阪神 3―2 巨人 (9月24日・甲子園) 

フルメンバーなら巨人と対等に戦える

グイッと搾りたてコラム「ナマ虎」

今岡&浜中弾に見たチームの誇り

 開幕から130試合目。星野阪神の戦いはひとまず終わりを迎えた。グラウンドで行われた原監督の胴上げを見ることなく、星野監督はロッカーに消えた。

 5時間1分。すでにヤクルトが負け、巨人の優勝は決まっていた。それでも阪神は勝ちにこだわり、星野監督は最後まで選手に勝つことを求めた。サヨナラ勝ち。そして負けた巨人が胴上げ。球史に残る光景を演出したのは、来季に向けて「自信」をつけさす星野監督の信念でもあった。

 今年の評価。僕は及第点以上のものと考えている。それだけにもし元に戻れるものなら、フルの戦力で戦わせたかった。故障も戦いのうち、というのはわかっている。だが今年の阪神はあまりにも故障者が多すぎた。開幕メンバーの野手で1年間、試合に出続けたものはひとりもいない。赤星、矢野、アリアス、片岡、桧山、浜中、今岡、ホワイト、そして投手に目を移せば藪、安藤。これほどの選手が1度は登録抹消になるという異常な状況の中、それなりの戦いをしたと感じている。

 この夜、今岡が1発を放ち、浜中が9回に同点アーチをバックスクリーンに叩き込んだ。浜中が拳を上げた。それはただ同点に追いついた喜びだけでなく、メンバーさえそろえば、巨人とも互角に戦えるというチームとしての誇りが、そうさせたように思えた。

 ベンチからロッカーへ。試合後、静かに歩く島野ヘッドコーチは苦しかったシーズンを振り返るように「ケガはつきものだからな」と言いながらも「こんな試合をすれば、必ずみんなの自信に結びつく」と残してロッカーに消えた。

 6カ月前、巨人に連勝して阪神の進撃が始まった。日本列島にトラの勢いを示し、歓喜の予感をさせながら、巨人Vの日は5位として戦った。故障者があれほど出なければ。星野監督はグッと言葉を飲み込んだ。原監督が宙に舞った夜、それを来季に向けての阪神反撃の時にしてほしい。

【編集委員・内匠宏幸(たくみ・ひろゆき)】


2002年9月25日付紙面掲載


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