2002年ニュータイガースへ

never never surrender

「星野新体制」出遅れ心配ない

安芸のポイント
一枝修平
<上>

シンプル野球に選手の戸惑い少ないはず

 2月1日から阪神の安芸キャンプが始まります。星野監督を迎えた新生タイガースがいよいよ本格スタート。注目度の高い星野阪神のキャンプ、どこに課題があり、どこを注目するのか。OB評論家の吉田義男、一枝修平、中西清起各氏がそれぞれ2回ずつリレーで連載します。先頭バッターは一枝修平氏です。

 星野監督を迎えた阪神が間もなく安芸キャンプに突入する。昨年暮れに誕生した新体制は球界の常識からすればスタートが大幅に遅れたということになる。だから私の周囲にいる阪神ファンの人からも「春のキャンプからで星野野球は選手に伝わるのか」という不安の声もよく聞く。しかしこの不安、現状ではまったく必要ないと言えるだろう。

 確かに通常なら新監督が誕生すると、まず秋季キャンプで新体制がスタート。新しい現場リーダーの野球観や評価の基準を伝えるために、選手やスタッフとコミュニケーションなどを活発に行い、本番に向けての準備を開始。時間的にも精神的にも余裕のある秋のキャンプはある意味で格好の試運転期間となるのは確かだ。

 例えば野村前監督の場合は「ノムラの考え」なる教材を自ら作成して、連日のミーティング。野球を言葉に置き換え、理論立てて説明するため戸惑う選手も多かったと聞く。しかし、星野監督の野球は基本的にシンプル。評価の基準もオーソドックスで戸惑う選手も少ないはず。シーズンに向けて加速するには、むしろ春からのスタートがプラスに作用することもあるのでは、というのが私の見方だ。

 星野監督とは中日で最初の監督を務めた最後の2シーズン、コーチとして共にベンチで戦った。星野監督は私にとって明大の後輩でもあるが、リーダーとしての資質は当時から発揮していた。もちろん中日で最初の監督に就任したシーズンが40歳。若さとパワーですべてのことに全力でぶつかっていたものの、選手をその気にさせ、時には100%以上の力を引き出すその巧みな操縦術には何度も舌を巻かされたものだ。評価の基準も「常にベストを尽くしているかどうか」。これほどわかりやすいリーダーはいない。

 だから星野野球に選手が戸惑うことはまずない。一つ気になることがあるとすれば、むしろ星野監督の戸惑いだ。これまで敵として戦ってきた阪神ナインに対する評価と、身内になって初めてわかる実情に戸惑わないかどうか。さらに阪神が持つ独特のムードに慣れることができるのか。このあたりを星野監督がクリアすれば、体制固めが遅れたことの不安は吹き飛ばすことができるだろう。

(日刊スポーツ評論家)


2002年1月26日付紙面掲載 


[安芸のポイント 目次]
阪神 | 野球 | 広島 | サッカー | スポーツ | 競馬 | 芸能 | レジャー
Home