星野阪神を追う「虎劇場」

  阪神 0―2 ヤクルト (7月4日・神宮)

東都の虎党もかつてない盛り上がり

星野阪神を追う「虎劇場」

 2夜連続、神宮の杜に響き渡った球団歌「六甲おろし」。この2試合とも観戦したという幸運な女性、吉田薫さん(25=横浜市)から、午前中に感激のメールが届いていた。

 「2日とも歌いながら泣いていました。まわりの人の目もウルんでいました。私の人生で最高の感動でした。井川クン、藪さん、そして大好きな桧山さん最高! 星野さんありがとう」(抜粋)

 その興奮が伝わってくるような文面。W杯サッカーでもそうだったが、人を酔わせるスポーツの持つパワーに改めて驚きながら読ませてもらった。

 虎番キャップの木崎によると、東都の阪神ファンの盛り上がりは、かつてないほどのボルテージだそうだ。ナイターの原稿を終えて繰り出す夜の街の雰囲気である。

 「阪神ファンの多い店に入るせいもあるんですが、この2日間は耳にタコが出来るほど六甲おろしを聞かされました。気合いは関西以上かもしれません。圧倒されますよ」。長いトンネルに迷い込んだ6月の反動ということもあるのだろう。タイガースの周辺は、いま完全に4、5月の熱気を取り戻している。

 試合前の星野監督の口調にも強気がよみがえっている。担当記者から「きょう勝てば勝ち越しターンが決まりますね」ともちかけられると「そんなレベルの低いことを聞くんじゃないよ」と一蹴していた。前半戦の残り試合を貪欲に勝ち切って、いくつの貯金を後半戦に残せるか―。胸のうちはその一点に凝縮されている。「どんなヒットでもいい。内容は問わん。要は勝つことなんだよ」とも続けた。

 ヤクルト岩村が「阪神はうらやましいよ」とこぼすほど、この夜も神宮のスタンドは阪神ファンが圧倒した。ローテの谷間、川尻が今季初マウンドに立つ。さすがに緊張の色は隠せないが、ペタジーニの一発だけに粘り抜いて希望をつないだ。しかし、ホッジス―五十嵐―高津というヤクルトの背水リレーに、猛虎打線は4度まで三塁を踏みながらあと1本が出ず、3夜連続「六甲おろし」の夢はかなわなかった。

 試合終了直後に届いたメール。「惜しかったけど、いいプレーがいっぱい見れました。ひとつくらいヤクルトにも勝たせて上げましょう」(Yuki・Tさん)。本音は3連勝しかなかった星野監督も、むしろサバサバした表情。心はすでに東京ドームへ飛んでいるようにも見えた。

【達野昭司】


2002年7月5日付紙面掲載


[星野阪神を追う「虎劇場」 目次]
阪神 | 野球 | サッカー | スポーツ | 競馬 | 芸能 | 社会 | レジャー
Home