野村阪神TOPへの道 阪神 8―4 巨人(4月4日)  

メイ交代に監督のすごみ

疲れの兆候…見事な見極め

評論家・森氏に聞く

 野村阪神のすごみをのぞかせたのは、6回のことである。2回に高橋に2ランを浴びたとはいえ、巨人打線に対して5回までわずか3安打、8個の三振を奪っていたメイを、6回にはあっさりと交代させたのだ。5万5000人のスタンドはどよめいたが、「野村監督にすれば計算づくのことだった、と思う」と、本紙評論家の森祇晶さんは事もなげに言った。

 「好投している投手を代えるのは、監督にとっては1番勇気が必要な仕事だ。当然、代える必然性がないとそれはできないわけで、投手の調子の見極めができるかできないか、それがポイントと言えるだろう。結果論ではあるけれど、阪神はそれができて、巨人はできなかった…」と森さん。

 メイは序盤から全力で投げ続けた。だが、4回ころからは疲れの兆候が表れていたという。「ストレート主体でグイグイと押していたのが、チェンジアップやシュート気味の球に頼る傾向が出てきていたね。そこを見極め、思い切り良く交代させた。見事なものだった」。

 一方の巨人は同じように立ち上がりから飛ばしに飛ばした上原に未練を持ち、7回まで引っ張った。それが結果的には致命的な2点を奪われることとなる。そういう意味では、この日もまた野村阪神の作戦勝ちだったのかもしれない。

 その7回、阪神は先頭ジョンソンが左中間に二塁打を放つ。ここでまた野村監督はわざわざベンチから出て行って、次打者平塚に策を授ける。巨人選手、ベンチをイラ立たせる心理戦でもあったろう。平塚は一ゴロをうまく打って進塁させ、佐々木はファウルで粘ったあげく右中間に勝ち越しの二塁打。この後、代打大豊も二塁打を放ったのだった。

 「速球に振り遅れていた佐々木に対して、最後の勝負球にスライダーという変化球を選んだのは巨人バッテリーの失敗だっただろう。だが、ここで褒めたいのは平塚のチーム・バッティングだ。野村監督がやりたい野球が、阪神はできるようになってきている」と森さんは話した。

 8回にジョンソンの2試合連続アーチなどが出て4点をもぎ取った。終盤の守りで連続エラーが出たり、巨人の反撃にもあって“青写真”通りには進められなかったが、巨人との開幕3連戦は99年の阪神に十分な期待を抱かせてくれる戦いぶりではあった。

  (編集委員)

99年4月5日付紙面掲載


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