星野阪神を追う「虎劇場」

  阪神 3―0 広島 (7月16日・甲子園)

夏もOK!NO.1フードファイター井川

星野阪神を追う「虎劇場」

 さあ、巻き返しへ! 燃える後半戦、トラ・ベンチには熱気が充満していた。午後2時半、ベンチ内は気温31度。うだるような暑さの中、現れた星野監督は涼しい顔をしていた。「暑さには強いよ。どうってことない。寒いのはきらいやけどな」。後半戦スタートの緊張感を感じさせない、穏やかな表情でそう切り出した。暑い季節に、さらにさらに熱くなることを望む口調だった。

 6連戦が続く夏場。カギはもちろん投手陣のコマになる。「先発投手は5人では足らんな。夏場に強い、弱いもあるけどな」。そして「夏場に強い選手が一流なんや。強くないといかん」。それは、勝負の夏場に、もう一度勝負をかける決意表明に聞こえた。「巨人の背中ははっきり見える。パンツの色までな」と追撃に自信を見せた闘将は、暑さとの戦いを、ナインが克服してくれることを信じている。

 トラの夏男は誰だ。猿木チーフトレーナーはこう言う。「体調管理ができる人。中でも、食欲の落ちない人は強いね。外国人選手は、梅雨を乗り切ったら強いんじゃないですか」。アリアスか、ホワイトか。

 胃腸の強い、大食いの選手がその有力候補。星野監督が「朝飯だけはしっかり食え」と叱咤(しった)するのも当然なのだ。かつての大食い王・川藤幸三さんのような男こそが夏場の救世主になれる。トラ番キャップ木崎によると、トラのフードファイターNO・1は井川という。ぶっちぎりの大食いエースは夏場も大丈夫だ。

 心配無用。熱気の中、トラ・ナインは真っ赤に燃えた。3回2死三塁でトレーナーの予言どおりアリアスがタイムリー二塁打。桧山も中前打で続いて2点先制。投げては藪が粘り強い投球で7回を0封。7回には代打・平下のタイムリーで心強い追加点もあげた。

 トラには、暑さに負けない夏男たちがいっぱい。それは、勝負の夏場に戦える、一流のたくましさをトラ・ナインが兼ね備えようとしている証しか。最後は金沢―バルデスと美しく締めくくって、鮮やかな完封リレー。後半戦白星発進だ。夢を、あの興奮をもう一度―。

【安永五郎】


2002年7月17日付紙面掲載


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