星野阪神を追う「虎劇場」

  阪神 1―6 広島 (7月18日・甲子園)

反攻信じさせる代打陣の輝く目

星野阪神を追う「虎劇場」

 思い出すだに悔しい前夜(17日)の敗戦。最後の最後で逆転負けなんて、痛恨のきわみ。だけど、そんな中で、確かな反攻の手ごたえをつかみとっていたのは田淵コーチだった。

 前夜、一度逆転するきっかけになった代打・平下をはじめ、登場した代打3人が全員四球を選んで出塁した。16日のゲームでは、同じく代打の平下がとどめのタイムリーを放ってもいる。チームを勢いづける代打の成功。そこに、星野阪神の充実の証をみるという。

 「試合中、みんながヘルメットをかぶって準備しているんだ。カツノリなんかもギラギラした目をしてこっちを見ている。シーズン当初、監督に“(控え陣は)準備ができてない”と、どなられていたもんだけどな」と田淵コーチはいう。

 事実、神様・八木は3割9分3厘(代打は3割3分3厘)、平下は3割5分4厘(同3割1分8厘)、広沢も2割5分(いずれも17日まで)と驚異的な数字を残している。星野監督のいう「ベンチ全員で戦う野球」が、しっかりと浸透している証拠にほかならない。

 元祖・神様の川藤幸三さんはこう言う。「代打は集中力と気迫。試合中、いかにゲームに入り込んでいるかやな。レギュラーだけやない、ベンチにいる人間も、自分が打席に立っているつもりでおらんといかん。四球を選べるのも、ボールを見極める集中力があるから。今の阪神にはみんなで戦う姿勢があるんや」。

 この夜は、3人の久々組がスタメンに名を連ねた。今季2度目の先発の川尻と左腕河内用の沖原、上坂。川尻は5回まで7安打を許しながらも、金本の1発だけの1失点と粘投を見せれば、沖原、上坂もそれぞれヒットを放って存在を見せつけた。これも数少ない出番をものにしようとする執念の表れだろう。

 だが…、さしもの全員野球も、この夜ばかりは空転した。河内の前に、アリアスの1発だけ。終盤は玉木―小林のリレーに反撃も封じられた。無念の連敗。またも歯ぎしり。だけど、ベンチにギラつく目がある限り、トラの反攻は可能だと信じたい。

【安永五郎】


2002年7月19日付紙面掲載


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