阪神 5―4 巨人 (7月25日・甲子園) | ||||
巨人の胸マーク変更はプロ野球の後退だ
もしかしたら阪神の選手たちは、胸に「YOMIURI」のローマ字を刻み込んで、甲子園に散る巨人ナインの姿が腹立たしかったのかもしれない。7回、アリアスへの入来の投球を巡って両軍が入り乱れた。初回の猛攻、乱闘、そして2夜続きのサヨナラ劇…。波乱含みの展開で、阪神は生き残った。 それにしても「TOKYO」を「YOMIURI」に変えた巨人のビジター用ユニホーム。「巨人だけが企業名を入れない理由はない」という言い分は正当だし、阪神も「OSAKA」から「HANSHIN」に変えたのだから、大きなことが言えた義理ではない。しかし、自らを日本球界のリーダーと位置付け、時に強引なごり押しもしてきた巨人なのだ。こんな時だけ「うちだけが…」というのは、少し虫が良過ぎる。 アメリカでは球団は市名や州名、広域地域名を名乗る。マリナーズはシアトル・マリナーズであり、決して任天堂マリナーズではない。CI(コーポレート・アイデンティティー=企業同一性)ではなくAI(エリア・アイデンティティー=地域同一性)こそが基盤なのだ。球団が企業の宣伝道具ではなく、フランチャイズである地域とともに歩む社会的な存在たり得ようとする覚悟…。 「TOKYO」から「YOMIURI」への変更は、生き延びる道をAIによって探らなければならないプロ野球にとっては後退だ。昔、阪神に入団が決まったアメリカ人選手が、地図で「ハンシン」という地名を探して、くたびれ果てた逸話があるけれど、今度は巨人に入る外国人選手が「ヨミウリ」という地名を虫眼鏡で探すのだろうか。 「巨人は大きな存在や。けれど自分だけが幸せで他のチームはどうでもいい、という利己主義があれば、それは許せないし、オレは断固反発する」。巨人相手に腕も折れよ、とばかりに投げ続けた故村山実さんが、生前何気なく口にした言葉を、試合中不意に思い出した。もっとも阪神の選手たちが見慣れない「YOMIURI」に奮い立ち、劇的な勝利につないだのだとすれば、巨人軍の「CI」化は、阪神にとって思わぬ効用があったのではあるが…。 【井関 真】
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2002年7月26日付紙面掲載
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