TOPの敵は我に在り
敗戦呼んだ藪失投
野村野球を粉砕するのは、実は簡単なことなのだそうだ。「それはエラーだよ。どんなにち密に作戦を組み立て、試合を進めて行っても、自軍の選手がミスをしてしまえば、その時点ですべては崩壊してしまう」。本紙評論家の森祇晶さんの言葉だ。
それはそうだろう。ベンチがいくら知恵を絞り、相手の出方を読んで作戦を授けても、選手がその通りに運んでくれなくては、「TOP野球」が機能するわけがない。そういう意味ではまさに「敵は我に在り」である。
この日の阪神は失策は0だった。3回無死一塁ではペルドモのバントを見破り、広島野村を二封したし、5回1死一塁でもバントを読んで、的確なシフトを敷いた。併殺も2つあった。にもかかわらず敗れてしまった。なぜなのか。
0―0の5回、2死二塁で野村を迎えたとき、捕手矢野は藪の元へ歩み寄っている。野村はその前の打席でも右前打。次のペルドモはほとんど怖さを感じさせない打者だ。四球覚悟でコーナーを突くことを確認したのだろう。それは1―1後に、矢野が手振り身振りで左右高低に球を散らせる指示を送っていたことからも推理はできる。だが2―1の後、藪は内角高めに直球を投げ、野村に先制のタイムリーを許した。
さらに6回、2死一塁から浅井にストレートの四球。金本には1―1から真ん中へスライダーを投げてしまい2点二塁打を浴びた。その後はバックのまずい守りも絡んで、この回一挙4点を失った。もちろん記録の上では失策でも何でもないのだが、この日に限っては藪のコントロール・ミスが「TOP野球」を壊してしまったというのは、藪にむご過ぎるだろうか。
一方の広島達川監督は6回2死一、二塁と阪神に攻められたとき、ためらわずに菊地原から横山に交代させた。菊地原は浜中には投げにくいらしく、3月26日のオープン戦(この時も阪神はこの左腕に6回1点と抑えられた)、そしてこの日と4打席対戦し4度とも出塁を許している。そのデータから、転ばぬ先に手を打ったのであろう。
相手ベンチにスキのない野球をされ、自軍の選手が思い通りに動いてくれなくては、やはり勝てない。最終的には8回に3点を奪って、2点差に詰めた試合だったが、食い下がったという印象が不思議と希薄な戦いであった。
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