星野阪神を追う「虎劇場」

  阪神 3―4 ヤクルト (5月8日・甲子園)

弱者から強者へ…奇跡を見る思い

星野阪神を追う「虎劇場」

再び虎党のときめき

 胸のときめき。春から、いや去年、星野監督が阪神にやって来たときから続いている心躍る思いは、半年を過ぎても高まる一方だ。タイガースが変わるんじゃないか。変わってくれるはず。そんな夢が、実現していく喜びである。

 久しぶりに甲子園球場のツタを見て、熱い思いがよりふくれあがった。実は、父親が阪神電鉄に勤めていた縁で、小さいころから阪神ファンだった。村山、小山時代。江夏、田淵時代。喜びも悲しみも阪神とともにあった。

 1980年(昭55)、運動部に配属になって、阪神担当を命じられた。掛布、小林の時代で、岡田(現2軍監督)はルーキーだった。残念ながらいい思い出は多くなかったが、タテジマの活躍に一喜一憂したのは鮮烈な記憶として残っている。

 ところが、3年間のトラ番生活の後、今はなき阪急ブレーブス担当になったのを機に、トラファン気質はきれいさっぱり消えてしまった。担当チームへの関心が強くなったからに他ならない。

 その後、運動部を離れ、長い間、タイガースへの関心は薄れたままだった。長い低迷が、あきらめの気持ちを生んでいたのだろう。だが、3年前、野村監督就任から再びトリコになった。心に残った熾(お)きが、年を経て燃え上がるようなものだろうか。

 低迷トラの変身への期待は大きかったが、多くのファン同様、この3年間はタメ息に変わった。今度こそ―。熱血・星野監督は、30試合で弱者が強者に変ぼうする奇跡を目の当たりに見せてくれたのだった。

 「キャンプの時から、本気で勝ちたい、勝てるんだという気持ちを強く持たそうとした。今、選手たちは勝つ喜び、勝つってこんなにいいもんか、と感じ、それがみんなの言葉に出ている」と島野ヘッドコーチはいう。

 巨人に1分差と迫られて迎えたヤクルト戦。阪神は8回、片岡の犠飛で同点に追いつく粘りを見せたが、藪が9回、ペタジーニに1発を浴びて力尽きた。無念の連敗。だけど、巨人が敗れて首位のまま。心躍るドラマはまだまだこれから、そう信じたい。

【安永五郎】


2002年5月9日付紙面掲載


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