岡田内野守備走塁コーチ(2)

データに肉付けされた感性求めたい

新コーチのトライ

理想は巨人・仁志の守備

 遠い昔の事だが、岡田は今でもはっきりと覚えている。

 「そやね。一生忘れんやろな」。

 19年前。二塁手岡田はシーズン途中の広島戦で大きな故障に見舞われた。その試合、イニングは定かではないが投手が工藤(現評論家)で打者がアイルランドだった。工藤の状態、アイルランドの調子からして、岡田は初球から二塁ベース寄りに守備位置を取った。初球はストライク。その直後、ベンチを見ると守備コーチが盛んに指示を送っていた。「逆や。もっと一塁寄りに守れ」の合図だった。

 「その試合前のデータでは、アイルランドの最近の打球方向が右に偏っているとのことだった。コーチもそのデータ通りに指示したと思うけど、オレはその日の工藤のスライダーなら、アイルランドの打球はセンター方向に飛ぶ、と考えたんや」。

 2球目、悪夢が待っていた。岡田の読み通り、打球は二塁の右横に飛んだ。守備位置を変えていた岡田はボールを追った。その瞬間、右足大腿部の裏側の筋肉がブチッと切れた。

 「誰に言うのではないけど、こんな事(故障)になった責任は誰が取ってくれるねん、とその時は思ったな」。

 岡田の守備に関する信念は、ここがスタートだった。「データは重要やし、確認せなあかん。頭の中に入れておけばいいんや。ただ100%ではないんやから、その時(試合)に必要なのが、やっぱり感性やと思うわ」。

 野村前監督時代からデータ最重要の傾向があり、いまでも選手たちの考え方の基本になっている。岡田は何もデータを否定しているのではなく、それに肉付けする対応力をこれから求めていくつもりだ。それが岡田の言う内野手の感性。

 「巨人の仁志のポジショニングが称賛されたけど、確かにたいしたもんや。ベンチが仁志を信頼しているのか、データがそうなのかはわからんけど、あの守備ができれば」。岡田の「理想は高い。(敬称略)

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年11月8日付紙面掲載


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