星野阪神を追う「虎劇場」

  阪神 2―9 横浜 (7月31日・甲子園)

我慢の8月…耐えて好位置キープを

星野阪神を追う「虎劇場」

 藪、桧山に続いて主砲までもがグラウンドから消えた。トレーナーからの報告を受ける星野監督の表情に一瞬だけ険しさが走ったが、あとはむしろ背中に寂しささえ漂わせて、報告に相づちを打った。どんな戦いにも負傷者はつきものだし、傷つくことは仕方ない。だが、それにしても…の思いは当然あるだろう。しかし指揮官は「おるもんで頑張っていくしかないよ。今までもそうやってきたんだから」と静かに話した。

 セ・リーグの灯を消すな、という圧倒的なプロ野球ファンの期待を背負って、ここまで2位というポジションを守り抜いてきた。スパートは8月以降と、手綱を引き締め、反攻のイメージを膨らませてきた。今、その勝負どころにさしかかって、この逆境だ。やり場の無い怒りもあるだろうが、逆境だからこそ奮い立つのもこの人だ。静かな口調の中に高ぶる気持ちものぞかせていた。

 標的巨人は遥か彼方に遠ざかった。後ろ姿がかすむ。他力はアテにしないと言っても、古巣ドラゴンズの対巨人戦の泥沼も誤算のひとつには違いない。その話題をふると、苦笑だけが返ってきた。「連敗記録、25年ぶりだってね。ボクの監督時代じゃないよ。ボクの巨人戦は引退する前の年(81年)にも5つくらい勝ちましたよ」。

 野球人生のテーマとして打倒巨人を掲げ、ハートを燃やし続けた星野だ。現役時代は35勝31敗8Sと常勝軍団の前に立ちはだかっている。中でも長嶋(前監督)は2割3分、原(現監督)は1割台のアベレージに押さえ込んだのも、その気持ちがもたらした勲章だった。

 時は移って、巨人包囲網さえ機能しないセ・リーグの現状。となれば道は自力で切り開くしかない。戦力が整うまで、耐えて好位置をキープし、チャンスを待つという残された道。7月最後のゲームは、そんな期待の中で始まった。しかし先発ムーアが初回に試合をブチこわす。いきなりの大量点は、今の阪神打線にはあまりにも重く、指揮官の思いはついに届かなかった。

 悔しい1歩後退だが、明るい材料がいくつか見えたのは救いだろう。不振を極めた片岡、ホワイトに快音が戻って明日につないだことだ。巨人との直接対決は23日から敵地での3連戦。時間はたっぷりある。それを見据えての8月戦。我慢と挑戦の1カ月がスタートする。

【達野昭司】


2002年8月1日付紙面掲載


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