星野阪神を追う「虎劇場」

  阪神 7―8 ヤクルト (8月4日・甲子園)

「死のロード」今は昔…恐れることない

星野阪神を追う「虎劇場」

 「浜中ぁ、頼んだゾ」「矢野〜、ピッチャー助けたってくれよ」。長時間ゲームを終えてベンチを引き揚げるナインの背に様々な檄が飛んだ。一夜明ければ長期ロードに旅立つナインに、惜別とはなむけの声。悔しい敗戦も重なって、ファンには感傷の夜になった。ひときわ大きな声がベンチの上から聞こえる。「片岡ぁ、気楽にやって来いよ」。この日も結果を出せなかった男にも声援は温かい。4万3000人がつめかけたラスト甲子園は、いつもに増してアットホームな雰囲気の中で幕を閉じた。

 ナインもファンも、思いはすでにロードへと飛んでいる。夏の高校野球に本拠地を明け渡す恒例の遠征は、これまでチームの命運を左右することも少なくなかった。大きな壁になって立ちふさがったこともしばしばで、死のロードと呼ばれた時期もある。しかし今年はまるで違っている。

 何よりもAクラス3位というポジションの力だろう。そしてロードに滅法強くなったチームの体質もある。ひょっとすると首位とのゲーム差をグーンと縮めて帰ってくる―。そんな期待を膨らませるファンも多い。選手に投げかけられる声援は、その期待感を投影していた。

 このコラムに届く声も同様に期待感一色だ。尼崎市・市川治彦さんは「死のロードは、とうの昔の話です。今年は星野仙一・夢ロードになるでしょう」ときっぱり。ハンドルネームJDさんからのメールは「連戦ロードは若い阪神投手陣のものです」と威勢が良かった。そして女性陣では大津市・杉山茂美さんのハガキ。きれいな字で「毎日、祈りながら携帯の速報サイトを開けています。朗報を楽しみにしています。頑張ってきてください」と記されていた。

 こんな気持ちは星野監督の心の中にも当然届いている。この日の試合前のベンチ。担当記者の質問に応えて「分かっているし、心してかかりますよ」と短いながら決意のコメントを口にしていた。ナインは今日5日夕、最初の決戦場、倉敷に旅立つ。02年夏の正念場は14泊の遠征。どんな成果を持ち帰るか、心から「グッドラック! 星野阪神」と祈りたい。

【達野昭司】


2002年8月4日付紙面掲載


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