西本投手コーチ(2)

敵に恐怖心植え付けるまで内角攻めろ

新コーチのトライ

おとなしい虎投変える

 巨人を追われ、中日に移籍した89年、西本は33歳だった。スピードボールは135キロが精一杯。「それでどうして20勝できたと思います? 打者の内側を攻めたからですよ」と振り返る。

 今、西本はキャンプに参加する若手投手陣に口酸っぱく「内を攻める」ことを教え込んでいる。相手に恐怖心を植え付けること。これが狙いだ。「阪神の投手の資質はスゴいですよ。真っ直ぐも145キロ以上を平気で投げる。じゃ、次は何か。どうして内角を攻めないのか。外にいくら145キロのスピードボールを投げても、そればかりなら打たれます」。

 阪神の投手と対戦する打者はストライクゾーンを絞りやすい。狭くとらえることができる。平気で踏み込める。それは恐怖心がないからだ。

 「生命線はやはり外角低めのストレートです。でもそこまでの過程で内に投げないと、外の球も生きてこない。例えばこうです。新幹線のホームに立って上りののぞみ号が通過した時は時速300キロのスピードを感じるが、下りはそのスピードは感じない。この違いをわかってほしい。要するに内の球を投げないことには、外のスピードには慣れられるってことなんです」。

 西本と対戦した達川はこう言う。「そりゃ、エグいシュートを投げていたけど、西本が多く勝てたのは、シュート=西本のイメージを定着させたから。恐怖心がどうしてもこちらにあった」と証言する。

 このイメージ作りに取り組む。「巨人の真田が137キロの直球でどうして6勝もできたのか。それは内を意識的に攻めたからなんです」と西本は分析。阪神の若手、藤田、藤川、安藤などに練習からどんどん攻めの投球を求めている。シート打撃では田淵コーチに「打者にヒジあてをつけさせてください」と要望しているほどだ。

 「練習で投げていないと、試合では絶対投げれない」。攻めの男が、おとなしい虎の投手陣を変えようとしている。(敬称略・完)

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年11月13日付紙面掲載


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