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生まれ変わった頼れる男・桧山に最敬礼
セ・リーグの打率トップに桧山が躍り出た。巨人戦でもヒットを積み重ね145打数52安打、実に3割5分9厘だ。今や「悠久の若虎」(甲子園の外野席にこう染め抜かれた横断幕が掲げられている)桧山は、阪神打線を支えるばかりか、リーグを代表する確実性を備えた打者になったのだ。 宴の後の戦いは、相性が悪い中日戦。もしかしたら、桧山はあのドジャーブルーのユニホームを着ていたかもしれなかった。大豊、矢野―久慈、関川の大型トレードが敢行された時、中日が指名してきたのは桧山だった。が、当時の吉田監督、一枝ヘッドの首脳陣が拒み、関川に落ち着いた。その部分の思い入れもあって、伸び悩み時代の桧山には、評論家として見る一枝さんらは手厳しかった。「おい、桧山の空振り率調べてみい。日本一やろ」。フルスイングするとバットがなぜか波打つ。桧山は滅法空振りの多い打者だった。 2年前のオフだったろうか。桧山と一緒にゴルフをする機会があった。ゴルフは右打ちで、ドライバーショットは左右にブレたが、2番アイアンのショットは凄まじい勢いで真っすぐ飛ぶ。何度かOBをしでかした後、彼は2番アイアンでティーショットを打ち始めた。彼の2番アイアンは、悲しいかな、私の力の限りのドライバーショットを遥かに超えて行った。 「僕はバットを振るのだけ左なんです。あとは全部右。ハシを使うのも字を書くのも…」。そんなことを話しながらラウンドした。ふと心に浮かんだことを口にした。「桧山君、3割打つ方法教えたろか?」「エッ」「左で打たんと、右で打ったら3割打てるで」。彼は絶句したものの、この極めて無神経な冗談を笑ってやり過ごしてくれた。以来、桧山の顔を見ると、心のどこかに疚しさを覚える。 通算打率2割5分に満たなかった不確実性の男が昨年3割にたどり着き、左打ちのまま今首位打者…。吉田さんも一枝さんもネット裏で目を三角にして「空振り率…」などとはもう叫ばない。そして、イチローよりも高い打率を維持する好漢・桧山に、以前の心ない冗談をこの場を借りてお詫びしたい。 【井関 真】
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2002年5月25日付紙面掲載
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