阪神 6―0 中日 (5月26日・ナゴヤ) | ||||
試合後の珍事、名古屋の熱さゆえ
4月の甲子園だったか。打撃不振で借金をかかえるという状況の中で中日山田監督がこぼしていたセリフが印象に残っている。初めての監督業について話が及んだ時だ。 「楽しいなんて思うことなんかないですよ。とにかく大変。特に名古屋の土地柄というのは熱狂的なんです。“ドラゴンズ命”というファンがいっぱいいるんだから。阪神ファンも熱いとは聞いているけど、中日ファンの比じゃないでしよう」 その後8連勝で巻き返し、チームは軌道に乗ったが、そこに至るまでの初陣の時期、熱烈な応援は新監督の肩にプレッシャーとしてズシリと乗っかっていることは容易に想像できた。 初めてのナゴヤドーム取材。名古屋駅で乗ったタクシーの中は、いきなりウワサに聞く“ドラ命”の運転手さんとの出会いの場になった。行き先を告げると「お客さん、阪神ファン?」の問いかけに始まって、名古屋を去った星野監督への恨み節をひとくさり。そして返す刀で、連敗中の中日への苦言を語り続ける。そして最後はこの日のゲーム予想。 「朝倉と星野(伸)なら勝負はハッキリしとるでしょう。今日は立浪が頑張るはずです。1つだけ心配は、星野の緩い球を見てドラゴンズのバッターが後で調子を狂わすんやないかと。まぁ今日のドームは燃えてますよ。お客さん、折角名古屋まで来られたのに気の毒ですが、今日は中日が打って勝つ日です」 4万500人。しかし圧倒的な中日ファンに囲まれながら、沸きに沸いたのは無勢の阪神応援席の方だ。星野の90〜110キロ台の変化球に中日打線のバットが空を切る。対照的に、阪神には先制、中押し、ダメ押しという理想的な点が入って、終わってみれば連日の胸すく完封劇だ。「お気の毒」の言葉は、そのまま運転手さんに返さねばならないが、山田監督の胸中も察して余りあった。 燃え切れなかった日曜日の中日ファン。それを代弁するかのような中日球団の若い職員による番外の珍事が帰路につこうとする阪神のバスを止めた(詳細別項)。仕事への使命感が駆り立てたとしても、筋違いのクレームは星野監督に一喝されるのも仕方ない。ただ、これも名古屋の熱さかと妙に納得させられた一幕だった。 【達野昭司】
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2002年5月27日付紙面掲載
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