星野阪神を追う「虎劇場」

  阪神 2―9 巨人 (5月12日・東京D)

正夢になってや「ミスター・ルーキー」

星野阪神を追う「虎劇場」

 1勝1敗で迎えたGT首位攻防第3戦。盛り上がる試合前の阪神ベンチを野球評論家の長嶋一茂が訪れた。トラ番キャップ木崎の報告によると「天王山ですね」という一茂の問いかけに星野監督は「勝つことしか考えてない」と一言。そして去年との違いは? という質問には「飢えにチャレンジしていることや。勝ちたいという飢えが出てきた」と語ったそうな。

 監督の言葉どおり、変ぼうをとげつつある阪神。気の早いファンの間では、優勝気運も盛り上がっているが、実は一茂は“阪神Vの使者”だった。トラファンの見果てぬ夢を、ひと足お先に見せてくれた東宝映画「ミスター・ルーキー」(上映中)。その主演を務めたのが一茂である。

 映画はまさに夢の実現だった。一茂ふんするビール会社の社員が、夜は阪神タイガースのストッパーとなってチームは快進撃。最終戦で、あのバースがホームランをかっとばして優勝するという痛快ハッピーエンドに、歓喜したファンも多いはず。実際、本物の桧山が超美技で優勝を決める場面では、フィクションであることを忘れて思わずジーンときたものだ。

 映画が全国公開されたのは開幕直前の3月23日。東宝では当初、興収1〜2億円を見込んでいたが、阪神の快進撃に乗って映画もスマッシュヒット。8週間のロングランに突入し、興収3億7000万円を超えるという。

 東宝によると、ふつう同社関西エリア(中四国含む)の興収シェアは24%だが、この映画では実に45%に上るという。いかに関西の阪神ファンがVを待望していたか、それを如実に物語る数字だろう。「どこでやってますかとか、いつまでやりますかという問い合わせが今でもあります。うちとしては阪神が首位を走る限り上映したいと思っています」と同社宣伝企画室・松川英樹さん(34)。

 映画界をも潤した星野阪神。だが、決戦第3戦は本物のミスター・ルーキー、安藤が序盤に巨人につかまって完敗。34試合目にして無念の首位陥落となった。Vの夢はフィクションで終わるのか?

 いや、変身タイガースのチャレンジはこれからがクライマックス。そう信じたい。

【安永五郎】


2002年5月13日付紙面掲載


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