星野阪神を追う「虎劇場」

  阪神 8―11 巨人 (6月15日・甲子園)

田中康夫知事も評価「虎の意識改革」

星野阪神を追う「虎劇場」

 サッカー日本代表の決勝トーナメント進出で沸き返る日本列島。前日、タクシーに乗ったらプロ野球ファンという運転手さんが「えっ、明日から甲子園で巨人戦? そうですか。忘れてた」。さすがの伝統の一戦も、W杯の前にはすっかり影が薄くなったか、とガク然。

 確かに「日本快勝」の興奮は凄かった。大阪・道頓堀では、川に飛び込むファンがこの日早朝まで後を断たず、その数900人にのぼったというから阪神V(1985年)を超える熱狂であることは間違いない。ところが、道頓堀を映すテレビに突然「かっとばせ桧山!」コールが聞こえてまたまたびっくり。W杯フィーバーの中でも、ちゃんと虎コールが沸き起こるところが大阪ではないか。浪速のファンは戦い続ける阪神を忘れたわけではない。

 事実、昼過ぎに阪神・梅田駅に着くと「当日券売り切れ」の張り紙。甲子園では、早々と午前11時すぎに外野席が開門し、試合開始(午後5時)6時間も前から続々とファンが詰め掛ける盛況ぶり。もちろん、マンモスは人人人でぎっしり埋まった。ここには、W杯とは別世界の熱狂が確かにあった。

 この日、甲子園を珍客が訪れた。長野県の田中康夫知事(46)。出演している毎日ラジオ「さてはトコトン菊水丸」が甲子園球場から放送されたもので「かつて同じクイズ番組に出ていた」という星野監督にもあいさつ。

 その田中知事。「阪神は星野さんで構造改革、意識改革をした。トルシエと同じです。自立した個人が、チームを活性化させている」と分析。そして「阪神が最後はいくでしょう」と力強くV宣言までしてくれた。

 この日、自立した個人は粘りを見せた。初回の1失点をその裏、アリアスの犠飛で返し、仁志に2ランを浴びると、片岡の2ランで同点。8回に大量失点し、8点差をつけられても、その裏に桧山の3ランなどで4点、最終回にも関本の一発で3点差まで追い上げ、満員5万3000人ファンを最後まで沸かせた。結局は届かず、首位の座は風前の灯火となった。虎軍団の構造改革は本物かどうか、真価が問われるのはこれからである。

【安永五郎】


2002年6月16日付紙面掲載


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