星野阪神を追う「虎劇場」

  阪神 1―8 中日 (6月11日・ナゴヤD)

渡辺謙も期待“虎のドラマ”

星野阪神を追う「虎劇場」

 生まれ変わったタイガースの頑張りに、芸能界のトラ党のボルテージも上がる一方だ。豪快なキャラクターで知られる俳優・渡辺謙(41)は「今年は絶対優勝してくれんといかん。優勝する。確信じゃなくて、われわれファンが優勝させるんだ、そんな思いです」と熱っぽい口調で語る。

 東映映画「陽はまた昇る」(15日公開)に出演。キャンペーンで来阪した彼は、取材の合間も阪神の戦いぶりが気になる様子で、マネジャーから逐一報告を受けては一喜一憂していた。

 1970年代、家庭用ビデオVHSの開発にかけた男たちを描くこの映画で、渡辺は“変身”を遂げた。がむしゃらに突っ走るビデオ事業部長(西田敏行)のもとで、多くの難題をこなす地味な次長を演じた。これまでのイメージとは一変の抑制の効いた演技が「難しかった」という。

 「リードしていくよりは受け止める役柄。この映画では捕手だった。ゲームを作っていく、矢野になった気分でやらしてもらった。苦しみより楽しかったですね」。

 そんな変身の楽しさを、今年の阪神に見るという。「ここ数年は見ていてつらかった。選手がうつむいていた。でも、今年は違う。勝っても負けても、選手が子供のように野球をやっている。監督の熱情が人を動かしている」と自分も子供のようにうれしそうだ。

 がむしゃらなひとりの男に率いられて、目標にまい進する集団…映画「陽はまた昇る」同様「闘将・星野監督の熱情が、コーチや選手、裏方さんにまでうつっていく。映画もそうです。監督の熱が何かを作り上げるんです」と断言した。

 新潟県出身だけど、巨人一辺倒の周囲に反発して江夏―田淵時代から阪神ファン。「このチームにはドラマがある」と魅力を語る。長い雌伏の時を経て、栄光をつかまんとする、これこそ男のドラマではないか。

 この夜、ナゴヤドームでは、先発・谷中が初回につかまり、反撃も不発に終わって完敗。無念の3連敗となった。だが、まだまだエンドマークには早すぎる。男たちのドラマはこれからがクライマックスなのだから。

【安永五郎】


2002年6月12日付紙面掲載


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