50点」という答えが返って来た。決定打不足だとか、走者をキチンと進められなかったことが減点材料かと思ったら、松井ヘッドは「それもあるけど、バッテリーを中心にした守りの備えという部分です。1球ずつで局面が変化するのに、まだ備えが足りないところが見受けられる」と言った。

 1つの白星は、阪神にほのかな光をもたらしてくれた。しかし4勝9敗という厳しい数字もまた現実なのだ。本当の意味で強いチームに育って行くには、険しく長いTOP野球への道程を1歩ずつたどって行くしかない。

  (編集委員)

99年4月19日付紙面掲載


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