野村阪神TOPへの道 横浜 6―3 阪神(4月14日)  

選手の真面目さが逆作用

4番平塚まで右狙い

 9回表、一塁に鈴木尚を置いて、横浜ローズの打球がバックスクリーン右へ消えて行く。決定的な2点。甲子園から1点差の息詰まる緊迫感が、潮が引くように消えた瞬間だった。借金だけが着実に「3」に膨らんだ。

 「阪神の選手はチャランポランかと思っていたが、みんな真面目やな」と野村監督がつぶやいたことがある。確かにそうかもしれない。例えばこの日、8回の守りからついにベンチに退いたジョンソン。開幕からフル出場していた外国人選手は、20打席安打が出ず大豊と代えられたのだ。「彼は真面目がユニホームを着ているような選手です。この不振は気の毒で…」と、ロス支局勤務経験がある外国人担当の遊軍村野は試合前から気をもんでいた。

 「ここをこう直しているんだ、といったことを説明してくれるんです。でも試合になると、結果を出したいからアメリカでやってきたスタイルになる、と言ってました」と村野。守りにつくと、一塁手は内野手に肩慣らしの球を送る。ジョンソンは矢継ぎ早にその球を投げる。この日の3回には14球も投げて、内野手の肩を暖めさせた。

 柏原コーチも以前から、このジョンソンの扱いにはひそかに悩んでいた。「子供のころからやって来た打撃のスタイルがあるからね。あまりいじると、余計に深みにはまることもあるから…」。そんな思いやりをジョンソンも知っている。だからひたむきに二人三脚で打撃改造に取り組んでいるが、この日も3打数0安打で終わってしまった。

 ジョンソンだけではない。約1年ぶりに先発した湯舟も慎重過ぎたのではなかったか。打者が1巡する間に初球ストライクは2人だけ。考えあぐねた投球だったかもしれないけれど、横浜野村が大胆に8人に対して初球ストライクを取ったのとは対照的であった。

 一塁に走者が出ると、代打で出た北川(3回)や4番の平塚が(4回)徹底的に右ねらいをする。TOP野球の実践だろうが「平塚なんか4番なんだから、そこまでムリをすることはない」と、本紙評論家の一枝修平さんはいう。ジョンソン同様、ナインの真面目さがこの日に限っては逆作用したのだった。

 野村監督が目指す野球は、徹底的なチームプレー。その意味では、阪神の選手の姿勢は正しいはずだ。が、4連敗。TOP野球が産みの苦しみに身もだえしている…。

  (編集委員)

99年4月15日付紙面掲載


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