阪神 3―4 ヤクルト (6月23日・甲子園) | ||||
再び“虎ロケット”の予感
ピークには「12」にまで達していた貯金が瞬く間に減った。さすがに星野監督もぶぜんとした面持ちだ。「定期預金のつもりやったのにペイオフを食らった気分やな」とジョークには、ため息が交じる。再浮上には何よりも第2エンジンに点火させるスカッとした起爆剤が欲しい。三塁コーチに島野ヘッドを立てたのも、そんな思いがにじんでいた。 こんな時期にはうってつけの来客といえるかもしれない。日本宇宙少年団(毛利衛団長)の子供たちと文部科学省宇宙科学研究所、そしてNPO法人日本惑星協会のスタッフが甲子園にやってきた。宇宙科研は今秋、地球から3億キロ離れた火星と木星の間にある直径500メートルの小惑星「1998SF36」探査のためのロケットを打ち上げる。主目的は、この星に降下させる探査機で鉱物質を収集して持ち帰り、太陽系宇宙の起源を探るため。 これだけでもロマンいっぱいのプロジェクトだが、このロケットにはもうひとつの大きな夢が乗せられるという。軟着陸する際、探査機はソフトボール大の案内用マーカーを投下するが、その表面のアルミシートに10万人の名前を刻んで、残そうという壮大なプランだ。名づけて「星の王子さまに会いにいきませんか計画」。もちろんフランスの作家サン・テグジュペリの名作「星の王子さま」にちなんでのネーミングで、その希望者募集キャンペーンに“地上の星”星野監督の協力が求められたものだ。監督以下全ナインの名前と一緒に、君も宇宙へと誘っている。 チビッ子たちの礼儀正しいお願いに笑顔でうなづいた星野監督。「実は私もいま、宇宙に飛び出したい気分なんだよ」とリップサービスしながら「でもいい夢だね。阪神も優勝? いや宇宙一になれたらいいね」と返していた。サインの色紙には決まって「夢」と書き込む星野監督。子供たちが宇宙に広げる夢には心からの応援を惜しまない。むしろ彼らにあやかって虎ロケットの推進力としたいところだろう。 その星の王子さま効果か―。敗れたとはいえ、ヤクルトを追い詰めた粘りのゲームは、ホワイトの復活など明るい材料もいっぱい残した。星野監督の夢は、星空の季節にまた輝きを取り戻す。そんな予感を抱かせるこの日の阪神だった
【達野昭司】
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2002年6月23日付紙面掲載
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