野村阪神TOPへの道 横浜 2―1 阪神(4月15日)  

働かぬ1、4番に苦悩

坪井スタメン落ちが象徴

 開幕から6試合目で代打を送られ、9試合目で7番に降格した坪井が、ついに先発メンバーから外されてしまった。キャンプが始まって間もなく「レギュラーが決まっているのは坪井1人だけや」と野村監督に“お墨付き”をもらった男が、開幕からわずか10試合目にして味わう屈辱と苦悩。それは今の阪神そのものを象徴している。

 打てなかった。先発の吉田豊は初回こそ、波留のタイムリー二塁打で1点を失ったが、2回からは気迫にあふれるピッチングを見せた。8回1死三塁のピンチ(結果的にはその走者が決勝点のホームを踏む)を迎えて葛西の救援をあおいだが、「大胆で十分に持ち味を出した」(八木沢コーチ)投球だった。

 それでも勝てなかったのは、攻撃力の無力さに尽きる。無死からの走者を出したのは4度あったが、得点を挙げられたのは7回だけ。それも大豊、八木、坪井と考え得る最強の代打陣を送り込み、敵失で1点を拾って同点に追いつくのが精いっぱいだった。

 「去年、横浜が優勝した大きな要因は谷繁の成長だった。テンポ良くサインを出し、巧みなリードをした。キャッチングもうまく、ワンバウンドでも軽く捕球するから、余計に投手のリズムを良くする」。そう言うのは本紙評論家の一枝修平さんだ。谷繁はこの日も、6回2死二塁で浜中を迎えると、三浦に直球を4球続けさせて中飛に。8回1死二塁の和田には見事にウラばかりかいて、1度もバットを振らせず3球三振に仕留めた。

 目立たないことだが、一枝さんが指摘したキャッチングも鮮やかだった。7回のピンチでは捕りにくそうなワンバウンドが3球あったのに、すべてさりげなく処理した。捕手を重視する野村野球が、相手捕手のうまさに敗れ去る皮肉…。

 ところで問題の打線。開幕から10試合で1番に起用された打者は44打数8安打で打率1割8分。4番も38打数8安打に過ぎない。打線の軸ともいえる打順の者がこれでは、大技はむろん小技を利かした攻めも望むべくもない。甲子園での4試合はリードする場面を、1度も地元ファンに見せられないままに終わった。

 ブロワーズが18日に再来日する。もはやこの男を頼りにするしかないのだろうか。ブロワーズがいた時は2勝2敗だった阪神は、彼が抜けてからは1勝5敗と大きく負け越してしまった。

  (編集委員)

99年4月16日付紙面掲載


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