阪神 11―4 巨人 (5月23日・甲子園) | ||||
仙一の思い乗り移った「悔しさ」知った男たち
復活した伝統の一戦に連敗。悔しさの充満する試合前のベンチ。だが、星野監督の表情はなぜか穏やかだった。悔しさを隠したポーズなのか、気分をスパッと切り替えたのか。ベンチでしばし報道陣と談笑もした。 そんな中で、闘将・星野の燃える思いを感じさせたのが前夜、井川が松井に1発を浴びた“あの1球”だった。「サク越えしたら、打ったやつをホメにゃいかん。しかし、ホームランだけは打たせちゃいかんかった」。カウント2―1から、井川が投じた内角高めのストレートが甘く入ったことに悔しさをにじませた。 だが、その後でこうも付け加えた。「歩かす? いや、逃げちゃいかん。逃げる場面じゃない。エースのプライドもある。井川だしな。力と力の勝負の場面やったな。オレもよくやった」。強大な敵に、気迫で立ち向かった自身を重ね合わせてもいた。 かつて伝統の一戦を彩った数々の名勝負。村山―長嶋、江夏―王、そして掛布―江川。時は移り、21世紀。井川―松井が平成の名勝負を演じたことに、よみがえったTG戦の手ごたえを感じたのだろうか。 それだけに、連続逆転負けに悔しさも倍加しているはず。「きのう? 寝られるわけないやろう。発散する方法はない。ストレスがたまるばかりや」と苦笑いした。 人一倍の悔しがりようこそが、燃える指揮官のエネルギーだ。中日時代、試合に負け、カーッとなって車を運転して帰る途中「気が付いたら交差点に赤信号で突っ込んでいた。それから車の運転をやめたよ」。そして「選手にもそれぐらい悔しがるやつがいいんやが」。 いやな流れを断ち切るには「(打線の)爆発か、完封やな」と星野監督。その言葉どおり、選手たちが序盤からたまりにたまった悔しさをぶつけた。初回にアリアスの2点タイムリー、2回には矢野のソロ、斉藤の2ラン、桧山のタイムリー…。終わってみれば19安打11点の猛攻。 監督だけじゃなかった。勝ちに飢え、負ける悔しさを知った男たちが、逆襲に転じて意地を見せた。痛快この上ないうっ憤晴らしに、5万大観衆とともに酔いしれた。 【安永五郎】
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2002年5月24日付紙面掲載
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